余市で ウイスキー
この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・店・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
え?似たメニューを知ってる?それは偶然です。偶然ですってば。
今日は何を飲もうかな。
うん。今日はウイスキーにしよう。
JR函館本線 余市駅から西に向かって徒歩3分。
ニッカウ○スキー余市蒸溜所だ。
以前も話題に上げたが途中にある柿崎商店は安いし2階は食堂となってるのでオススメだ。ただし行列は覚悟しておいた方が良い。
こちらの余市蒸溜所だがドラマ「マッサン」の舞台となったこともあるから知ってる人もいるだろう。日本のウイスキーの父と呼ばれる創業者が理想郷を求め辿り着いた場所がこちらということだ。場所選びの苦労を思うと頭が下がる思いだ。
古くは倭姫命・倭比売命(やまとひめのみこと)が諸国を巡った末、神託を受け現在の場所に伊勢神宮を創建したとされているが、様々なところを巡り歩いて創立する場所を選ぶというのは割と耳にする話だ。良く分からないがその土地と何かしらの縁があったということなのだろう。浪漫を感じる。
伊勢神宮と言えば式年遷宮という行事をご存知だろうか。
簡単に言えば社殿(神社の建造物)を定期的に建て替えることで、伊勢神宮では二十年ごとに実施されている行事のことだ。前回実施されたのが2013年で第一回からおよそ1300年に渡り行われている行事とのこと。単なる建て替えを超えて伝統文化と言っても過言ではないだろう。
式年遷宮を二十年ごとに実施する理由は諸説あるらしいが個人的に納得感があったのは「職人の技術を後世に伝えるため」説だ。
もちろん社殿の老朽化を改善するのが主目的だろうが、なぜ十年でも三十年でもなく二十年としたのか?現代はもちろん、当時も建て替えには大勢の人員や莫大な費用が掛かったことは想像に難くない。十年で建て替えるには新しすぎるというのもあるが資金調達が難しい側面もあったのではなかろうか。
かと言って三十年ごとにしてしまうと、資金調達は楽になるだろうが職人の育成や技術の伝承が途絶える可能性が高かった背景があるのではと思う。何せ現代と異なり平均寿命が短い時代だ。特に第一回が始まった近辺の食料や医療その他生活環境を考えると二十年でもギリギリだったのではなかろうか。
歴史を振り返ると皇室を中心とした貴族ですら現代とは比べ物にならないほど平均年齢が低いのだから記録に残らない平民の平均年齢など言うまでも無いだろう。そう考えると二十年という歳月は政治経済軍事その他諸問題を内包していたとしても妥協せざるを得ないギリギリのラインだったと想像すると浪漫が膨れ上がる。ドラえもんがいるなら是非タイムマシンで答え合わせしてみたい。
個人的に妄想すると、引退・隠居間際の親方から若い職人へ技術を継承するイメージだ。そのようにして宮大工の技術が現代まで受け継がれてきたと思うと連綿と受け継がれてきた技術と歴史に浪漫を感じる。何なら歴代の技術者と酒を酌み交わして自慢話を聞きたいほどだ(笑)
そんな浪漫溢れる式年遷宮を、ごく一部とは言え一般人でも見学できる部分があるとの話を聞いたので2013年に実施された行事に私も参加した。
伊勢神宮は内宮(ないくう)外宮(げくう)と呼ばれる2つの正宮(しょうぐう)で構成されている。正宮とは本社・本宮のことである。ちなみに伊勢神宮の正式名称は神宮(じんぐう)で、他の神宮と区別するため伊勢神宮と通称されてるとのこと。日本全国に点在する神社のトップオブトップと言ったところだ。特別感があるし色々な創作物の題材にもなりそうだ。
他の神宮・神社と異なり2つとも素晴らしいのだが特に内宮は最低でも一度は訪問する価値があると感じた。
入口の鳥居を潜り抜けたところに掛かる宇治橋(うじばし)を渡った先から神域と呼ばれる領域となるのだそうだが、実際に訪問すると橋を降りた付近に見えない結界が張られてるのでは?と思うレベルに空気感が異なり戸惑いを覚える。初訪問時は驚きすぎて振り返ってしまった。そのくらい清廉な印象を受けるのだ。
ピリッと張り詰めた空気などの表現は聞いたことがあるだろうし感じたことがある人もいるだろう。それと真逆な印象を受けたと言えば良いだろうか。端的に言えば「浄化」された空気感を否が応でも味わうのだ。
自然に頭が下がる荘厳さをも感じると言って良い。奥に進むに連れ清廉な空気をより濃く感じるのは大自然の力が大きいのだろうが、長年行われてきた神事の数々や全国各地から信仰を受けて来た聖地でもあるからなのかも知れない。ぜひ一度はお伊勢参りして体感いただきたいと思う。
そして内宮と言えば有名なのがおはらい町・おかげ横丁だろう。団子などを食べながら練り歩くだけでも楽しさを味わえる。誰もが知る赤福も売ってるのでお伊勢参りの際は是非こちらの通りも楽しんで欲しい。
盛大に脱線した。元に戻ろう。
こちらの余市蒸溜所はガイド付きのツアーもあるが普通にフリーで見学することも出来る。ガイド付きの方がより理解が出来るのは良いのだが時間を拘束されるのが嫌なのでフリーで見学することに。
実際にウイスキーを作っていた各棟を見学できる他ミュージアムやレストランもあり、敷地も結構広大なのでなかなかのボリューム感を楽しめる。個人的には樽の貯蔵庫とウイスキーが自然に蒸発する通称「天使の分け前」が興味深かった。樽自身の香りやピートを燻すことによる匂い付けというのは香りや味にかなりの割合で影響するのだなと感心した。
もちろん最後は目的の試飲である。
度数や年数の違いなど色々試せるのだが、個人的に面白いと思ったのはウイスキー自体よりもツマミとして提供されている甘納豆だった。
ウイスキーのツマミに甘納豆??と最初は驚いたが食べ合わせてみるとあまりの美味さに目を見開いてしまった。何だコレは旨すぎる。というか余市蒸留所でシレっと出される甘納豆が単体で食べても旨すぎる。このレベルはスーパーで買える気がしない。グラムでなくキロ単位で買って帰りたいと思うレベルだった。
試飲しなくても見学だけでも楽しい余市蒸溜所。私は未訪問だが近隣には余市宇宙記念館もあるらしいので家族連れでも丁度良い休日を楽しめるのではないかと思う。気になる方はチェックして欲しい。また来ます!
ごちそうさまでした。