『隠れる』が結構便利
大きめの水場に辿り着きヴァイス達の体を洗う。
『ふぅー。さっぱりしたー!僕の輝きが戻って来たね!』
「アスール達も綺麗になったな。だけど、僕にくっつくなよ?拭くものが無くてびしょびしょだから。こっちに跳ねようとするな!」
水場の縁で少しばかりアスール達と戯れた後、作戦会議を開始する。
「この階層に出てくるずんぐりした猫型魔物。仮称ジャガー型だけど、ヴァイスがあいつの攻撃を防げるのは分かった。アスール達はどうだ?あいつの攻撃防げそうか?」
『防ぐのは出来ると思うよ?防ぐのは僕たち得意だからね!だけど、そのあとは厳しいと思う。ただでさえ大きいから拘束するのも一苦労だよ。』
「黒豹型の時みたいに事前に察知は出来ないのか?殺気や魔力で見えるんだろ?襲われるよりこっちから行く方が有利を取れると思うんだけど。」
『しっぽ短い猫は殺気隠すのも上手いみたいで黒猫ほどわかりやすくは無いんだよねー。そのせいでさっきも反応遅れちゃったし。足音で判断するのが一番だと思うな。』
ここら辺は水っぽいびちゃびちゃした地面だから足音もわかりやすいけど、固い地面になったら分からないってことか。黒豹型は自然を味方にした隠れ方だったけど、ジャガー型は自然が敵になっているのにあの隠密性の高さ。爪の攻撃力も高そうだったし、ちゃんと攻略法を見つけたい。
「どうにか先にジャガーを先に見つける方法はないものか。」
『殺気が高まれば僕たちも見つけることはできるけど、さっきも飛び掛かってくる寸前でようやく見つけたって感じだから、難しいかなー。』
「僕の『嗅覚強化』は全体から獣の匂いは感じるけどそれよりも水の匂いが強いくて感じ取りにくいし、聴覚が強化されればより遠くの音が聞こえて、近寄ってくるのが分かると思うんだけど、持ってないしな。」
『先に見つけるのは困難かなー。見つかってからの対処の方が分かりやすいかな?』
「ジャガー型は僕を狙ってきてたから、ヴァイスが近くにいてくれれば初撃は防げると思う。もしもの時は『爪術』で弾くことも出来なくはないし。」
力負けして吹き飛ばされたとはいえ、ジャガー型の攻撃による傷を受けなかったことは自信になってるし。
『じゃあ僕が常に君の近くにいて、アスール達に周囲を警戒、襲ってきたところを倒すって言ういつも通りの事をやるしかない?』
「先に発見できないならそうなるよなー。」
先に発見できなくともヴァイスが守ってくれるなら安全確保は出来るか。アスール達も含めた僕たちには圧倒的な攻撃力不足だよなー。どうにかしたいけどどうにもできないな。『噛み砕く』って通じるか?
「拘束役のアスール達には頑張ってもらわないとな。僕の安全は君たちにかかっているぞ!」
湿地帯に潜伏するジャガー型が一体で現れることを願いながら探索を再開する。作戦会議の間で渇いたヴァイスは僕の頭の上。アスール達を両肩に乗せ周りの警戒をお願いする。殺気は分からなくとも、魔力なら注意していればわかるはず。たぶん。おそらく…。きっと……。
「ここら辺の木が大きく太くなくて良かった。確か大型猫科って木の上に登ることもあるけど、ジャガー型のあの大きさなら木が耐えられないからな。上からの警戒が無いだけでだいぶ楽じゃないか?」
『もし上から来られたら、水を跳ねる音も聞こえないし、危険度は増してたかもね。』
そんな話をしてた時に上から葉の擦れる音と共にがさがさと何かが落ちてくる。
「そんなずんぐりとしてるのに、耐えられる木があったのか。その木の強度何かに使えそうだし、どの木か教えてくれないか?」
『さっきのより大きいけど、どれに乗ってたんだろ?それともジャンプしただけかな?』
「それは大ジャンプだな。アスール達も気づかなかったんだろ?ジャンプする音も聞こえないほど離れた位置から飛んで来るとは。」
上から来たジャガー型に対しヴァイスが盾になり、上からの衝撃を横にずらす。頭の上に乗せておくのは危険かと思ったけど、僕に傷一つ付けないというヴァイスの言は実行され、首に負担は一切かからなかった。それでも怖いから戦闘時は降りてもらうよ。
『攻撃は僕が防ぐからアスール達はさっきと同じ手順で。行くよ!』
アスールとルージュがジャガー型の後ろに回ろうとしたとき『隠れる』を使っておく。ついでに自分にも。奇襲を防がれたことで今ヴァイスに注目しているから、これでより見つかりづらくなったはず。
アスール達が完全に意識の外に行きヴァイスに飛び掛かろうとした瞬間、アスール達が後ろ脚に絡みつきタイミングをずらした。不意打ちを喰らったジャガー型は完全に体制を崩し、顎を地面に打ち付けしばらく起き上がれない。その間にヴァイス達は前足・後足・口元を拘束し、僕が安全に食べられる状況を作ってくれた。
「手に入れたばかりの時はそこまで使えないと思ってたけど、『隠れる』が結構便利。」
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