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札幌駅すぐそばで 海鮮

この物語はフィクションです。

登場する人物・団体・店・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

え?似たメニューを知ってる?それは偶然です。偶然ですってば。

今日は何を飲もうかな。

うん。今日は海鮮にしよう。


札幌市営地下鉄東豊線さっぽろ駅から西に向かって徒歩1分。

個室×北海道極食材 籠○(かご○) 札幌駅南口本店だ。


エスタ(閉店済み)のビックカメラ向かいと言った方が伝わるだろうか。JR札幌駅や地下鉄南北線さっぽろ駅からも近いので超好立地と言って良いだろう。


それにしても初めて北海道に来た時とだいぶ風景が変わったものだと改めて思う。


初訪問時のJR札幌駅は工事中で大きな幕に覆われていたが今や立派な外観。まさに観光地の窓口として相応しい綺麗な装いだし大丸やJRタワーも同様に札幌を象徴するランドマークとして相応しいと言って良い。


新幹線開通に向けエスタやアピアも閉店し周辺環境含め大規模な工事が継続していることに馴染みの景色が無くなる寂しさを感じるが諸行無常。街は生き物とは良く言ったものだ。今後どのように変化するのか楽しみにしたいと思う。


今回の飲み仲間は知り合ってからの年数は短いものの一緒に飲んだ回数はかなり多いメンツだ。早速乾杯!(終わりの始まり)


一緒に働いた期間は二年に満たなかったが一時期は週三レベルで飲みに行ってたので相当飲んだと言って良いだろう。彼には飲みだけでなく仕事面でも大変お世話になったので頭が上がらないメンツの一人だ。


彼とのエピソードで印象的だったことのひとつが北海道胆振東部地震だ。


夜中の3時すぎに地震が発生したのだが私はいつも通り泥酔後トイレで爆睡してたので地震に全く気付かなかった。あとで他の色々な同僚に聞いたところあの地震で起きないなんて信じられないと言われたが爆睡してたので仕方ない。東日本大震災に続き、歴史に残るレベルの大地震ふたつ目に遭遇したワケだが体感出来なかったことを少々残念に思う今日この頃だ。


夜中の3時半ごろ目が覚めたのだがどうも様子がおかしい。部屋の照明が全て消えてるだけでなく屋外もいつもより暗く静かに感じる。そして停電してるのか照明を復旧することが出来ない。一体何が起きたのだろうか?


自分の住んでるマンションだけの問題なのか確認しようと外に出ようとするも当然ながらエレベーターは止まってる。仕方ないので階段で降りたところ信号は消え道路脇の街灯も軒並み消灯し真っ暗な状況で違和感が半端ない。


札幌は京都の街並みのように縦横に真っ直ぐな道で区切られていることが特徴で私が住んでた場所からはススキノの中心街に近いところまで直線で見える場所だったのだが、見える範囲すべて街灯および信号が消えており真っ暗なのだ。正確には車のライトで途切れ途切れに照らされるのだがこのような事態は初遭遇。


東日本大震災で計画停電により信号が消えたことを思い出したが今回は地震に遭遇した自覚がゼロなので現実感が乏しくしばらく呆然としてしまった。


9月だったので4時半くらいには明るくなり始めるのだが少しでも情報が欲しいと思いススキノ中心部の方に自転車で様子見しに行くことに。真夜中にも関わらず途中のコンビニには行列が出来ており益々何かが起きたのだと胸騒ぎが止まらない。


信号が消えてるので車も歩行者も様子見しながらゆっくり交差点を通過するしかない。たしかその時点で信号が生きてたのは36号線沿いの創成川交差点の1個だけだったと記憶している。これはシャレになってない事態だと思いながらそのままススキノ中心部に向かう。


丁度ススキノ交番のところに到着した辺りで私服の刑事や非番の警察官とおぼしきガタイの良い面々が十名前後くらいで円陣を組んだような状態で打ち合わせした後、お互いに敬礼したかと思うと颯爽と別々の車に乗車し発進していく。


リアルタイムで警察24時や刑事ドラマを見せられている錯覚を覚えたがおそらく主要な交差点などに交通整理をしに向かうのだろう。深夜から早朝の時間帯だというのに緊急出動していただき自然に頭が下がる思いを抱いたので心の中でそっと敬礼を贈った。


私は自覚ゼロだがおそらく地震のような事態が発生し大規模な停電が発生したのだろう。誰も彼も右往左往してるし軽いパニック状態になってるので冷静な情報を聞くことは難しそうだと判断し帰宅することに。帰り際コンビニをチラ見したが陳列されてる商品が軒並み売り切れとなっており東日本大震災発生後の買い占めを思い出さざるを得なかった。


