粘魔の宝石箱のボス
10話・11話を修正しました。ぜひそちらからお読みください。
十階層はそこそこ大きな円形の広場になっていた。半径十メートルほどかな?まだ何もいない。
『中心に近づくと任せたボスが出てくるようになってるんだ。何が出て来るかは忘れちゃったけど。』
ヴァイスはいつも通り頭の上。アスールとルージュは肩の上から下りてぴょんぴょん跳ねている。時折遊ぶように跳ねるリズムを変えてるのを見ると、初めてのボス戦って言う緊張感が無くなってくるよ。
『何が出てくるか楽しみだなー!そうだよね?アスール!ルージュ!』
君は覚えてないと任せれたボスも可哀そうだろ?初心者御用達のこのダンジョン。ここをクリアしてから他のダンジョンに行く人が大多数だから、何回倒されたのか数えられないほどだと思うよ?
部屋の中心まで残り三メートルほどまで近づいたとき、部屋内に魔力が集まりスライムが十匹現れた。
「スライムしか出ないからボスもスライムなの?数を揃えてもスライムじゃ誰も負けないと思うなー。」
僕たちはー?みたいに顔を覗き込んでくるんじゃありません!君たちは出会えたらラッキーって言われる、幻なんだから含みませんよ!
拍子抜けしてアスール達と戯れていると、十匹のスライムたちが集まって、ぐるぐると回るように不思議な踊りを始めた。鳴き声もないスライムたちがぐるぐる回っているのはとてもシュールだな。
アスール達も一緒にぐるぐる回り始めたけど、何が起きてるのか分かってるの?二匹が楽しいならいいんだけどさ。
ぐるぐる踊り回っていたスライムたちが突如光だし、合体!二メートル半ほどの大きさで頭の部分に小さな王冠を被った魔物に変化した。
『あー!思い出した!そういえばキングスライム君に任せてたんだった!って言っても、本物を置くと難易度が変わっちゃうから偽物なんだけどね。』
「あれはどう見てもキングスライムだろ?偽物ってどういうこと?」
姿かたちは本物とそっくりだけど、本物のキングスライムは出現からキングスライムで、種族も粘魔種じゃなくて王種なんだって。種族なんて分からないけど。
でも、本物は目の前のキングスライムより圧力が桁違いで、このキングスライムは外見を真似しただけ。強さも合体したスライム十匹分の強さらしい。
「こいつの攻撃方法とか覚えてない?」
ボスなだけあって、道中に出てきたスライムたちとは違いしっかりと敵対してくる。しかし、十匹が合体したからか、動きは遅くとりあえず離れておく。
『この子たちの攻撃方法?体当たりくらいじゃない?本物なら触手や溶解やいろいろ出来るけど、この子は十匹が合体しただけだからね。十匹分の意識が一本化されないと、今みたいに動くのも大変さそうだよね。』
今はアスールとルージュ、そして僕の三つの目標があるから、意識が一本化されてないってことだな。
「それなら悪食王を使うのも簡単じゃない?」
動きの遅いキングスライムに近づき能力を使おうと手を伸ばす。
その瞬間動きの遅かったキングスライムが途端に早く避けるように動いた。さすがスライムの塊。めっちゃ凹むじゃん。
「防御だと意識が一つになり速く動けるんだな。」
中立だとあっさり捕まるスライムでも、敵対するとこんなに素早くなるんだな。
一定の距離を取ると動きはまた遅くなるけど、さっきの手が攻撃とみなされたのか、アスール達より近づくと、途端に動きが速くなる。
攻撃のタイミングまで揃う事は無いのか、表面がぼこぼこと泡立つみたいな攻撃だけど、当たりそうなものは頭の上のヴァイスが防いでくれる。
『防御は任せてよ。このくらいの細さでも、硬さはダイヤモンド級だからね!問題ないよ!』
防御はヴァイスに任せていいようだけど、このままじゃ攻撃に移れない。手を触れるだけだけど。
動きが止まればいいんだけど。
『捕まえられない感じ?アスール達に捕まえる様に言おうか?大きさが何倍も違うけど、抑えるのは簡単だと思うし。』
「それじゃあ頼む。動きが止まれば悪食王で食べる。」
ヴァイスを通してアスール達に捕まえる様に指示を出し、アスール達が体を伸ばしキングスライムを捕まえる。
「二匹がかりで捕まえてるからさすがに逃げられないだろう。」
キングスライムに手を突き悪食王を発動するとラムネ味のゼリーだった。
「スライムの集合体だから当然か。」
ちょっとだけ、別の味がするかなって思ったけど変わりなかった。
悪食王を使いキングスライムの体積が減っていくと、キングスライムが光り九匹に分裂。アスール達から逃れたところでまた光、合体。さっきより少し小さいキングスライムが現れた。
「あんな能力あったのか?」
『スライムが合体してるだけだから、分裂も出来るよね。緊急離脱には便利そうー。』
その後、アスール達に捕まえてもらい、悪食王発動。キングスライムが分裂し再合体を繰り返すこと八回。残り一体になったときただのスライムのはずなのに、小さな王冠を被っているのを見たのは驚いたね。
『僕たちも合体と分裂してみる?アスール、ルージュ。…あ、やらない。そう。』
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