中ボス前の作戦会議
「十階層に到着っと。『自重軽減』と『悪路走破』の相乗効果は凄いな。走ってる間の姿勢制御も悪路走破に含まれるとは思わなかった。」
『自重制限』で軽くしたおかげで一歩が大きくなったが、足元が悪いため困難になるかと思った。そこで『悪路走破』が役に立った。ここまで来るのにも普通の地面のように歩けていたため役に立ってはいたんだが、その恩恵が何倍にも膨れ上がった。自重が軽くなったため一歩が大きくなり、それが走り判定になったのかどんどん歩きやすくなりそれに伴い『悪路走破』の恩恵が強くなるという好循環。おかげで、十階層までに一度でいいから戦闘でも使ってみたかった能力を使う機会が無かった。
「ここで出てくる中ボスが大きくパワー系なら『自重軽減』を切り、小さくスピード系ならそのまま使っておく。軽減してるときの自分たちの重さには慣れたと思うから切ったときに戸惑わないようにな。」
『体が軽いと高く飛べて面白いんだー。だけど、しっぽ短い猫の時みたいに、その場で爪を受け止めるのは難しいかなー。僕に傷はつかないけど、吹き飛ばされると思う。君と同じだねー!』
『爪術』の受け流し失敗と同じではないだろうよ。僕のは防御失敗で吹き飛ばされてるが、ヴァイスは重さが足りなくて飛ばされそうってことだろ?しかも僕は飛ばされた先で怪我をすることもあるし。
「十階層のボスが何か分からないし、気を引き締めような。」
『もう油断しないからね!どんな敵が出てきても君の事は僕が守るよ!』
ヴァイスの頼もしい宣言を聞きながら十階層を探索していく。一階層みたいな洞窟型に戻ったダンジョンは上の階とは違って歩きやすい。『悪路走破』は発動しないから探索速度は速くは無いけど。
「なんだか久しぶりに感じるな、スライムを見るの。どこのダンジョンにもいるって聞いてたけど、ここまで見なかったからてっきり嘘なのかと思ってたが。」
『スライムしかいないねー。この階層ってスライムしか出ないのかな?十階層の中ボスってスライムなの?』
「そういうわけじゃないだろうな。ここに居るスライムが各階層に散って掃除屋としての仕事をしてるんだろう。おそらく通常時から上層とかにいたら、ジャガー型や豹型とかに蹴散らされて数が減るだけなんじゃないか?」
ヴァイス達と違ってスライムの柔らかボディじゃあの爪や牙にプチっとされてしまうだろうし。
「中ボス以外出ないここはスライムにとって居やすい環境なんだろう。どうやって各階層に散ってるかはお前たちの方が知ってるんじゃないか?元ダンマス様?」
『人に見つからない位置にスライムだけが通れる道でも作ってるんだろうね。小さい穴なら作るのも楽だし!』
ヴァイス達がいた宝石箱の先の道のようなものか。僕が落ちた落とし穴は何用だったのか謎だけど。でっかい青用だったのか?
スライム見ながら雑談をしつつ中ボスの部屋の前に着く。部屋は分かりやすく扉が設置されており、いかにもこの中に中ボスがいますという感じだ。
「虎やチーター、豹にジャガーが来たダンジョンの中ボス。推測ラスボスライオンだけど、中ボスに何が来るのか。」
緊張しながら部屋の中に入る。開けようと思いながら手をつくと独りでに開き、中に入ると勝手に閉まった。扉が開いたときは薄暗かった部屋の中は扉が閉まるとだんだんと明るくなり、部屋の中心にいる魔物をあらわにする。
「地球上の猫科に似てる魔物が多いと思っていたが、絶滅種も出てくるんだな。ダンジョンって本当になんなんだろうな。」
広場のような円形の部屋の中心で待ち構えていたのは、鋭く長い牙が特徴の大型の魔物。その伸びた犬歯は口に収まることなく剥き出しで先端は掠っただけでも切り裂かれそうな鋭さが見える。四肢も太く筋肉質で爪も強力だと思われる。
『あの犬歯は危ないかもー。君は近づかない方が良いかもね。』
「言われなくても。あの牙に対抗できる術を持ってないからな。戦闘はヴァイス達に任せる。僕は狙われないように隠れておく。」
サーベルタイガー型が動かないことを言い事に作戦会議を開始する。
「あの四肢の感じからチーター型のような速さは無いと思う。どちらかと言えば虎型のようにパワー型かな。パワー負けしないように『自重軽減』は切っておくか。」
『あの牙で切り裂かれないように宝石は纏っておくけど、しっぽ短い猫の時と同じ作戦使えると思う?あれが出来るならパターン化も出来てるし楽に倒せそうだけど。』
ヴァイス以外が姿を消して回り込む作戦か。出来るならヴァイスの言う通り楽に倒せそうだけど。
「今もこっちを観察してるあいつに姿を消すだけで動揺を誘えると思うか?」
『ずっとこっち見てるねー。どうして襲ってこないんだろう?』
「ああやって相手に先手を譲るというのが強者の余裕なんじゃないか?」
今もずっとこちらを見ているサーベルタイガー型を見ながら作戦会議を続けていく。
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