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笑顔。既に、鼓動なく。

作者: 惨敗兵

私にとって初めてのハッピーエンド作品です!

どうか読んでくださっている方にとってのハッピーエンドでありますように。

「あぁ。美しい。面白い。楽しい。」



血で染まった部屋。そこかしこに転がる肉塊。

全身から血が垂れている。男も女も子供も関係なく。


「やはり【笑顔】は素晴らしい。」

吐き気のする地獄を作り出した⬛︎は笑顔だった。



笑った。全ての負の感情を忘れ去るために。

笑った。己の行動で起きた悲劇から目を逸らすために。

笑った。周りの鼓動が止まったから。


笑顔。全ての感情の終着点。


怒りでさえある地点を超えれば笑みが溢れる。

悲しみでさえ狂ってしまえば笑みが自然と浮かぶ。


楽しいのなら笑え。

嬉しくても笑え。

その身体に迸る快楽を享受して笑え。


何もなくても笑え。


笑顔を浮かべる限り、鼓動は続く。

鼓動は絶えず鳴り響いている。


自分から。

植物から。

他人から。

建物から。

世界から。


生きているか、いないかなんて関係ない。

笑みを絶やすな。

鼓動を消すな。


全てを受け入れろ。


痛みでも。

理不尽でも。

絶望でも。


己や大切な者の死であっても。


喜べ。

楽しめ。

狂喜しろ。




「やぁ。今は笑顔かい?」

【笑顔】がきた。


「どんなことがあっても。」

【笑顔】とは幸せの元である。


「笑えるようにするさ。」

【笑顔】が私に答えを示す。


たとえ自分が質問していなくても。


「だってそれは。」

【笑顔】は勝手に答える。見せる。壊す。


世界は理不尽であった。

いや、理不尽な感情か。


「ハッピーエンドじゃないだろう?」

【笑顔】は絶対である。


「そんな悲しいこと。」

【笑顔】が自分...いや、私達に幸せを与えてくれる。


「絶対に【笑顔】にならないだろう。」

【笑顔】自身は決して笑わない。


「【笑顔】という名が笑わない。それはなぜかって?」

【笑顔】は知っている。どんな素晴らしいことも。


「【笑顔】は喜びじゃないから。」

【笑顔】は絶対。


「【笑顔】は幸せじゃないから。」

【笑顔】は絶対であれ。


「【笑顔】は終点じゃないから。」

だまれ。【笑顔】になれ。


「【笑顔】は心を塗り潰すものでしかない。」

笑え。二度とその顔を歪ませるな。


「【笑顔】は己の心を隠す仮面でしかない。」

鼓動を止めるな。笑顔でいろ。


「【笑顔】はお前の傀儡ではない。」

もういい。止まれ。やめろ。


「【笑顔】はお前の玩具ではない。」

やめろ。やめてくれ。


「全ての人を【笑顔】にはできない。」

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!⬛︎⬛︎、⬛︎⬛︎⬛︎!


「【笑顔】はお前が命を奪うための免罪符じゃない。」

あぁ、【笑顔()】よ。 


「お前は。」

笑顔は素晴らしいものではなかったのですか。


「金輪際一切【笑顔】を浮かべるな。」

私から奪うな。私を縛るな。


「罪を償え。」

【笑顔】を押しつけたのはお前たちだ。


「これで、終幕だ。」

鼓動は、既になかった。


◇◇◇◇


X93X年16月96日、67名を惨殺したとして指名手配中の⬛︎⬛︎⬛︎ ⬛︎容疑者が⬛︎⬛︎県⬛︎⬛︎⬛︎市の廃ビルにて死亡しているのが見つかった。


⬛︎⬛︎⬛︎ ⬛︎容疑者は発見時、「笑顔が私を捨て去った。もう終わった。全て。」

と彫られた木の杭を四肢に刺されており、死因は出血多量と栄養失調による衰弱死と見られている。


◇◇◇◇


【笑顔】を盲信し他人に押しつけた殺人鬼は死んだ。

⬛︎⬛︎⬛︎ ⬛︎がどんな人生を送っていたのかは知らない。

この先で生きていくために知る必要もないだろう。


これはバッドエンドではない。

目には目を、歯には歯を。

死には、死を。

ただ単純なことである。


「君は、ハッピーエンドでないと笑えなかったんだろう?」


「今回は殺人鬼の死が多数の人間の幸せと判断されただけ。」


「おめでとう、これがこの世界にとってのハッピーエンドだ。」



「【笑顔】を浮かべ拍手で彼を送り出してくださいますよう。」


「これにて、この物語を終わりとさせていただきます。」


「お疲れ様でした。」

ここまでお読みいただきありがとうございました。

楽しい楽しいハッピーエンドでしたか?

私はまだ幸せを文章で表現するのが苦手なのでこれからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。

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