旅館の窓辺に 「あの空間」がある理由
この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・店・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
え?似たメニューを知ってる?それは偶然です。偶然ですってば。
今日は何を飲もうかな。
うん。今日は格安チェーン店にしよう。
○高屋だ。
中華丼を食べたくなったので訪問。早速乾杯!(終わりの始まり)
安定の旨さ。
***
皆さま旅館の窓辺にある「あの空間」はお好きだろうか。
風情や情緒および非日常を味わえるので私は大好きだ。
通常の居室とは別にわざわざ設けられた「何に使うのが正解なのかよく分からない」まさに贅沢な空間と言えるだろう。「広縁」と呼ぶらしい。
しかし大好きとは言ったものの自身が広縁で楽しむかと言えば「否」である。
何故ならば「リラックスするために使う場所」と説明されても小市民な私は挙動不審となってしまうからである。「あっしなんかが使うなぞとんでもございやせん」というヤツだ。卑下しすぎな姿勢であることは認める(笑)
「広縁でゆっくり景色を楽しみながらお茶を楽しむ」ような使い方をする人を客観的に眺めるのは好きなのだが、自身がそこでリラックスする姿には強く違和感を覚えるし落ち着かない。素敵な景観に自身は邪魔なのだ。
一部界隈でまことしやかに囁かれる「壁や天井になって推しを眺めていたい」気持ちに近いのかも知れない。←多分違う
そのような広縁だが、何故旅館には標準装備のように設置されてるのか?に対する答えを書いてる記事があった。
※参考。なぜ旅館の窓辺に「あの空間」があるのか?
https://www.bengo4.com/c_18/n_19442/
どうやら戦後の観光政策&法律が関わってるそうだ。一体どういうことだろう?
第二次世界大戦後、復興&国際社会への復帰を目指し訪日外国人観光の推進を重要な政策に掲げたとのこと。ん?何か昨今のインバウンド政策に通じるものを感じるが気のせいだろうか。
その政策の象徴と言えるのが1949年に成立した「国際観光ホテル整備法」とのこと。戦後の焼け野原からわずか4年で成立したと考えると相当早いと言って良いのではなかろうか。
どうやら「外国人観光客や外交関係者に相応しい宿泊設備を整備」するため制定されたとのこと。
当時主要ホテルの多くが占領軍に接収されていたため、民間で一定基準を満たす施設を増やす必要があったらしい。空襲でホテルがかなり荒廃した上、優秀なホテルは大半が接収済み。田舎はともかく主要観光地または類する場所のホテルは皆無に近かったそうだ。
復興を後押しするため一定基準を満たした施設には税の軽減措置を設けたらしい。「いつまでも焼け野原のままでは話にならん。いいから(基準を満たす範囲で)なりふり構わず早く復興してくれ」という強烈なメッセージということだろう。
その法律は1952年の改正で「椅子・テーブルが備え付けてある広縁その他の施設があること」を旅館に求めたとのこと。
戦後の一般庶民は食糧事情もままならなかったと聞くので、旅館やホテルは訪日外国人・外交関係者・政治経済の上層部や富裕層などがターゲットだったのだろう。余裕があるゆったりした造りが求められるのも納得である。
また広縁に椅子・テーブルを備え付けることを明記したのも、洋室に慣れた外国人観光客に向けたものだったそうだ。異文化も楽しいものだが慣れ親しんだ空間があった方がリラックス出来るという配慮なのだろう。
ちなみに現在は「広縁」に関する規定は残ってないとのこと。法律も時代に合わせて変化してきたのだなと時の流れを感じる。
時代に合わせた変化で思い出したが、法律は変化が遅い代表格のひとつと言っても過言ではないだろう。
整合性などもあるので慎重にした方が良いことは分かる。だがしかし半世紀以上前に制定された法律が今も変わらず運用されてることに疑問を抱く関係者は皆無なのだろうか?
