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トワイライト(迂闊に読むと心がしんどいシリーズ)

最終決戦が終わった後にわけのわからない事を言い出す人間

作者: リィズ・ブランディシュカ



 最後の戦いが終わった。

 目の前で奴が塵と化していく。

 僕たちはとうとうあの強大な敵を倒すことができたのだ。


 これで僕たちは世界を救った英雄だ!

 力を合わせて、苦難を乗り越えてきたかいがある。


 これで、世界に平和がもたらされたのだ。


 人々を襲っていた悪魔はもう現れない。


 皆、大切な人達と平和に暮らすことができる。


「何でだよっ!」


 でも、そんな中で空気を引き裂くような悲鳴があがる。

 仲間の一人。彼女だけが浮かない顔をしていた。


「アメリア? どうしたんだい?」

「何でここにあいつらがいねぇんだよっ!」

「?」


 彼女は誰のことを言っているのだろう。

 ここに来るまでに倒れた一般兵士達のこと?

 それとも、悪魔の犠牲になった一般市民たちのことだろうか。


 だが、彼女の瞳には深い悲しみの色があった。


「いるはずなんだよ。ここにはあいつらがっ!」

「アメリア、落ち着いて。一体どうしたんだい?」


 彼女は、きっと疲れてるのだ。

 最期の敵と戦うまでも、戦闘があった。

 かなりの激戦だったから、休ませてやらなければならない。


 けれど、アメリアはこちらの伸ばした手を振り払った。


「気色悪い喋り方をするおっさんも、頑張り屋のシェフィも、機械好きのタバサも、なんだかんだいい奴だったお前の弟のヒューズも」


 彼女は一体何を言っているのだろう。

 そんな人達は知らないし、僕に弟はいないはずだ。


「何で、忘れてんだよ。何で忘れちまえるんだよ。あんなに仲がよかったじゃねぇか。お前達の絆はそんなもんだったんかよ」

「アメリア。もういい。休もう」

「よくねーよ。こんなの納得できるかっ!」


 アメリアはどこから手に入れたのは分からない秘宝を手にして、叫んだ。


「やり直す。また最初から戦ってやる。コソ泥のザーフィスとも、モンスターも悪魔とも、お前とも、ついさっきたたかった最後の敵とも」


 そして彼女は最後まで、訳の分からないことを言うまま、その剣を自分に突き刺して死んだ。


「アメリア!」


 分からない。

 彼女は一体、何を考えてるんだ。


 ギリギリの視線をくぐりぬけて頭がおかしくなった?

 そんはなずはない。


 危機一髪で潜り抜けてきた戦闘なら、今までもたくさんあったのに。

 一体何が彼女を狂わせてしまったのだろう。


 慌てて、手当てを受けさせるが、どんな病気でも直してきた者達が全て白旗をあげた。


 彼女の命は戻らなかった。


 傷はすぐになおったのに。



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