大規模に停電してるとしたら交通機関も麻痺してることだろう。だが当時自転車で通勤してたので早めに職場に向かうことにする。道中の道路にひび割れが何箇所か発生してるのを見ることで確実に地震が起きたのだなと実感。相変わらず信号は消えたままな上、ほぼ全ての交差点は警察官による誘導が無いのでお互い様子見しながらゆっくり進むことになる。さすがに片道四車線の道路を横切る時は待機してるトラックなどに頭を下げつつ渡り切ったが正直かなり恐怖を覚えた。


いつもよりかなり早い時間に出社してみると予想以上に酷い状況に地震の酷さを改めて感じた。天井はところどころ剥がれており机上のディスプレイは軒並み倒れてる。他に出社してた比較的上層部に近い方々と協力してとりあえず倒れてるディスプレイなどを元に戻し、他の一般社員さんは基本的に自宅待機してるとのことだったので一旦自分も帰宅することに。


帰宅中に直属の上司から連絡がありしばらく自宅待機とのこと。焦って早めに出てくる必要は無かったのかと少々後悔したのは言うまでもない。


自宅待機は良いものの食材や飲料を仕入れないと籠城することも難しいだろうと思うもコンビニだけでなくスーパーも軒並み大行列が出来ており絶望を覚えた。日常とはこんな簡単に壊れるものなのか。。


仕方ないのでなるべく行列が少なく見えた近隣のまいばすけ○とに並ぶことに。


入店して初めて気付いたがコンビニは透明なガラスで覆われてるから外の光が差し込んでくるがこちらの店は外が全て壁なので日光が一切差し込んでこない作りとなっている。そして現在は絶賛停電中。つまり店内が真っ暗なのだ。


スマホの明かりで照らしてるお客さんが多かったが電池が勿体無かったので取り外し式の自転車のライトで照らすことに。光量は少なめとは言えLEDライトなので暗闇だと結構明るく照らすことができ重宝した。


外の行列はたいしたことなかったものの中はレジからぐるりと全部大行列。亀の歩みで進むのでゆっくり左右を見渡せるのだが、すぐ食べられるようなものは軒並み売り切れてる。保存がきく缶詰にはじまりカロリーメイト類やカップ麺、袋麺はもちろんパンも全滅。ハラに溜まりそうなお菓子なども軒並み完売である。果ては乾電池類も完売してる状況で一体何を買えと言うのだ。。


食中毒に配慮してるのだろう。まだ冷えが続いてるとは言え電源供給が途絶えてるので透明なカバーで覆われた上、乳製品関連は全て販売禁止となっている。ペットボトル飲料が軒並み売り切れだから売って欲しいところだが難しいのだろう。これはなかなか厳しい籠城戦になりそうだ。


帰宅して冷蔵庫を確認したところかなりぬるくなってる上、冷凍庫は既に氷が半分以上溶けている。そんなに長く停電してるとは思えないがコレは少々覚悟を決めた方が良さそうだ。


やれやれと思いながらトイレで用を足し水を流すも新たな水が補給されない。うそだろ・・・?と思いながらキッチンの水道を空けるも水落としした時のようにガポッ!と勢いよく空気と水が噴き出された後なしのつぶて。どうやら水も出なくなったようだ。


低層マンションは水道管から直接水を汲み上げるので影響を受けないが高層マンションでは屋上の貯水槽にポンプで水を吸い上げておき、それを各部屋に供給するシステムを採用してるところが多い。私が住んでたマンションも同様だ。


つまり大規模停電すると必然的にポンプも止まるので屋上の貯水槽に水を吸い上げることが出来なくなる。断水生活のはじまりというワケだ。


意味は異なるが兵糧攻めに続いての水攻めというヤツだ。これは地味に攻撃力が高い。階段で上る時に高層階に住んでる人が息を切らせながらポリタンクで水を運んでいたのはそういうことか。


PCは当然使えないしスマホも追加充電できないので暇つぶしも出来ないなと思いながら何気なく見たところ圏外となっている。目の前に建ってる大きいマンション屋上にどデカいアンテナが立ってていつもバリ3だったにも関わらずだ。


アンテナへの電源供給もままならなくなったということか。結構深刻な状況に陥っているようだが携帯ラジオなど持ってないので情報を仕入れようが無い。なるべくトイレも行きたくないので食事も飲み物の最低限で済ませる。夕方を過ぎてからは一日ってこんなに長かったっけ・・・と思わざるを得なかった。いかに普段から電化製品に頼りきった生活にまみれてるかが骨身にしみた。


