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第55話 タイムアタック(中編)

「右のゴーレムはリーサとミアの魔法で!

 正面のゴブリンは俺に任せろ!」


「うんっ!」


「ファイアLV2!」

「ウインドカッター!」


 ゴオオッ!


 俺の合図に合わせ、リーサとミアの魔法がゴーレムに襲い掛かる。


 ジャキンッ!


 炎にあぶられ膨張したゴーレムは、真空の刃でバラバラになる。


「トドメっ!!」


 ゴーレムが倒されたことを確認すると、目の前で剣を構えるゴブリンに向けてダマスカスブレードを振り下ろす。


 ザンッ!


 武器ごと真っ二つになったゴブリンが光の粒子になって溶け消える。


『モンスターの増援なし……中間チェックポイントを通過。

 経過タイム578秒、現在暫定トップのモハド選手を37秒上回っています』


「よしっ!」


『ゴーレムのステータスを確認……HP50、魔法全般弱点150%

 リーサちゃんかミアちゃんの魔法1発で倒せますので、次からは一人で攻撃してください』


「了解!」


 攻略は順調だ。

 フェリナの的確なオペレーションで、スキルの無駄うちがほとんどない事も大きい。

 スキルポイントが潤沢ないつものダンジョン攻略と違い、使えるスキルポイントの上限がある”競技”ではオペレーターの良しあしでスキルの消費回数が大きく変わってくる。


「スキルの残り回数を確認するぞ」


 ■装備/スキル(ユウ)

 武器:ダマスカスブレード(50×1回)

 防具:ダマスカスメイル(50×3回)

 特殊スキル:攻撃強化技10%(100×3回)


 ■装備/スキル(リーサ)

 武器:チタンボウガン+(50×2回)

 防具:ファイバーブレザー+(50×3回)

 特殊スキル:ファイアLV2(30×2回)、ブリザードLV2(30×2回)

      エンチャント(50×1回)、フレア・バースト(150×1回)


 ■装備/スキル(ミア)

 武器:ハンドファング+(50×2回)

 防具:ホワイトローブ+(50×2回)

 特殊スキル:ウインドカッターLV2(30×1回)、カーズLV2(30×2回)

      ダークバスター(200×1回)


 ふたりの魔法スキルの消費が激しいが、切り札の攻撃強化スキルとオリジナル魔法は温存できている。


「おそらく、ボス戦までバトルはあと1~2回だ。油断せずに行くぞ!」


 ■装備/スキル(ユウ)

 武器:ダマスカスブレード(50×3回)

 防具:ダマスカスメイル(50×3回)

 特殊スキル:攻撃強化技10%(100×3回)


 予備のスキルポイントを武器使用回数にチャージする。


「了解だよユウ!

 それにしても……」


 リーサが顔を綻ばせ、耳に着けたイヤホンを撫でる。


「応援してもらえるって、さいこーだね!!」


 そう。

 俺たちが着けたイヤホンからは、フェリナの指示だけでなく観客の声援が聞こえてくる。


「がんばれ! ユウ選手!!」

「リーサちゃん、ミアちゃんかわいい!」

「我ら親衛隊はミア様に念を送ります!」


「くくっ……闇の眷属と言われた余が人間から応援されるとはの。

 大変に、趣深い事じゃ!」


 沢山の声援が、俺達に力をくれる。


「よし、全力ダッシュだ!」


「「おお~っ!」」


 身体の奥底から湧いてきた力を脚に込め、俺たちはダンジョンの最奥を目指す。


 ***  ***


「ちっ、巨大スライムか!」


 10分後、俺たちは競技用ダンジョンの最奥でボスモンスターと対峙していた。


「たしか、打撃が効きにくいやつだよね」


 ウゾウゾと蠢いているのは、体高5メートルはあるだろう巨大なスライム。

 スライム、と聞くと雑魚モンスターのイメージがあるかもしれないが、弾力のある体は武器の衝撃を柔らかく受け止めるため、打撃攻撃の効果が薄い。


「よし、ここはふたりのオリジナル魔法で……!」


「待つがよい、ユウ!」


 俺のセリフを途中でさえぎるミア。

 紅い双眸が巨大スライムを捉え、僅かに光を放つ。


「ミア?」


「……なるほどの。あのスライム、体内にマナを中和する体液を有しておる。

 おそらく、魔法にも耐性を持っているぞ」


「ちっ……厄介だな!」


『ミアちゃんの言う通りです。

 たった今ジャッジから公開された情報によると、HPは350。打撃は70%、魔法は90%威力が減少するとのことです』


「マジか!? B+ランクダンジョンで出現するレベルのボスだぞ!」


 HPはさほどではないが、防御性能が異様に高い。


『どうやら、パーティのスキル構成によって出現するボスモンスターのレベルが変わるようですね……信じられませんが』


 考えられる可能性としては、事前に複数のダンジョンを封印状態で集めておき、競技者の特徴によって競技用ダンジョンを切り替えているかだが……。


「競技を”盛り上げる”ためとはいえ、そこまでやるのか?」


 競技用ダンジョンを準備したのはノーツ財閥だが、どれだけ手間を掛けているのだろう。


『……ですね』


 やれやれという感じでかぶりを振るフェリナ。


【あーっと、ユウ選手! 手ごわいモンスターの出現に動きが止まったか?】

【トップのモハド選手に対し、75秒のアドバンテージはあるが、考えている暇はないぞ!】


 イヤホンを通じ、実況が聞こえてくる。


 そう、迷っている時間はあまりない。

 せっかく日本代表として参加しているんだ……絶対に優勝したい!


「リーサ、ミア!」

 遠慮せず極大魔法をぶっ放せ!」


「その後は……打撃で削りながら、アレを使う!」


「うぃ! アレだね!!」


 リーサが不敵な笑みを浮かべる。


 打撃も魔法も効きにくいのなら……リアルでも使えるようになったあのスキルの出番である。


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