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《 テナーサックス 》
今はケースにしまわれている、
息子のテナーサックス。
希望と、
期待と、
落胆と、
焦燥と、
崩壊と、
そして 自立の音色が響く楽器。
いずれ この旋律は、
やはり結局、
破滅の音色に変わるでしょう。
私が、
見失った夢を思い起こして詞を書くのなら…
傍に居て、
この命に替えてでも、
君が粉々にならぬよう、
君が消滅してしまわぬよう、
運命に抗って、
けれども、
どうにも叶わぬのなら、
君をそっと抱きしめて、
抱きしめ続けて、
共に崩れるその日まで。
長き混乱と疲弊から解放されたその後は、
永き静かな平穏に身を任せ、
君のテナーサックスと、
私の詞で歌う旋律は、
己の人生を歩んだ証と、
やっと辿り着いた安らぎの音色になるでしょう。




