見えぬ敵
「本来の目的は済んだわけだが、やっぱり使いこなせなきゃ強くならんよな。」
サーベルタイガー型との戦いで『隠れる』『擬態』『噛み砕く』『爪術』をよく使ったわけだが、前三つはともかく、『爪術』はこれを持っていたウェアウルフと同等の身体能力を持っていないと危ないと言われていたが、動かないことで危険を減らし多少は扱うことが出来たと思う。ウェアウルフはその速さと腕力をもって、通り抜け様に切りつける感じだったと思うが僕に同じことはできない。だから、動かなかったが、他の能力とヴァイスのおかげでウェアウルフとは違った『爪術』の使い方が出来たように思う。このまま同じような使い方をしていけば、僕に合った『爪術』になるかもしれない。その時初めて『爪術』を使いこなしたことになるだろう。
「しかし使いこなすとなると爪がメインの『爪術』は、人である僕には合わないものだな。」
『腕の振るい方とかで参考になるものはあるかもね。でも、『格闘術』の方が人間には合ってるよねー。爪主体で攻撃する人間なんて見たことないし。』
今回『硬化』を手に入れたことで、爪自体の強度が上がり『爪術』も前より硬いものを攻撃できるようになったとはいえ、元が人体の一部の柔らかいものより、剣何かの鉄製のものを『硬化』した方が固くなるし、爪という手の一部しか使えないものより格闘のような、手足で攻撃できる方が単純に手数も増えるし威力も上がるしいいだろう。
「と言っても現状無い物ねだりでしかない、あるものを使っていくしかないんだけど。」
『強化系も増えてきたし、能力の使い方次第で結構戦えるようになってきたと思うけどね。特に、敵と戦う覚悟が出来たと思うよ?牙猫と殴り合うなんて君ぐらいしかしないでしょー。』
『百獣の狩場』に来た目的の『俊敏強化』は手に入れたものの、サーベルタイガー型との戦いで、手に入れた能力も使いこなせなきゃ強くはなれないことを実感し、先を潜ってみることに。
「『硬化』は分かりやすい能力だけど、『乱打』ってどこまでだろうな。十なのか二十なのか百なのか。それとも任意の回数なのか。だけど、『乱打』という名前からして最低回数はあるはずだよな。」
『『乱打』使うなら殴りだよね?そうなると、爪をしまい込む形になるから『爪術』使えないけど、良いの?』
『乱打』は殴るときだけだけど、『爪術』は攻撃時までの動作も補正が付くよとヴァイスは言う。けど、『俊敏強化』のおかげで動体視力も上がった感じがする今、サーベルタイガー型の乱打を避けることが出来るようになった僕に、『爪術』は果たして必要か?
「自己流になるが格闘術を鍛えたほうがいいな。だから、『爪術』は使わなくても良いと思う。幸いにも、さっきのサーベルタイガー型との戦闘で避ける技術は身に着いたと思うから、攻撃面を『乱打』で補おう。アスール達にグローブになってもらい、さらに宝石纏いと『硬化』をした『乱打』は攻撃力高そうだろう?」
定位置に乗って来たヴァイスと話ながら十一階層に降りてきた。
降りてきたここは、またしても草原のような、背が膝上あたりまである草が生える階層だった。
「また草原だけど、今度はやたら乾燥してるな。草の背の高さからするとそこまで大きさはないか?」
『今まで出てきたのやたら大きかったもんねー。でっかい猫はもちろん速い猫も黒い猫もしっぽが短い猫も大きかったもんねー。』
最大の猫科の虎はまだしも、それよりは小さいはずのチーター型でさえ、魔物化したからかデカかったからな。それを考えるとここで出てくるのは、元が小さい猫科か?スナネコみたいな小型の猫科か?
『あ!なんかあっちで動いた!草が揺れたもん!』
ヴァイスが指し示す方を見てみるが何も見えない。虎型や黒豹型の時のように姿を隠してるのだろうか。
『今度はあっちだ!魔力は複数感じないから、たぶんさっきと同じやつ!』
今度は先ほどと真反対の方向を指すヴァイス。本当に同一個体だとしたら相当足が速い感じなるんだが。
『なんか草が揺れる瞬間だけ魔力が大きくなるんだよねー。こいつ何がしたいんだろ?』
魔力が膨れ上がる?殺気が膨れ上がるは黒豹型の時に聞いた気がするが、魔力が膨れ上がるとどうなるんだ?それに確かにこいつは何をしたいんだろうか。こちらは草が揺れたから気付いてるだけで、その前に攻撃されたら不意打ち成功になりそうだけど、攻撃はしてこない。
ヴァイスは不意打ちも防ぐってわかってるから怒るなって。
「殺気はどうだ?魔力が大きくなったときって殺気は大きくなってないのか?」
『殺気は変わらないねー。なんか、警戒してる感じ?こちらを見極めてるのかなー?』
中ボスの後だからか魔物の性質が変わったのか?前は、こちらが探すまでもなく襲ってきたり、隠れてても背を向けたりしたら襲ってきたのに、こいつは背を盗っても襲ってこない。
もし、万が一だが。目で追えないほどの速さなら、ウェアウルフ以来の速さだぞ。しかも、この高さの背に隠れてしまうくらいの大きさの。攻撃を当てるのも防ぐのも難しい難敵だな。
ご覧いただきありがとうございます。
この作品が「面白かった!」「続きが気になる!」と思ってくださった方は
ブックマーク登録や下の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にして下さりますと私が喜びます。
よろしくお願いします