寝て起きたら復旧してるだろう。そう思ってその日は就寝。しかし翌日になっても事態は改善していなかった。


情報収集できない自宅にいても気が滅入るだけだし情報収集とトイレおよびスマホ充電を兼ねて外出することに。


外食すれば良いかな?と軽く考えていたが飲食店も軒並み閉店してる。コレはかなり深刻な事態になってると感じざるを得なかった。しかし途中で自販機を発見。そうか。コンビニやスーパーは大行列が出来てるし売り切れ続出してるけど自販機なら買い放題じゃない。と思いいそいそとお金を入れるも反応なし。


・・・完全に認識から抜け落ちてたがそうか。自販機って電気が通ってないとただのデカい鉄の箱でしか無いのか。。トイレに行きたくならないよう昨日からシーチキンの缶詰ひとつとペットボトルの水少々しか飲んでいなかったせいか頭が回っていないようだ。通りかかったおっちゃんと顔を合わせて苦笑いしてしまった(笑)


街中に行けばトイレや充電設備が解放されてるだろう。少なくとも市役所に行けば何とかなるのでは?そう思い向かうことに。


確かに市役所ではトイレも使えたし充電も出来た。しかしながらこちらも大行列が凄い。デモか何かなのかな?というレベルに市役所を取り囲むような大行列。1階フロアの広い場所にタコ足配線で充電してたのだがおそらく数時間待ちといったところだろう。諦めてさらに中心部に向かう。


結果的に札幌駅に近い赤レンガテラスで無事充電することに成功。トイレも使えるしここで寝泊まりしたいと思うほどだった。


市役所で延々放送されてたテレビでも北海道全域が大規模停電してるニュースが何度も放映されてたしあらゆる場所で電気難民に遭遇。街中に出たところで事態は好転しそうにないなと帰路に向かう途中、近所にある北海道神宮頓宮に明かりが灯っていることを発見。聞いてみたところスマホの充電もトイレ使用もできるとのこと。感謝である。


自宅で鬱々と長い夜を過ごすよりマシだろうと頓宮で夜を過ごすことに。同じように思ったのだろう。十名ほどが集まっていたのだが地震ネタ以外に話す内容が下衆すぎて正直引いてしまった。


詳しくは書けないが犯罪として逮捕されるレベルのことを男女ともに堂々と語っているのだ。言うてもココは神聖な場所じゃないんかいと心の中でツッコミを入れつつも自宅には戻りたくなかったので仕方なく聞き流すことに。犯罪って割と身近にあるし更生の余地が無さげな人も結構いるんだな。。と思う一幕だった。


そうこうしてるうちにアンテナが復旧したとの話。おぉ確かに復旧してる。今回一緒に飲むメンツは割と近所に住んでいたのでどう過ごしてるかを連絡したところ自宅待機してるとのこと。


こちらの頓宮は避難場所として準備されてるので来ません?と連絡したところ無事合流。数は限られていたが緊急時ということで多少ながらお湯を入れるだけでご飯が出来るアルファ米も提供されることに。これは有り難い。


丸二日ほどカロリーをほとんど摂取してなかったせいでエネルギー不足に陥っていたらしい。食べ始めた辺りで手は震えるし身体に力も入らない。またTシャツを着るくらいの暑さなのに冷えも感じて仕方ない。飢えが酷かったので彼の分も譲ってもらい何とか持ち直した。心から感謝である。


結局その後、徐々に停電地域も復旧し始めたので一緒に飲みに行くことに。大地震後にも関わらず飲んだくれて楽しめたのは彼がいたおかげだ。今でも感謝してもしきれないほどの恩人である。


そんな思い出話をしながら飲み進めて行く。写真は残って無いが海鮮系を中心に新鮮で旨かったと記憶している。語りたいことがありすぎると何を飲み食いしたのか覚えてないことがあるが彼との飲みはそのようなことが多く嬉しい。何を喋ったか覚えてないが楽しかったことだけ記憶してるというヤツだ。また是非機会を作って飲みに行きたいものである。


こちらのお店は安さが売りというより上品さおよび味で勝負という印象。駅近なので来訪時だけでなく帰宅時も利便性が高いのが良い。量は少なめなので少ないツマミで飲める人向けと言って良いかも知れない。気になる方は是非チェックして欲しい。また来ます!


ごちそうさまでした。

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