桜散る散る、そして咲く
お久しぶりですの投稿です。
もう六月ですけど、桜の話です。私は散っている桜も散った桜も、衣替えみたいな感じがして好きです。
ふっと目が覚めたら外からサラサラとした音が聞こえた。昨日見た天気予報が言った通り、雨だった。ベランダにつながる窓から外を見ると、桜が雨に打たれているのが見えた。もう満開になって数日経つ上に、この天気だと今日ですべて散ってしまうかもしれない。風が吹くと、おびただしい数の花弁が流れ落ちていった。
この桜は有名な桜ではないけれど、私が住んでいるマンションの住人たちにとっては人気のお花見スポットだ。少し歩くだけで綺麗な桜を見ることができる。特に私の部屋の中では花見ができる。その時だけ私の部屋が映えるスポットになる。
この桜を見ると、ふとため息が出る。満開の桜は綺麗で美しくて、心が洗われていく。でも、時期が過ぎたらそれはもうただの木だ。美しくなってもすぐに並の姿に戻ってしまう。
私もそうだ。幼少期、私は周りより器用な方で、それゆえ何でもできるような気がしていた。でも、年を重ねるごとに不条理や理不尽が頭の上から落ちてきて、そんな幻想は露と消えてしまった。成長するごとに、理想という花が散っていった。
夜になると雨も止み、桜はすべての花を落とした。しばらくしたらどんどん雨の日も多くなって、それから暑くなるだろう。それが過ぎたら涼しくなって、寒くなって、また桜が咲く。……私も、また咲けるだろうか。
「……はやく、花見の季節が来ないかな」
ちょっと気が早いかもしれないけれど、そう思う。