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《 笑う三日月 》



 街はどこもクリスマスの飾りに彩られ

 道行く人達はとても幸福そうに見えて

 でも今夜の三日月は

 まるで私を嘲笑っているようで。



 君が一人で歩けるようになった時

 初めて公園に行った日もこんな季節で

 ブランコの後ろやベンチの下に

 枯れた落ち葉が積もり

 風に吹かれた落ち葉は海の波のように

 カラカラカラと

 パラパラパラと

 音を立てながら乾いた地面を寄せては返し

 それを見て君は笑いながら手を叩き

 とても愉しそうに落ち葉の波を眺めていた。



 君を生んだ事は幸せだったし

 君を誇りに思い育ててきたけれど

 それ程まで君は生きる事が苦しいのなら

 一日一日が痛みしか無いのなら

 君の笑顔を損ない

 君の幸せを奪い

 君そのものを傷めてしまった母である私から

 生まれた事を

 生んだ事を哀しくて哀しくて申し訳なく思って。



 君はずっと頑張ってきたし

 私も頑張ってきたつもりだけど

 三日月が笑っているみたいだから

 私はこの両手で君の首を愛情込めて締め

 同時に君の両手で恨情込めて私の首を締められて

 共に安らぎの世界に旅立ちたい。



 親と子で手を取り合って

 その手を互いの首にかけ

 穏やかに全てを捨てて

 子殺め

 親殺め

 その先の永遠の鎮まりを求め

 やっと生きる苦痛から解放されると信じて

 そんな想いに心漂う

 こんな私の両の手は

 鬼だろうか?

 菩薩だろうか?

 唯の卑怯な負け犬か?



 ほら

 凍えた青白い三日月は

 やっぱり私を嘲笑っている。



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