怪冥異児
何か願い事はあるか?
私はあまり無いな、普通に暮らせられたらいいと思っている。...なぜこのようなことを考えているかというと、
「早く答えろよナナ~」
このようにしつこく同僚の林に聞かれているからだ。
「しいて言えば…」
「ん、なになに?」
と聞く林に向かって
「お前の口数を減らしてほしいかな」
と言った。
案の定林は苦笑いをしていた。
「それだけかよ」
と言ってきたが私は無視した。なぜなら、明日締め切りの仕事をあと少しで終わらせられるからだ。そして今、終わることができた。
長時間画面を見ているとやはり疲れる。息抜きついでに
「林、飲みにでも行くか。仕事も終わったし話くらいなら付き合うぞ」
「え!いいの?じゃ、近くの居酒屋行くか。」
そこから、数分歩いた先の居酒屋によった。
仕事終わりは、なぜか味がちがう気がする。
「くっそあのハゲ、役職が上だからっていい気になりやがって、今日も仕事押し付けてきて先に帰って大変だったじゃねぇ~か」
「ぁあの、暴れたりしないよね?」
なぜか怯えている林だが今は気にしない。
「じゃんじゃん飲むぞ!」
そういい、五杯目あたりで限界に達しトイレに駆け込み吐いた。
居酒屋からの帰り道、林は、驚いたように聞いてくる。
「なんであの勢いで酔ってないんだよ」
「なにを言ってるんだ?吐いたら治るだろ」
と言うと
「なんじゃそりゃ...」
と呆れられた。
…何気ないこの日常が好きだからこれ以上のものはいらない。だから、何かになりたいなんて思わないな。
歩いている二人がいる、彼らは運が悪い何故なら奴がちょうどこの世界にやって来たのだから。
(パキ…)
「何か音がしなかったか?こう、パキって…」
「そうか?」
(パキパキ!)
突然大きな音が鳴り、目の前に黒い怪物のようなものが現れる。
「っ、え?なに?」
なにが起きたのか理解に追いついてない様子だ。
それもそうだ、Puzzleは、この世界には存在など
していないから…
なんだ?急に目の前に現れたこれは…。
そう考えていると、目の前に現れたそれは片手を振り上げた。
「ナナ!」
「!」
林が突き飛ばしてきた。
驚いたがすぐに状況がわかった。さっきまで立っていた場所のコンクリートが、粉々になり、林の片手が千切れていた。
「林!大丈夫か」
そう聞くと林は一瞬固まり、目の前に現れたそれを睨み付けながら、
「ナナ、後ろの路地裏に、走るぞ...」
「は?何でいきなり」
「いいから行くぞ!」
そう言われ、私と林は全力でその路地裏に走った。だが、その路地裏の先は行き止まりだった。
「行き止まりだぞ!」
焦りながら聞くと林は険しい顔で
「ここに来る奴が助けてくれるはずだ。そして、そいつには願い事は言うなよ」
そう言い、林はいきなり潰れた。潰れた林の後ろには、目の前に現れたそれがいた。悲しむ暇もなく現れたそれは私に手を向けてきた。これはもう駄目だな...。そう私は諦めた。林は、いなくなってしまった。仕事場で馴染めなかった私に気をかけてくれて。振り返ると、色々あったけど、楽しかったのかな。
「まだ諦めなくてもいいよ」
声が聞こえてきた、幻覚かな。まだ未練とかあるのか。
「あー、夢じゃないから安心していいよ」
…え、なんで子供がここにいるの?
「あ、危ないから逃げて」
家出してきた子供だろう。せめて、この子供だけでも。
「まーいいや、下がってて。」
「No.0010、発現」
あれは、銃か?いきなり出てきたよね?あっ駄目だ、意識が…
「さーてと、始めるか」
数秒にらみ合い、最初に動いたのはPuzzleだった。
俺を潰そうとしてたが、ギリギリで避けながらまずは一発撃ってみる。命中したら、案の定効いてるがまだそれほど消耗してない感じ
「お前、変異体だったのか!」
さてどうするか、とりあえず道に落ちている小石を投げつけ、注意を引いてもう一度当てるか。試してみると成功した。
あと一発だな。そう思い銃弾を装填しようと腰ポケットの中身を探していたが。
「ない…」
え、なんで、まさか拠点に置いてきたのか。そんなことを考えていると腹部に激痛が走った。
「っ!」
久々にPuzzleなんかに殴られたな。
どうするかな、このままだと規模が広がる…。
仕方がない
俺はPuzzleを蹴り飛ばし距離を取った。この隙にさっきの人に
「…い」
「…ぉい」
なにか聞こえる。んーなんだろ。
「おい!起きてくれ!」
「!」
えっと、確か今なんか化け物に襲われてるんだったよね。
「なあ、あんたの望みはなんだ!」
いきなりなにを聞いてくるんだこの子供は、緊迫した状況だよね。
「なんで急に?」
「いいから、欲しいものとか失ったものを取り戻したいとかなんでもいい。何が欲しいんだ!」
そんなこと言われても、
…林を生き返らせて欲しい。色々と助けられてばかりで終わってしまった。願い事は言うなとか言っていたがあいつに借りを作るのは嫌だからな。
「林を、林を生き返らせてくれ!」
そう言うと、体の力が抜けていき、意識が無くなった。
「…大事に使うよ」
そう言い、抜き取った魂を銃に装填し、向かってきたPuzzleに向けて撃った。
奴に命中し、体が崩れていった。
「君の願いは叶えとくよ。」
そう言い残し、この世界から帰っていった。
「ナナ!」
「え?てか、ナナって誰だ」
あれって、夢か?
いや、前にもあったよな…




