行方不明事件の進展
パピィから菜多莉愛と呼ばれていた骸骨兵士がその場から動かない。俺は不覚にも気絶していた。そこにマリンがゼリー状の水をぶっかけやがった。
「うわっ。何だよこのベタベタするの」
「マリン特製、気絶からすぐに復活ゼリー爆弾なのだ。全く、戦闘が終わってたから良かったものの戦闘が続いてたらマスターの身体爆裂四散してたのだ」
って待て待て。戦闘終わってるの?今回、俺。この骸骨兵士の中に出してないよな?なんで?
「勇者様、気付いたのでしたら、私と同様名前を付けてあげてください。ナタリーと」
パピィ?ナタリアじゃなくてナタリーで良いの?まぁ、この辺りは、風呂階家の使用人だろうからパピィのが詳しいよな。
「お前の名前はナタリーだ」
ピカーンと一段と光輝いた。
「この姿は魔物?羽陽音お嬢様に失態をお見せするどころか梨里杏にまで、この菜多莉愛一生の不覚ですわ」
どうやら上手くいったんだよな?ぶつぶつとなんか言ってるけど。なんか怖いんだけど。パピィが駆け寄り、ナタリーに抱きつく。
「お嬢様、苦しいですわよ」
「ナタリー、良かった無事に戻って良かったよ〜」
「申し訳ありません。お嬢様御付きのメイドであるこの菜多莉愛、お守りできませんでした」
「固いってナタリー」
「アンタは、軽いのですわ梨里杏。それにしても、この世界は、デモンズフロンティアの世界なのですね」
「えぇ、そうなのです。こっちの世界では、私はパピィ。梨里杏はキャサリンと名乗っています。菜多莉愛には愛称のナタリーを付けました。嫌でしたか?」
「いえ、お嬢様が呼んでくださった愛称でとても気に入っています」
「そちらの方は?」
「そうだった。こちら、フグオさん。私やキャサリンそれにナタリーを助けてくれた勇者様です。詳しくは元の世界に帰ってから話します」
「成程、ここがデモンズフロンティアの世界ならどこに目があるかわかりませんものね。警戒する気持ちは大事だと思います。では、私が知っていることは、帰ってから話すとしましょう」
「えぇ。ナタリー、そうしてくれると助かります。勇者様、ということで一度元の世界に帰りましょう」
何がということとなの?勝手に話まとまって勝手に帰るって何それ〜。まぁ、といっても時間もかなり良い時間だから帰るけどさ。木の温もり溢れる拠点へと戻り眠りについた。
ふわぁー。久々に清々しい朝だ。こんな時もあるんだな。起きて食堂に向かうと皆んなもうすでに集まっていた。
「あら河豚男、今起きてきたのね。貴方宛に手紙が来ているわよ」
「おはよう母さん。僕宛に手紙?誰からだろう?秋塚文近?全く知らないんだけど」
「秋塚文近ですって!?作斗叔父様の腹心だった人ですが貞朝に鞍替えした人ですわ。何故、作智従兄様に?まさか、正体がバレたのでしょうか?不味いですわね」
「まだそうと決まったわけではありませんから少し落ち着いてくださいパピィお嬢様」
「作智従兄様?まさか作斗様の御子息様なのですか?そんな、生きていられたとは。こんなに嬉しいことはありません」
「えぇ、ナタリー。彼こそ作斗叔父様と未智叔母様の一人息子の作智従兄様よ。未智叔母様の親友である正道義子判事が育ててくださっていて、偽名で肝田河豚男と名乗っていますの」
「そうでしたか。寧ろその方が良いでしょう。では、手紙の前にあの日何があったのかを私が知りうる限りお話しさせていただきたいと思います。お嬢様と梨里杏がデモンズフロンティアの世界にアクセスしたその日、風呂階財閥は何者かの襲撃を受け、全員どこかの暗いところに押し込まれました。それはお嬢様や梨里杏も例外ではありません。私たちは、何かの機械を頭につけられました。その機械とは恐らく、デモンズフロンティアの世界に閉じ込めるためのものでしょう。そこで、私は骸骨兵士として彷徨い歩いていたところをお助けいただいたというわけです」
「やっぱりそうだったのね。じゃあお父様やお母様も囚われているのね?」
「そうだと思います。御離羅貞朝とは恐ろしい男です」
「御離羅貞朝?未智から聞いたことがある名前なのよね。前も思ったんだけどいまいち思い出せないのよね。なんだったかな。思い出したら言うわね」
「それにしてもそんな奴に鞍替えした奴からの手紙か?嫌な予感しかしないんだけど」
「でも読むしか無いんじゃ無い」
「じゃあ、読むよ『拝啓 桶階作智様。突然このような手紙に驚かれていることとはお思いですがお話ししたいことがあります。今週の金曜日にピオーネホテルまで1人でお越しいただきたい。お話ししたいこととは、貴方様のお父上である桶階作斗様の件です。御足労頂けますと幸いです。ホテルの受付スタッフに秋塚文近の客だと伝えると部屋に御通しするよう伝えています。お会いできることを楽しみにお待ちしております。敬具 秋塚文近より』だってさ」
「完全に身バレしていますわね。どうしましょう」
「会ってみるよ」
「危険すぎないかしら御離羅貞朝の腹心なのよね?」
「そんな危険な男と河豚男君が会うなんて、危険すぎる」
「麻弥と春香の心配もわかるけど会わないといけない気がするんだ。会ったこともない父さんの居場所を知るためにも」
「えぇ、未智のことが何かわかるかもしれない。それに言うじゃない虎穴に入らずんば虎子を得ずってね」
「母さんの言う通りだ。で金曜っていつだっけ?」
「今日ですわね」
「ええええええ!?じゃあ、今から支度して行ってくるよ」
みんなに見送られながら僕は秋塚文近の待つピオーネホテルまで向かうのだった。
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