力不足と求める気持ち
目的の『早食い』を獲得したので、ささっと『子犬の庭』を攻略して脱出してきたわけだが。
「最後のウェアウルフは何も出来なかった。コボルトはまだ見えてたし、やられるとも思わなかったのに。」
『最後の狼は確かに速かったねー。僕ほどじゃなかったけど、もう少しで君がやられるところだったよー?油断大敵だよー。』
コボルト戦でさえ見えるだけで対応は出来ていなかった。けど、ウェアウルフは気づいたら目の前にいて、爪が目の前まで迫っていて、ヴァイスに守られていた。油断なんてものじゃない。そもそも目で追う事すらできていなかった。圧倒的に僕の実力が足りていなかった。
「ヴァイスがいなければあの時やられていたな…。」
『僕たちがいてよかったでしょー?僕たちの防御は竜の攻撃も防げるからね!』
「竜の攻撃は分からないけど、ウェアウルフ程度では問題ないことは分かったよ。だけど、あのボスが四体以上いたら、僕は瞬きの間にやられていただろう。君たちの防御に絶対の信頼は置いてるけど、僕自身が弱すぎてね。だから僕は強くなりたい。何も分からず死にかけるなんてもう嫌だ!」
『あれが四体以上居たって僕たちなら問題なけど、君が強くなることには賛成だね!』
アスールとルージュも僕が強くなることに賛成を示す様に飛び跳ねる。アスールの方が高く飛ぶのは、最初の決めごとを覚えてるのか、アスールのテンションが高いからか。
「と言っても、今から鍛えるとしても、ウェアウルフに勝てるようになるには何年も先になるだろう?だから、『悪食王』を使って行こうと思う。ヴァイスが知る限りでいい。どんな能力があるのか教えて欲しい。特に、身体能力があるやつだと嬉しい。」
『身体能力をあげるやつ―?ならさっきの狼も持ってたと思うなー。確かー、『脚力強化』?前に集会の時に、蹴られたのを思い出したよ。僕の防御で逆に足を折ってやったけどね!』
他のダンマスに自分の強さを見せつけるためにそんなことするなんて馬鹿だよねー。ってヴァイスは言うけど、自傷で足が折れるって、その『脚力強化』結構強いんじゃないか?それとも、ウェアウルフの身体能力が高いから、その効果も高いのか。
「ならウェアウルフを周回して、その『脚力強化』を取ろう。」
あのとき、いろいろなものを食べてみたいと『百鬼夜行』に行かなくて本当に良かった。『粘魔の宝石箱』が初心者が戦闘の練習に行くところというのを忘れ、自惚れていた。仮初のキングスライムを倒したことで、調子に乗っていたんだ。ヴァイスに『百鬼夜行』は無理と言われてなければ、後悔する間もなく死んでいたな。
「ありがとな。ヴァイス。」
『何ー?周回の事?君が強くなってくれれば、他の所にも行けるようになって、僕も楽しめるからねー!良いてことよー!!!ねー?アスール!ルージュ!』
あれから周回をし、無事『脚力強化』の解析が済んだ。この能力は常時発動型で、速くなってる実感がある。ウェアウルフほどの目に見えない速度というわけではないから、やはり、もともとの脚力依存みたいだ。それでも、これのおかげで、コボルトの攻撃を避けることが出来るようになった。
僕自身を鍛えるか、『剛力』みたいな、筋肉量をあげる能力があれば、もっと速くなるかもしれない。
「取り合えずギルドに戻ろう。僕自身が強くなるための能力を探すために。」
『戻ろうー!戻ろうー!』
ギルドにはダンジョン情報とそこに出る魔物の特徴があるはず。もしなくても、神帝さんに聞けば教えてくれそうだし。あの人、いつも従魔登録の所にいるけど、たぶん担当の人ではないんだよなー。
ギルドに着き早速ダンジョンの情報がどこにあるか総合受付で聞いてみると、二階に書庫があるらしい。本をギルドの外に持ち出すこと、破いたり折ったり汚すことはしないようにと注意される。これでも読書家の僕だ。本は大切にするよ。
書庫に入り、目に付いた本を手に取ってみる。
「『開田宝寿の冒険記』?」
内容は、主人公の男がいろいろなダンジョンに潜り、魔物に襲われながら新たな領域を開拓。その中でも、特に素晴らしいと思った領域を紹介する内容だった。文字のみの記載だったが、『粘魔の宝石箱』も少し出ていた。誰にも言えない。言いたくない領域に辿り着いた。と書いてあったから、もしかしたら、ダンジョン黎明期に活躍した冒険者なのかもしれない。
「なぁ僕より前に、宝石箱に辿り着いた人っていたか?」
『君より前ー?うーん。いたかなー?アスール達は知ってるー?』
知らないというように横にふりふりしてるから、もしかしたら階段上ってすぐで引き返したのかもね。
「少し気になっただけだから、いいよ。それより、能力について調べないとね!ヴァイス達もそれらしい本があったら教えてくれ。」
端から見ていくと、ダンジョン情報はたくさんあるも、内容は階数、出てくる魔物、ドロップするアイテム、採取できるアイテムと普通の冒険者なら十分な情報が書かれたいた。
「僕が知りたいのは、魔物が持ってる能力なんだけどなー。魔物に対して解析してる人はいないのかなー?」
ヴァイス達も探してくれてるけど、目的の本はまだ見つからない。
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