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鉄フライパンの町工場 借金1.5億が無借金経営へ

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・店・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

え?似たメニューを知ってる?それは偶然です。偶然ですってば。

今日は何を飲もうかな。

うん。今日は格安立ち飲みにしよう。


上野駅の南側、JR高架下の「アメ横商店街」と線路を挟んで反対の東側。

飲み屋街を歩いて3分。ほていち○ん上野4号店だ。


ネギトロを食べたくなったので訪問。早速乾杯!(終わりの始まり)


挿絵(By みてみん)


いつ飲んでも赤星は旨い。


***

一番多い時期で借金1.5億だったにも関わらず2020年に無借金経営となった会社「藤田金属」の記事があった。


※参考。借金1.5億の町工場を救ったフライパン

https://studio.persol-group.co.jp/nama/241111-1


元々はアルミ製の調理器具を中心に製造してたそうだが廃業寸前だった2010年から鉄のフライパン製造を開始。紆余曲折の末、無借金経営となっただけでなく工場の改装費1.2億円すらわずか2年で完済済みとのこと。一体どのような町工場なのだろう――?


一般的な鉄フライパンは「重くて焦げやすい」上「錆止め塗装」がしてあるため使用前に「空焼き」して塗装を剥がしフライパンに油を馴染ませる必要がある。要するに「面倒臭い」が大半の人が抱くイメージではなかろうか。


しかしながら同社の鉄フライパンは特殊な製造法のため軽く、更に特殊な加工方法であらかじめ油慣らし済みなので購入後すぐ使えるとのこと。それは便利だからユーザーから喜ばれたことだろう。


そう言えば私もコロナ禍で自炊にハマってた時期は同社製ではないが軽量かつ空焼き&油慣らし不要の鉄フライパンを購入したことを思い出した。いわゆる初期化作業をせず使用できることに魅力を感じたからに他ならない。(あと軽さ)


しかしながらせっかく鉄フライパンを購入したのに肉野菜炒めと豚キムチ炒めしか作らなかったことは秘密だ(笑)


なお国内に流通するフライパンは年間約3000万枚とのこと。そのうちに占める鉄フライパンはわずか約5%(約150万枚)らしい。確かに鉄フライパンを使用してる家庭は少ない印象だし、飲食店が使用するとしても買い替えは長期スパンとなるだろうから妥当な数字と感じる。


その150万枚のうち約23万枚(約15%)が同社製らしいので鉄フライパンを造る工場は非常に限られてると感じると同時に、今後国内産の鉄フライパンは益々減少していくのでは?と危惧すら覚えるほどだ。


同社は2010年まではアルミキッチン用品の製造が9割を占めてたそうだが、デフレ時代に入社した藤田氏は一番安いアルミ製フライパンが198円で販売されてる&品質より安さが求められてる状況に直面。どの営業先でも「仕方なく買ってやる」という態度を示され「とんでもない業界に来た」と感じたのだとか。


ただ創業者である祖父から「将来は社長になるのだぞ」と言われ育って来た家業のため入社自体は違和感も葛藤も無かったそうだ。


私は家業を継ぐという感覚が全く分からないが同じ立場なら絶望感を覚える自信がある(笑)その強メンタルだけで相当な資質があると感じる。


リーマンショック前後付近から経営が厳しくなり2010年には毎月約500万円の赤字となっていたとのこと。借金で補填してたものの新規借入はどの銀行からも断られる状態だったそうだが、返済の目途が立たないのであれば仕方ないだろう。


私なら胃に穴が開くと思うし想像もしたくない状況だ。


3代目となる父が苦渋の決断で2人の従業員にリストラを告げ、翌朝の朝礼で皆に伝えた時の苦悩は忘れられないとのこと。それはそうだろう。好んでリストラしたワケではないのだ。大企業と異なり全員の顔が分かる人員のリストラはトラウマとなっても不思議ではないと感じる。


ただ同時期にとある会社から「20cmの鉄フライパン」の製造依頼を受注。どうやら継続発注してた新潟の工場が製造停止したため同社に行き着いたとのこと。


アルミを中心に製造してたものの50年ほど前には鉄フライパンを製造。フッ素樹脂加工の普及とともに廃盤となっていたが製造環境が整っていたことと「経営は厳しいがお客様の要望に応えたい」思いから製造することに。


価格以上の品質に喜ばれた顧客から「次は26cmを」と追加依頼を受注。それを機に鉄フライパンの種類を増加したのだとか。2010年以降に鉄フライパンの種類を増やすなど(需要が少ないことから考えると)結構リスクが高い判断だと思うので勇気ある決断と感じる。


なお当初製造してた鉄フライパンは一般的な「錆止め塗装」タイプだったため顧客から「IHの制御機能で火が止まり空焼きできない」との問い合わせが多数発生。そのため空焼き不要の加工技術を考案したとのこと。なるほど。もしかしたら私が購入した製品も同様の経緯で製造されたのかも知れない。


というかIHで鉄フライパンを使えることに驚いた。

そもそもどのような調理器具が使えるのだろうか?


