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第24話 遭難したダンバスを救助しよう

「この辺りか……」


 スマホに表示したマップを見ながら、慎重に進む。

 作業員には避難指示が出ているため、周囲には誰もいない。


 巨大なシールドマシンは止まっているし、スコップやツルハシなどの工具もそのままだ。


 ズゴゴゴゴゴゴ……


 それに、先ほどから体に感じる揺れが大きくなっている。

 同時に感じる何とも言えない気持ち悪さ。


 リーサはマナと呼んでいたが、災害ダンジョンが吸い取るスキルポイントが、リアルにも影響を与えているのかもしれない。


 ======

 ■個人情報

 明石アカシ ユウ

 年齢:25歳 性別:男

 所属:F・ノーツギルド

 ランク:C

 スキルポイント残高:53,600

 スキルポイント獲得倍率:17#む%

 口座残高:2,910,800円

 称号:ドラゴンスレイヤー

 ======


 予想通り、災害ダンジョンに近づくにつれ、スキルポイントの減少スピードが速くなる。

 まだ余裕があるとはいえ、急いだほうがよさそうだ。


『ユウさん、今どのあたりですか?』


「C工区の先端部分……シールドマシン弐号機がある辺りだ」


 ノーツ家の緊急回線を使っているとはいえ、ノイズがヒドイ。

 俺とフェリナは音声ではなくチャットでやり取りをしている。


『了解です。向かって左側、ユウさんのいる地点から20メートルほど奥の横穴に、1つ目のCランクダンジョンがあります』


「あそこか」


 フェリナの誘導に従い、横穴を覗き込むとほのかに光る青色の魔法陣。

 目的のCランクダンジョンで間違いなさそうだ。


「CランクダンジョンAに潜り、救出活動を開始する」


『はい、くれぐれもお気をつけて』


 俺は魔法陣に手を触れ、Cランクダンジョンに転移した。



 ***  ***


「来るな、来ないでくれえっ!」


 ダンジョン内に転移した途端、誰かの悲鳴が耳に入る。

 このダンジョンを攻略していたダンバスに違いない。


「あっちか!」


 恐らく彼らがいるのはダンジョンの最奥。

 俺はスキルポイントをステータスと装備にチャージすると最奥に向かって走り出した。



「ぐあっ!?」


「!!」


 最後の角を回る。最奥の広間が見えて来た……その瞬間、漆黒の犬型モンスターに吹き飛ばされる男性の姿が目に入る。


「ごはっ!?」


 ダンバスアプリがオフラインになっていると、防御機能の効力が下がる。

 肋骨が数本折れたのか、血を吐く男性。


「まずい!」


 男性の背後にはパートナーなのだろう、血を流した女性が倒れており意識を失っているようだ。


 グオオオオオオオンッ!


「ひいっ!?」


 ケルベロス……漆黒の地獄の番犬が真っ赤なあぎとを開く。


「”攻撃強化技10%”!

 ”増幅の腕輪+”!」


 もはや一刻の猶予もない。

 俺は惜しみなくスキルと固有装備を発動させる。


 ダンッ!


 全力でダンジョンの床を蹴る。


「くらえっ!」


 ザンッ!


 チタンブレードの刃が紅く輝き、今まさに二人を嚙み砕かんとしていたケルベロスを両断する。


「う、ぐっ……あ、アンタは?」


「しゃべらないで!」


 俺は手早く二人の状態を確認すると、回復魔法のスキルを使う。

 合わせて、ダンバスアプリの緊急チャンネルを開き、彼らのステータス……特にHPにスキルポイントをチャージする。


『残りのステータスを清算し、スキルポイント2700が返却されました』

『スキルポイント報酬:57,500(獲得倍率:850%)』


(……お?)


 夢中で戦っていたから気が付かなかったが、1度しか戦っていないのにスキルポイントの獲得倍率が妙に高くなっている。

 周囲の異常な状況も影響しているのかもしれない。


「最低限の回復魔法を掛けたので、動くことぐらいはできるはずです」


 ぱあああああっ


 その瞬間、ダンジョンは消え去り工事現場の横穴に戻ってくる。


「た、助かったよ……アンタは確か?」


「F・ノーツギルドの明石 優です。

 皆さんを救助に来ました」


「な、なら、シールドマシンの隣に発生したCランクダンジョンに行ってくれないか? あそこにはウチのギルドの若手が……」


 男性ダンジョンバスターの言葉に頷く。

 元よりそのつもりだ。


「それより、大丈夫ですか?」


 いくら回復魔法で怪我の治療はしたとはいえ、身体に受けた衝撃は相当の物だったろう。

 男性は立つのも辛そうだ。


「はは、オレもCランクのダンジョンバスター。

 アンタの手を煩わせずともコイツを連れて撤退するさ」


「……わかりました。

 ウチのギルドマスターのフェリナに、迎えを出すように連絡しておきます」


「すまない」


 ふたりを連れて事務棟まで戻っていたら、時間切れになるかもしれない。

 彼の提案はありがたいものだった。


 俺はフェリナに回収班を派遣するようにチャットすると、シールドマシンの方へ向かった。



 ***  ***


「うーうー、つまんない!」


 ここはフェリナが借りてくれた会議室。

 ユウから待機するように指示されたリーサは暇を持て余していた。


 いざとなったら、わたしの魔法が役に立つのに。

 わたしはもう11歳。

 いつまでもユウに守られているだけの子供じゃないのだ。


 遠い昔……ユウと背中を預け合って戦った日々の事を思い出す。


 ユウの娘として過ごす日々はリーサのかけがえのない宝物だ。

 彼にはどれだけ感謝してもしきれない。

 だけど、やっぱりわたしはユウの隣に立っていたい。


 それに……。


(物凄く嫌な予感がする)


 少しずつ戻りつつある、大魔導士としての経験がそう告げているのだ。


「!! さすがユウさん!

 はい、わたくしの方で手配しますので、くれぐれもお気をつけて」


 なにか進展があったのか、ノートPCを片手に会議室を出ていくフェリナ。


(今がチャンス……!)


 リーサはそっと会議室を抜け出すのだった。


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