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俺の一物が初めて巨大な光を放った日

 俺は五味九図雄

 いわゆる境界知能って障害持ちで、とにかく何も出来ない。クズ。努力さえできないダメダメ人間だ。

顔もブサイクでもう救い用がない。


 育成歴も最悪。

 親は顔も頭も良かったが、性格が最悪で、子どもを虐待して楽しんでた。それを見た周りのやつも「こいつなら虐めてもいい」と思って、暴言と暴力を繰り出し酷いいじめにもあった。しかも学業もさっぱりな上、運動音痴なもんで、先生にも「ふざけるな!」と顔面パンチを喰らわされた。俺は真面目にやっただけなのに。

 そんなもんで学歴もボロボロ。

 最底辺の高卒で終わる。まあ、高校卒業できただけマシな方だ。

 両親の虐待から逃れるため、仕事は下宿ありの工場ラインに就いたが、案の定手が不器用なので、器用さを求められる工場ラインの仕事なんてできるはずも無かった。


 結局仕事もクビになり、今路頭を彷徨っているところ。

「なんで俺ばっかり」

 人気の無い公園に来た俺は、近くにあったベンチに腰を下ろした。

 空を見上げれば、夜空に星が瞬いている。車の走る音や人がガヤガヤ言っている音が、遠くから聞こえた。

「もうおしまいだ」

 そう呟いたとき

「そうだな。お前の粗チンはお終いレベルだ」

 と、後ろから女の声が聞こえた。

「誰だ!粗チンとは失礼な!」

 俺は怒鳴りつけたが、声がうわずって迫力がなかった。まあそうなったのも俺が粗チンという事実に図星を突かれたからだが。

 そんなことなど意に介さず、女の声は続く。

「だがそれがいい。絶望レベルの粗チン。私はそれを求めていた」

 女の声が近づき、正体を表した。

 そこにはトップレベルの美少女の姿があった。

「私は暗理。痴女魔神の女王だ」

 その自己紹介に俺は

「君、頭おかしくないですか?」

 と聞いた。至極当然だ。服装も際どいし絶対頭イカれているぞこの女!

 女はそんなことどうとでもいいというようにククッと笑った。

「そうだな。私は頭がおかしい。私は世界を滅ぼそうとしているからな。だが私一人では世界は滅ぼせない。なので部下が欲しいのだ。そこでお前に目をつけた」

「なんで俺なんだ?」

「お前には負のエネルギーが充満している。特に濃厚なのは、お前のお粗末な一物だ。世界中のダメな奴らの怨念がそこに集まっている。そのパワーを使って、共に世界を滅ぼそう」

 俺は唖然とした。

「いや、俺は世界を滅ぼそうとまでは思ってないし、ただ幸せに過ごしたいだけなんだが」

「幸せになりたいなら、尚更世界を滅ぼさないと叶わないぞ。この世の中でお前が幸せになれる要素がどこにある」

 暗理の言うとおりだ。この世の中に俺を必要としている人が何処にいる。馬鹿で特技があったり、器用なわけでもない。運動もできない上に、ドジで鈍臭くて、すぐに人をイライラさせる。努力もできない。そんな奴、世界の誰にもどこにも必要とされていない。そんな世界は嫌だ。

 ならば

「よし、お前に協力してやる。俺は幸せになるために、世界を滅ぼす」

 暗理はニタリと笑った。

「交渉成立だな」

 彼女が俺の股間に手をかざすと、ものすごい光が一物に集まった

「うわああああああっ!」

 光は辺り一体を照らし出し、公園は昼間以上の明るさに包まれたが、しばらくするとすうっと消えていった。そして元通りの暗闇の公園に戻った。

「はあはあ、一体何が。あ!」

 俺はハイグレのパンツ一枚だけの姿になってた。そこには真ん中に◯粗の文字が入っている。しかも顔は何か被っているようだ。

 暗理は満足そうに笑った。

「よし、完成だ。世界最強のヒール、お前の名はソティンマンだ」

「ふざけんな!これで戦えとかいうなよ」

「いや、戦ってもらう。相手は正義のヒーロー、スポーティ。スポーツ万能のイケメン、この世界を守る五聖人の一人だ」

 おい待て、世界でも有名なヒーローのスポーティに立ち向かえって無茶言うなよ!

「不安か?でも大丈夫だ。お前には世界で一番お粗末な一物がある。その一物を握って『ソティンキャノン』と叫べ」

「嫌だ、絶対に嫌だ。そんなことしたら人としての尊厳が消える!」

「そんなもの捨ててしまえ!お前には既に尊厳などないだろ」

 言われてみればそうだ。人にずっと粗末に扱われた俺に、尊厳などない。ならば

「ソティンキャノン!」

 ものすごい閃光が、俺の一物から放たれた。ウル○ラマンのビームとかそんなもんじゃない、大砲を思わせるような強烈な光の筒が、夜空の彼方へと放たれていった。

「俺の一物が、壮大な射◯をしただとーーーっ!?」

 俺は度肝を抜いて叫んだ。

 それを見ていた暗理は息をハアハアあがらせ、頬を上気させて言った。

「素晴らしい。想像以上だ」

 恍惚と喜ぶ暗理を見て俺は不信感を抱いた。だってこの女、自分の大事なところに手を突っ込みそうにしてたぞ!やっぱ痴女だ!


 でもこの攻撃があれば、もしかしたらスポーティに勝てるかもしれない。もし勝てたら、スポーティみたいに、みんなにチヤホヤされるかも。それはいいかもしれない。俺は決意した。

「スポーティに戦いを挑んでくる」

 こうして俺はヒールとなって世界を壊すことを決めた。


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