具体的には金銭の額である。
制定当時の金銭感覚と現代では相当に乖離があると言っても過言ではない。少なくとも10倍以上違うと言えるだろう。
しかし時代に合わせて改正してるか?と問われれば疑問と言わざるを得ない。
例えば有名な扶養控除だが123万円に引き上げられたとニュースになったことは記憶に新しい。しかしながら制定時の月給は6千円を切る金額にも関わらず扶養控除は合計48万円以下である。仮に6千円x1年間+ボーナス4ヶ月分と考えても年間9万6千円。つまり約38万円分は控除されるということだ。
制定から11年後の1961年(昭和36年)で考えても月給は1万3千円ほど。同様に年収を計算しても20万8千円なので27万円分が控除される。
※参考。所得控除に関する資料
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/b03.htm
※参考。国家公務員の初任給の変遷
https://www.jinji.go.jp/content/900025420.pdf
1961年基準で考えても稼ぎ頭と同等以上が控除されてるのに昨今はどうだろうか?半額どころか1/3未満しか控除されないと言っても過言ではないのではなかろうか。
もしかしたら当時は初任給が著しく低く年功序列で右肩上がりに増加したからそれで問題なかったのかも知れないが、初任給から大幅に上がることは難しいと言われる昨今。経済を回す意味でも大幅な控除が必要ではないかと愚行する次第だ。
また扶養控除に限らず犯罪などに対する罰金なども現代の金銭感覚に合わせた改定が必要と感じる。関係者各位には時代に即した改定を進めて頂きたいと切に願う。
熱くなりすぎてすまない。元に戻ろう。
「国際観光ホテル整備法」では「ホテルであれば客室15室以上」「旅館なら客室10室以上」など色々と具体的に定められてるそうだ。また複数言語での標識やインターネット環境の整備なども義務付けられてるとのこと。インバウンド需要をかなり意識した法律と言って良い。
私は基本的に独り旅を好むので必然的に宿泊はビジネスホテルばかりとなり味気ないことは間違いないが、旅館はやはり2人以上。出来れば気の合う仲間数名でワイワイするのが楽しいと感じる。
今後旅館で広縁に出会った際は、戦後の復興&観光政策の名残りなのだなと歴史にも思いを馳せて頂ければと思う今日この頃だ。
***
ちょっと何言ってるか分からない?安心しろ。私もそう思う。
頼んだメニューはこちら。
・そら豆
・マカロニサラダ
・中華丼(ご飯抜き)
・半チャーハン
そら豆
間違いない旨さ。なかなか食べる機会が無いので毎回注文してしまう。
マカロニサラダ
こちらも定番の一品。旨い。
中華丼(ご飯抜き)
基本的に酒を飲む時は「濃くて」「量が少ない」方が、胃の容量に余裕を持たせることが出来る→その分飲めるので有難い(笑)
「濃い」という意味では中華丼のあんかけ部分は充分要素を満たしてるにも関わらず「単品・ご飯なし」の選択肢が無いのが惜しいところである。
ダメ元で顔馴染みの店員さんに「ご飯抜きって出来ます?もちろん料金は同じままで良いので」と聞いてみたところ料金同じで良いのであれば出来ますとのこと。チェーン店なのに面倒な注文で申し訳ない。
予想通りあんかけの甘辛な味付けが豚肉および五目野菜と絡み合い旨い。うずらの卵も大好きなので嬉しい(笑)ご飯に合う=お酒にも合うことがまた証明された
半チャーハン
ついでということで「注文したいけど頼んでしまうとハラいっぱいになる→敢えて敬遠してる代表格」である炒飯も注文することに。
半チャーハンだけど結構ボリュームがある。油の量が足りないのか少々水分が飛び過ぎてパラッとではなくパサッと感じたがチェーン店ということを考えたら及第点だろう。旨い。
総じて満足。念願の中華丼(ご飯抜き)は少々割高感があるもののスープも付くし今後も気が向いたら注文しようと思う。気になる方はチェックして欲しい。また来ます!
ごちそうさまでした。