これで良かったのか悪かったのか
目を覚ました俺をパピィが膝枕してくれていた。
「従兄、ゴホン。勇者様、お目覚めになったのですね」
「この変態。御嬢様の膝に突然倒れ込むとか何考えてんだ」
「悪かったよ。ルル」
「やめろ。気安く名前で呼ぶな。アタシは男が大っ嫌いなんだ」
「ルル、こら。助けていただいた勇者様に失礼でしょう」
「これだけは御嬢様の命でも無理です。マジで、完全に無理。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。こんな男のアレを飲んだなんて。うぇっ。想像しただけで吐き気がする」
「そんなに不味かったのですか?」
「良かった。御嬢様はお飲みにならなかったのですね」
「えぇ、私は下からでしたわね。何というか痛みというのはありませんでしたけど」
「へっ?アンタ、何してくれてんのよ。下からって、そっそれって、合体じゃん!ふっざけんな、この変態変態変態。大事な御嬢様を汚しやがってーーーーーーーーもう許さない。殺してやる殺してやる殺してやる」
キャサリンがルルの前に立ちはだかり止める。
「馬鹿、御嬢様の前でやめろルル」
「止めるなリリアン。コイツはアタシが殺す」
パピィが起き上がるとルルを抱きしめる。
「もうルルったら。この世界でのことはゲーム内の事なんですよ。そこまで本気で怒らなくても良いのです。でもルル、ありがとう。私を心配してくださったのですね。この通り大丈夫ですよ。合体とやらをしても」
「おっ御嬢様に抱きしめてもらえるなんて。ウヒョ〜。ルル、望外の喜びでございます。ウヘヘヘヘ」
コイツ、御嬢様ラブのメンヘラってやつか!
「では、勇者様。ここで話をして誰かに聞かれては困ります。一度、現実世界へ戻るとしましょう」
「えぇ、そうですね」
「貴様、御嬢様に気に入られているからと調子に乗るなよ。アタシの御嬢様に何かしようってんなら容赦なく捻り潰してやるからな」
「ルルったら、すっかり仲良しですね」
いやいや、すっかり嫌われてますよ。ハハハって感じだけど。拠点に戻り眠りに着くと現実世界へと戻っていた。現実世界に戻ってすぐ羽陽音が瑠留に俺の素性やこれまでのことを話してらしく。わざわざ俺の部屋に訪ねてきて、開口一番。
「向こうの世界では大変失礼しました。まさか作智坊ちゃまだったとは」
目の前の眼鏡をかけた小さくて、ムッチリとした体型の女の子がホントに和泉瑠留なんだろうかってぐらいさっきとは打って変わって、平身低頭といった感じだ。
「いや、良いんだ。僕が従妹に手を出したのは事実なんだから」
「いえ、助けていただいたことには変わりありません。マジで殺したいのを我慢してる」
「ん?後半がよく聞き取れなかったんだけど」
「いえ、向こうの世界でのアタシの失態は忘れてくださいって言っただけですよ。アハハ。マジでぶっ殺したいけど」
「あっそれは勿論」
最後の方ぶつぶつと何か言ってたけど。
「御嬢様がアタシの話を皆様に効いてもらいたいとのことで、食堂に集まるようにとの事です。御着替えが終わりましたらお越しください。なんでアタシがお嬢様だけでなくお前にまで話さなきゃならないんだよ。マジ無いわ」
「了解しました。瑠留さん、ありがとう」
相変わらずボソボソと後半は全く聞こえないけど。
「いえいえ、メイドとして当然の務めをしているだけですよ。では、これで失礼しますね。なんでテメェにまで遜らないといけねぇんだよ。御嬢様に手を出したクズに」
やっぱりボソボソと何か言ってる気がするな。呪いでは無いよな。でも、ギャップ萌えってのは、わかる気がした。なんていうか、向こうの世界では完全なヤンキーみたいな感じだった。で、今は眼鏡をかけた優等生みたいな感じ。でも、どっちの瑠留さんもその御胸が大きくて目のやり場に困るんだけど。恐らく今までの人外娘たちよりも2回り以上は大きい。はち切れんばかりって感じ。頭を下げた時にウヒョーってなった。谷間が谷間が谷間が。ぶーって。それぐらい、彼女にあのメイド服はダメだろと思った。俺は着替えを済ませると食堂へと向かった。
「作智従兄様、お休みのところ失礼しました。これからも向こうの世界で、行方不明となっている風呂階家の者たちを探す上で、何か重要な話が聞けるかもしれないと思いお呼びたてしました」
「良いんだよ羽陽音」
「呼び捨てにすんな」
ん?なんかやっぱりボソボソと言ってるな。
「皆様、ご無事で何よりでした。瑠留もよく帰ってきてくれましたね」
「菜多莉愛メイド長、ということは妹の深祢莉愛コック長もお戻りに?」
「いえ、残念ながら深祢莉愛はまだ戻っていません」
「そんなぁ。深祢莉愛のご飯が恋しかったのに」
「ごめんねぇ。こんなおばちゃんの料理で」
「いえ、そちらの方は?」
「作智従兄様を保護して育ててくださった正道判事です」
「この変。ゴホン、作智坊ちゃまを?それはそれは、ありがとうございます」
「では、瑠留。貴方の知ってることを話してくれるかしら?」
「御嬢様の命とあれば、喜んで」
和泉瑠留が自身の身に何が起こったのかを語り始めたのだった。
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