表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/34

高級感は作れる

 青いスライムはラムネ味。赤いスライムはコーラ味。緑のスライムはメロン味。黄色のスライムはパイン味。『粘魔の宝石箱』で確認できたのは4色のミニスライムで味はそれぞれ上記の通り。食感はゼリーで、魔石を食べると途端に炭酸風になり、非常においしく食べられた。


「毒であるはずの魔物をおいしく食べられちゃったなー。」


 本来、魔素の塊である魔物を食べることは厳禁とされており、戦闘中に不意に摂取してしまった場合はすぐに吐き出すように厳命されている。過去に食糧不足に陥ったとき、ダンジョン内の魔物を食べる実験をされたことがあったが、食べた瞬間血を吐いて倒れたってあったから、本当に駄目なんだろうね。

 その時に試された魔物は牛型の魔物『モーカウフ』。ドロップに肉があるため、一切れほどのドロップ品より、切り分けて食べたほうがと実験対象に選ばれた。普通に倒すとドロップに変わるため、倒さない程度に切り分けて食べたらしいがダメだったらしい。ドロップ品の肉は絶品のおいしさらしいんだけど、魔物からの直取りは人には毒。こういうことがあり、魔物を摂取するのは厳禁!


「炭酸ゼリーがおいしいからな。人には見せられて姿じゃないけど、食欲には抗えない。」


『悪食王』のおかげで、毒ではなくおいしいお菓子になったスライムたちを食べていく。


「ほぼほぼ無抵抗だから食べちゃってるけど、小さいお菓子とは言え、10個近く食べるなんてきついはずだけど、全然そんなことないな。なんでも食べられるようになったついでに、どれだけでも食べられるようになってるのか?」


 一階層の外周を回りながらミニスライムを食べていると、壁に消えていくスライムが目に入る。


「え?スライムが壁の中に入った?スライム種はよく伸びるし、半液体ってことだから、隙間に入るならわかるんだけど、どう見ても壁だし、こんな初心者ダンジョンに隠し部屋なんてあったら誰かが気付きそうなものだけど。」


 スライムが入っていったところを調べようと壁に手を着く。


「うおっ!」


 着こうと思ったところで何もなかったら思わず声が出るよな。階段踏み外したときとか。


 前に突き出した手が壁に当たることなくすり抜ける。そこは小さなスペースになっており、通常なら下に降りる階段しかないはずのダンジョンで、上に上る階段があった。


「何でこんなところに階段が?それも下の階層ならまだわかるが、ここって一階層だぞ。どうして上に上る階段があるんだ?」


 いくらダンジョン初心者と言えど、これがおかしいことくらいは分かる現代人の僕は、最大限の警戒をしながら好奇心を抑えることが出来ず、恐る恐る階段を上っていく。


 隠し部屋に入っていたスライムは階段前で跳ねていたので、この場所を教えてもらったこともあり撫でるだけにとどめて置いて来た。


 階段を上って仮称零階層。恐る恐る階段から覗いてみると、そこはまさに『粘魔の宝石箱』!ジュエルスライムが至る所でぽよぽよしていた!


「これはまさに『粘魔の宝石箱』だわ。ダンジョンの名称を決めた人は誰だか知らないが、絶対にこの場所を見たな。そのうえで隠してたんだろうが、この光景を荒らされるのは僕も嫌だな。」


 この場所は秘密にしようと心に決め、階層に足を踏み入れる。


 ジュエルスライムたちも下のスライム同様、敵対してくることは無く、隣を通るくらいは簡単に出来た。


「この光景を壊したくないって言う自分と、味が気になるっていう自分がいる。」


 階層を歩き回りながら、悩みに悩んだ結果、一匹で居るのを見かけたら敵対してみようと決め、探してみる。ここまで見て回った所、基本2匹で居ることが多く、赤と青や、黄色と緑など、同色が一グループにいることを見かけない。何かジュエルスライムにルールみたいのがあるのだろうか。


「ようやくいたが、周りに他の奴はいないよな?」


 ようやく見つけた1匹でいるジュエルスライムを他のスライムに見られないように素早く確保する。

 ここまでスライムと特徴が似てるなら、敵対するのは手に持った一体だけのはずだが、万が一、階層内の全てのジュエルスライムが敵対して来たら大変だから、隠れるように端へ端へ移動する。


「ここなら誰もいないよな?」


 ジュエルスライムのいない行き止まりに着き、後ろについてくるスライムがいないことを確認する。一匹のジュエルスライムを探していた時、横を通り過ぎたジュエルスライムが後を着いてきたことがあったのでしっかりと確認する。何が目的なのか30秒ほどでどこかに行ったが、その30秒で、見逃したソロジュエルスライムが2度ほど。


「それでは、いただきます!」


 ジュエルスライムを食べ始める。

 赤色なので、スライムと同じならコーラだな、と思いながら口に含むと想像を裏切る肉汁感!これは高級なお肉な予感がする!肉肉しい感じにスライム特有の液体感が合わさり、まさに口に入れた途端溶けて消えるようなお高いお肉感が味わえる!高いお肉なんて食べたことないから分からないけどさ。

 僕が食べたことあるもので一番似てるのは、炭酸に浸して焼いた肉。あれはお肉が柔らかくなっておいしい。炭酸繋がりでもしかしてそれか!?


 ジュエルスライムの味を堪能していると、背後で動く気配。

 後ろを振り返ると、赤と青のジュエルスライムが佇んでいた。


「君たち、もしかして今の見てた?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