3
「あら、姉さんはちゃんと作ったわよ。」
叔母さんが、ビックリしたように言って、スマホにしまってある画像を見せてくれました。
そこには、子供の字で、 『生産計画書』と、書いてありました。
ミミちゃんは、それをみて、ビックリしました。
完成図や、設計図、誰に作るものなのか、必要な道具と費用などが、細かく書いてあるのです。
「ママ、やるじゃん。」
ミミちゃんにそう言われて、お母さんは、少し、照れたように怒りました。
「大人に、『やるじゃん』なんて、いわないの。」
お母さんは、その『生産計画書』を見て、思い出しました。
お母さんのお母さん。
ミミちゃんのお祖母ちゃんが、ミシンで縫っている間に、お祖父さんがお母さんに話しかけました。
「しかたないな。じゃあ、パパと『生産計画書』を作るか。
いいか、商品は、作るだけじゃ、売れないんだ。
ちゃんと、商品について説明できないと、世の中には出られないんだ。
ヨシ、一緒にプレゼン資料を作ろう!」
お母さんは、その時のお祖父さんを思い出して、なんだか、温かい気持ちになりました。
ミミちゃんとももちゃんの絵を元に、布を二枚切り出すと、叔母さんは、ミシンで、
ミミちゃんは手縫いで、
ももちゃんは、布用のボンドで布を合わせて袋のようにすると、その中に綿を詰め込んで、縫いぐるみは完成しました。
ボタンの目にリボンやビーズで飾って、どれも素敵に出来ました。
お母さんは、
「これ、クッションみたいね。」
と、叔母さんに言いました。
「あら、『大好き』を布にくるんで縫うから、『縫い・くるみ』って言うのよ。
確かに、私、姉さんに教えてもらったの。
お姉ちゃんは不器用だけど…私に初めて裁縫を教えてくれた『先生』なんだからね。」
叔母さんの言葉に、お母さんは、少し、赤くなりながら『ばかね。』と、言いました。
ミミちゃんは、大人になっても、この日の事を覚えていようと、思いました。