ダイヤモンドスライムのヴァイス
『君のおかげで助かったよ。』
「なんだ!?」
『僕だよ。目の前の僕。』
目の前って言ってもいるのは青、赤、それと小さかった白。人なんていないんだが。
『人じゃないもん。僕だよ。君が白って言ってる僕。』
「お前?何でいきなり喋れるようになってるんだよ!というより僕の言葉分かるのか?」
『君の言葉をわかるのは君が赤や青と言ってる彼らも理解してたでしょ?今更じゃない?』
確かに今更か。僕の言ってることを理解して、あの鉱石の鉱石の所まで案内してもらったんだし。
『そうそう。あの鉱石採ってきてくれてありがとね。青と赤だけだと時間が足りなさそうだったから、他のにも手伝ってもらってって言ったら、まさか人間連れてくるんだもん。力が足りなくて喋れなかったけど、すっごい驚いたんだから。』
初めから手伝い目的で連れてこられたのか。遊ばれてるもんだとばかり…。
『えー?赤と青も忘れてたの~?どうやら君の言ってたこと正解みたい。君ってジュエルスライム食べちゃったんでしょー?それ見て仲間だと思ったんだってー』
しっかりばれてたのかよ。しかもあれ見て仲間と思うってスライムってやばいな。
『僕を一緒にしないでよー。でね、仲間だと思ってここに連れてこようとしたんだけど、追いかけっこしてる間に楽しくなっちゃって忘れちゃったんだって。』
僕は全然楽しくなかったけどな。
『それで君がお腹すいたって言うから連れてきた4匹いるでしょ?あの子たちに教えてもらって、ここに連れてくるのを思い出したみたい。』
こいつらの知能は5歳児くらいなのか?追いかけっこが楽しくて、目的忘れるって…。
『とにかく助けてくれてありがとね。おかげでダンジョンを崩壊させずに済んだよ。』
ダンジョンの崩壊が免れてよかったね。
「ダンジョン崩壊!?崩壊させずに済んだってどういうことだ!」
『あ、まだ僕のこと言ってなかったね。僕はここのダンジョンマスター。『粘魔の宝石箱』の主のダイヤモンドスライムだよ。』
こいつがダンジョンマスター?本当に?
『じゃなきゃこうして喋ってる事理由つかないでしょ?』
ダンジョンマスターじゃなくても話理解する奴はいるけどな。
『それは僕に近い存在だからだよー。みんながみんな人間の言葉を理解できると思わないでよねー。』
だから赤と青は白と一緒にふんぞり返ってるのか。お前ら感情豊かだな。
『いい加減それ止めてよー。赤とか青とか白とか。それって色でしょー。どうせならちゃんとした名前が欲しんだけどー。』
ねー。名前欲しいよねー。青ー。赤ー。ってお前もそいつらのこと色で呼んでるじゃないか。
「名前って言っても、赤や青はまだしもダンジョンマスターのお前に名前を付けて不都合はないのか?それに、名前を付けてもお前はここから出られないだろ?」
『そんなことないよー。ここの事なんて他の奴に任せてもいいし。ほら、君が言ってたでっかい青とか。あの子体が大きいから、ダンジョンマスターって言われても違和感ないでしょ?そうしたら君について行けるし、今なら青と赤も付いて来ます!だから、ね?僕らに名前つけてよー。』
他の奴でテイマーとか言う魔物を仲間にできるやつが連れてることはあっても、僕『悪食王』でテイマーじゃないだけど。連れて帰っても許可出るかな?
『かっこいい名前がいいよねー。青もそう思う?え、赤は可愛い名前が良いって?そうかー。どんな名前になるか楽しみだねー。』
あいつらの中では、名前つける決定してるのかよ。ついてくる気満々じゃん。
『でっかい青にも伝えてこないと。誰か呼んできてくれる?確かさっき帰ってきてたでしょ?うんうん。僕が呼んでたって言ってきて。大切なお話がありますって。』
まぁ、通常時にあの大きさなら、問題ないか?何かあったらギルドに任せればいいはず!!!
『そうしなよー。僕たちは君の言う事しか聞く気ないけどね!』
「それじゃあギルドにおまかせも出来ないんだよ!」
『それじゃあでっかい青。僕たちが行った後は君に任せるからこのダンジョンお願いね!』
引き継ぎ終わってるー!!!まだ名前考えられてないよ!簡単に考えられたら青とか赤とか呼んでないんだよ。
『まだかなーまだかなー。』
「それじゃあ赤を『ルージュ』青を『アスール』白を『ヴァイス』と呼ぶ。不満はあるか?」
『かっこいいしいいかな。青も赤もいいって。』
三匹が名前に了承したとき僕の中から三匹に向かって何かが繋がった感じがした。
『契約完了ー。これで僕たちがダンジョンから出ても問題なくなったね!これからよろしくね!』
「よろしくヴァイス。アスール。ルージュ。」
それぞれドイツ語で白、スペイン語で青、フランス語で赤ってバレなくてよかった。
『気付いてるよ。そのうえで了承したの。だって君それ以上良いの思いつかないでしょ?』
「いい加減聞くがお前僕の心呼んでるな?」
『念話ってやつだよ。僕たち口無いからね。スライム同士でどうやって会話すんのさって話。人間と喋れるのは僕の訓練の賜物だね!相手いないけど…。』
僕が来なかったらおそらく使う事のなかったであろう人間相手の念話を鍛えるなんて変な奴だな。
『魔物である僕たちと呑気にお喋るしてる君も変な奴だよ。』