バスセンター前で 和風居酒屋
この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・店・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
え?似たメニューを知ってる?それは偶然です。偶然ですってば。
今日は何を飲もうかな。
うん。今日は和風居酒屋にしよう。
札幌市営地下鉄東西線バスセンター前駅から南に向かって徒歩3分。
和ごころ雄○だ。
こちらはこのテーマを始めてから絶対書こうと思ってた居酒屋だが、どうせならということで百回目の記念として登場頂いた次第だ。語りたいエピソードがありすぎるのと好きすぎるが故に暑苦しく感じるかも知れないがご容赦願いたい。
初めてこちらの店を訪れたのは忘れもしない十年前。長年の東京出張終了に伴い近所に引っ越して来たのだが、この近辺はススキノや大通り、札幌駅まで徒歩圏だというのに近隣に居酒屋系の飲食店が少ないのだ。
もちろん皆無というワケではないが少なくとも徒歩五分圏内では満足のいくお店が少ないと言った方が正解だ。良い店を発掘すべく片っ端から巡っていたところこちらのお店を発見。外観はお高めな和風小料理屋という印象だったので少々敷居の高さを感じたが勇気を出して入店してみれば普通に居心地が良い居酒屋で安心した。
メニューを見ると飲み放題があるので一安心。しかもサ☆ポロクラシ○ク。それは嬉しいということで早速ビールで乾杯!(終わりの始まり)
ツマミもいわゆる定番メニューから日替わりまで取り揃えられている。
まずは定番が良いかなと思い注文。
頼んだメニューはこちら。
・おでん(大根、玉子、岩のり)
・雄大盛り(本日のオススメ魚介の五種盛り)
・たこぶつポン酢
おでん(大根、玉子、岩のり)。優しい出汁が染み込んでて旨い。大根や玉子は定番中の定番ということで注文したが、岩のりは初めて見たので頼んでみた。どんな感じなのだろう?ドキドキしながらおでん出汁に浸った岩のりを食べてみると非常にまろやかというか磯の香りが良い感じに出汁と合わさって物凄く美味しい。おでんに海苔を入れる発想は無かったので新鮮に感じたし今後岩のりを出すお店があったら注文しようと思った。
雄大盛り(本日のオススメ魚介の五種盛り)。当時何が出て来たかは覚えてないがタコやイカ、サーモンその他の新鮮な魚介類が美しく盛り付けされて配膳された。物凄く旨い。これだけでも大正解だと思える。
たこぶつポン酢。定番メニューとして頼んだがポン酢がまろやかで刺激が少なくて好みだった。
住んでた場所の近辺で散々探し回って最後に見付けたのがこちらだったが、最後に最高のお店を見付けた気分だったので喜びもひとしお。それ以来常連となった。
何せこちらの店はコスパも良いし味も良いのだがマスターの人柄が良いのだ。そのうえ店内の雰囲気も居心地が良いので通わない選択肢などあるはずが無い。
場所が中心街から離れており人通りも少なく混雑状況もまちまちのため、お客さんが少ない時はマスターと二人だけとなることもしばしば発生する。その時はもうマスターとの楽しいお喋りタイムがスタートするのだ。コレを楽しみに通っていたと言っても過言ではない(笑)
一時期は定休日以外毎日通うという常連ぶり。もはや第二の我が家である。
これだけ通うと当然マスターとも仲良くなり、無理のない範囲で良いのでメニューに無いものも作れないか確認してしまう。厨房に用意されてる食材で出来る範囲であれば何でも作りますよ。何なら事前に言ってもらえればその食材も買って作りますよとまで言われたら嬉しいことこの上ない。とどまることを知らないツマミ欲は広がるばかりだ。(ミスチルのあの曲を脳内再生しながら妄想を加速)
ネバネバ系にハマってた時期は豆腐に納豆、オクラ、とろろ、めかぶ、大葉、梅、明太子という超豪華なネバネバ豆腐を作ってもらったり、タンやハツにハマってた時期は良く塩焼きを提供して頂いていた。まさにウチのキッチン&リビングと呼んでも差し支えないだろう(笑)
そんな単純なモノであれば自炊でも作れるではないかと言われればその通りだが違うのだ。マスターに作って貰った上で居心地の良い店内でマスターと酒を飲みながらバカ話をする時間が至福なのだ。お姉ちゃんのいる店ではなくマスターと喋れる時間に課金してると言って良いかも知れない。そのくらい楽しんでいた。
そのくらいハマってたので必然的に他の常連さんとも顔馴染みになってくる。
最初はどうもと会釈する程度だったが酒を飲んでるとコミュニケーションのハードルは必然的に下がってくる。探り探りの会話だったのがいつの間にか同じテーブルに座り直し盛り上がることもしばしばだ。一見さんをあまり見かけなかったのは常連が幅をきかせてるように見えたことが原因かも知れない。正直すまんかった。
マスターとはバカ話だけに留まらず色々な話をしたのだが、その中で出て来たのが「もつ鍋」の話だ。
以前エピソードに載せたもつ鍋を研究し~の話はこちらのマスターに伺った話なのだ。あちらの店の出汁はレシピが秘匿されてたらしいので「あそこの出汁旨いですよねぇ」とお互い頷きながら話してたが、こちらの店でも出来るだけ近づけるよう工夫したとのこと。また「もつ」も厳選して良い品を仕入れてるらしくいつ食べてもプリップリでコラーゲンたっぷりの絶品。水炊きも美味いのだがこちらに来たら是非もつ鍋も味わって頂きたいと思う。
料理人としての修業時代の話も面白おかしく聞いていたのだが平成に入ってからもパワハラや暴力が当たり前の世界だったとのこと。私だったら一週間も持たず逃げ出してたことだろう。更に繁忙期には睡眠時間を削って仕込みをしてたそうで根菜の皮を剥きながら寝落ちすることもあったとか。労基に知られたら一発アウトになりそうだが飲食とは程度の違いはあれ似たようなモノだとのこと。そんな業界であれば人手不足となるのも仕方ないだろう。飲食業界の闇を垣間見た気分だ。
今では少なくなったのかも知れないが、ホテルの厨房で働いてた頃は正月の仕込みが物凄く大変だったらしい。何せ数百名分の仕込みをするので準備も二ヶ月近く前から始めるとのこと。ずっと仕込みをするので腱鞘炎となるのが当たり前らしい。
自炊はたまにしかやらないし長くても一時間程度だから楽しくて美味しいとしか思っていなかったが仕事とするにはハードすぎる。マスター含め料理人の皆さまには感謝しつつこれからも美味しい飲食を楽しませて頂こうと思う。
他にもマスターと一緒に飲みやカラオケや麻雀したなど様々なエピソードはあるのだが全てを書くと長くなりすぎるので割愛する。それだけ気さくで明るいマスターのいる店だと言うことが分かって頂ければ幸いだ。
総じてこちらのお店はコスパが良いだけでなく美味しく居心地が良く楽しい最高なお店のひとつだ。気になる方は是非チェックして欲しい。また来ます!
ごちそうさまでした。