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砂漠の少女

見渡す限りの砂。

広大な砂漠だ。

少女はひとり歩いていた。


深くかぶったフードからのぞくその鋭い瞳は紅く、首の当たりで切りそろえられた銀髪がちらちらと見え隠れしていた。

汗が、つーっとその女豹のような顔の褐色の頬を伝う。

歳の頃は10代半ばといったところであろうか。

まだ大人とは言えず、子供というには発育している。


照りつける陽射しが容赦なく身体を焼く。

陽射しを遮るためのマントが風に吹かれる度に、その下に隠された肢体をあらわにする。


身体にピタリと張り付いた黒い薄革のボディスーツ。

肩から指先までと太もものあたりから膝までは褐色の肌がむき出しになっている。

メリハリのある健康的な肉体美がそこにあった。


その肉付きのわりに細い腰には剣を帯びている。

剣だけではない。細々とした革袋、短剣や丸められた太い革紐のようなものが下げられている。


少女は足をとめ、ふうと息を吐いた。


「…こんな所でくたばってたまるか」


そう、ひとりごちて、キッと前をにらむ。

見渡す限りの砂、砂、砂。

どこまで行けば水場があるだろうか。

そこにたどり着けるだろうか。


少女は腰の革袋を取り、中の水を口に含んだ。

(これでもう水は無い)


少女はふたたび歩き出す。

(何としても、あの方を探さねば…)

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