(物理的に鍋底がある程度平らで無いと使えないのは理解できるが)鍋底に磁石が付く調理器具であれば使用可能だそうだ。初めて知った。。


※参考。IHで使える鍋の見分け方

https://sumai.panasonic.jp/ihcook/guide/usable-pot-pan.html


「オールメタル対応IH」とは初耳だがどのようなモノなのだろう?


どうやら(鍋底に磁石が付く)鉄やステンレス製だけでなく、鍋底に磁石が付かないアルミや銅も使用できるIHヒーターとのこと。そのような製品があるとは知らなかった。。


※参考。オールメタル対応IHとは?

https://www.sunrefre.jp/ih/contents/what_is_allmetal.html


そんなワケで空焼き不要の鉄フライパンをイベントに出展したところ、バイヤーに評価され通販やギフトで取り扱ってもらえることに。


そこまでは良いのだが値下げ合戦が始まり希望小売価格からどんどん値下がりしたとのこと。せっかく従業員が丹念込めて製造した商品が安売りされる。何とか出来ないか?と考えてた頃、ドイツで開催された世界最大の調理器具展示会を訪問。


そこに出展してた現地のフライパンが物凄く格好良かっただけでなく販売店側が町工場側に「うちで販売させて下さい」と交渉。町工場は「年間どのくらい販売できる?」と大量販売が可能そうな販売店を見極めてる光景に衝撃を受けたとのこと。


日本では町工場側からホームセンターなどの販売店側に「うちの商品を置かせて下さい」と頭を下げることが多いそうで、日本と真逆な光景に「自分たちも同じように商品に誇りを持ち適正価格で販売したい」と決意。


そこからブランド力を高めるためカスタマイズ式のフライパンを企画・開発。更に自社サイトで直接販売するようにしたことで値段は下がらなくなったそうだ。また個人向けだけでなく法人向けもオリジナルの注文も請けるようになったため1万枚単位の大量注文も来るようになったのだとか。


法人とは言えその発注量は有名な全国チェーンレベルだと思うが、わざわざオリジナルフライパンを発注したということはそこに大きな価値を感じたと言うことだろう。法人であっても唯一無二な製品に価値を感じる顧客がいるのだなと改めて勉強になった。


鉄フライパンをもっと売りたいと考えた際に「デザイン性が足りない」ことに気付きデザイナーに依頼することに。


調理器具メーカーがデザイナーに依頼すること自体珍しいように思うが、色々な形状のフライパンがあることから考えると不思議ではないのかも知れない。


「取っ手を脱着できる鉄フライパン」で依頼したそうだ。


確かにフッ素コーティングのフライパンでは取っ手が脱着できるタイプを見たことがあるが鉄フライパンでは見たこと無いかも。。


皿のようなデザインだなと思ったらその通りで「料理を作る」のと「食卓に並べて皿代わりにする」を同居させたデザインだそうだ。持ち手が脱着式だからフライパンを煽る中華料理のような料理には不向きかもだが洋食のような料理であれば便利に活用できるだろう。


ドイツのレッドドットデザイン賞も受賞したそうだ。


※参考。鉄フライパンJIUジュウ

https://jiu10.com/


フライパンと取っ手を平置きした際に数字の「10」に見えるから「ジュウ」と命名した辺り小林製薬のネーミングセンスに近いものを感じる(笑)が嫌いではないどころかむしろ大好きだ。


無借金経営となった翌年、従業員の働く環境を改善するため工場を全面改装。オープンファクトリー化したとのこと。改装費約1.2億円を約2年で完済できたというから経営手腕が素晴らしいとしか言い様が無い。


自社サイトだけでなく工場の2階を直販ショップにし定価販売したところ利益率が上昇。本社のある大阪だけでなく東京にも出店。現在ではイギリス5箇所、フランス1箇所でも販売してるそうなので相当頑張ってると言えるだろう。


順調ではあるものの既に充分な設備が整った工場規模を拡大するのではなく、現在の従業員で会社を有名にし「日本のフライパンメーカーと言えば藤田金属」と言われるようになりたいとのこと。


「挑戦し続けることを忘れなければ理想はいつの間にか叶っていると思う」と語る藤田社長を眩しく感じるし、同氏が率いる会社の今後が楽しみな今日この頃だ。

***


ちょっと何言ってるか分からない?安心しろ。私もそう思う。

頼んだメニューはこちら。


・ネギトロ

・ところ天

・のり納豆やっこ


挿絵(By みてみん)


ネギトロ

チープだがシンプルイズベストである。旨い。


挿絵(By みてみん)


ところ天

間違いない旨さ。酸味が猛暑で落ちた食欲を取り戻してくれるのも嬉しい。


挿絵(By みてみん)


のり納豆やっこ

こちらも最近お気に入りのひとつ。豆腐多めの状態で混ぜたので少々薄味になったのは残念だった(笑)が旨い。


〆は○高屋


挿絵(By みてみん)


ホッピーセット

安定の旨さ。


挿絵(By みてみん)


ピリ辛豚骨つけ麺

最近すっかりお気に入りとなった熱盛。旨い。


総じて満足。どちらの店も注文数を気にせず気兼ねなく退店できるのが嬉しい。 気になる方はチェックして欲しい。また来ます!


ごちそうさまでした。

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