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四話 商売区

朝、目覚めるとネフィムはもう既に起きていたようだ。

その手には弓が有り、手入れをしている。



「起きたのかい?おはようアバロル」





「おはよう。すまんな…少々眠り過ぎたみたいだ」




「あー、気にしなくてもいいよ!

それだけ疲れてたって事だ」

ヒラヒラと手を振り、弓を持って立ち上がる。



「それじゃあ、武器と防具を買いに行こうよ、昨日の試合分と今まで僕が稼いだ分があれば今よりマシな物は買えると思うし」





「それもそうだな。

ならばその後に訓練場に寄ろうか」




「うん、そうしよう。

連携するにもまずは互いの実力を見ないとね!」



話が終わると俺は立ち上がり、ネフィムの後に続いた。















「よし、商売区に着いたよ。

予算は飯の分を抜いてだいたい500マーナかな?」


商売区と言っても俺たちが入れるのは一部だけで勝率が上がれば上がるほど入れる場所が増える。

ちなみに金の単位は下からマルナ、マーナ、アルタ、と上がる。

それぞれ1000で単位が一つ上がるようだ。




「ふむ、とりあえずは見て回るか」














武器屋に入り、手頃な物を探す。

と言っても俺の場合は防具が重要な為、ネフィムの短槍を見に来た訳だ。




「うーん、高いね。

安い物はあまり目ぼしい物が無いし防具屋に行こう」




「了解だ」




どうやらまだ俺たちの資金では無理があった様だ。

来た意味はあまり無いが、どんな物があるか見れた分、まだいいだろう。











「らっしゃい!」




店の中に入ると店主の声が聞こえた。だが、そんな事はどうでもいいと真っ先に金属製の物並ぶ場に向かい、眺めた。




その中でもプレートアーマーに興味が湧いた為、安い物は無いかと見て回った。

俺の体に合う安めの物が200マーナ…実に微妙である。

しかし、腕の部分もそれなりの強度を持ち、鎖帷子付きとお買い得だった。




…買うしかない!!







「どうやら決まったみたいだね!

僕の方はこのスケイルアーマーにしたよ。値段も80マーナと手頃だったしさ!そっちは…

まあ値段は良いとして重過ぎないかい?全部で60kgは有るよそれ」



ネフィムはそう言うがそれぐらいならば問題ない。




「大丈夫だ」





「まあ、それならいいけどさ」






俺たちは金を支払うと訓練場に向かった。

















「…………」



正直に話そう。

ネフィムの弓の腕前は十分に戦えるレベルだった。


しかしだ…

問題が一つある。




俺の体が鎧に入らない。







流石のネフィムもこれには苦笑いを浮かべ、

「まあ、次に活かそう」

と、一声掛けるだけだった。


うむ、俺でもこんな時にどう言葉を掛ければいいかわからんし一声掛けるだけ充分だろう。





しかし、俺は諦めなかった。




魔力を使い、プレートアーマーを変形させていく。




「!?」



隣でネフィムが息を呑む音がしたがお構いなしに続けた。



ゆっくりと形を変え、魔力でコーティングしていく…

鎖帷子を身に付け、

プレートアーマーを足、腰、胴体、腕、頭と一つ一つ身に付けていく。

頭部分は顔面の部分を仮面式にして、角と髪の毛が鎧から上手くはみ出すように作り変える。

ぴったりな大きさに全て身に付けると次はコーティングに力を入れ始める。強度はより硬く、着心地はより良い物へと、更に自動肉体洗浄魔術と無臭魔術をプレートアーマーの全部分に纏わせ、呪いのように染み込ませる。

俺の魔力が浸透し、鎧の色は白銀から朱と漆黒の色に染まり、禍々しく変化していた。

最後に鎧に自動修復魔術を掛け、完了だ。






「…これでいいだろう」

俺は満足気に呟いた。



「アバロル…

君は相変わらず規則外だね」

ネフィムは驚きを通り越し、唖然とした表情で俺を見る。




あ、一応ネフィムの鎧も軽くコーティングしておいてやるか。




「…その鎧も軽くコーティングしておいてやる」

ネフィムの方に手を向け、魔力をスケイルアーマーに少し宿らせ、強度を上げる。





「い、いいのかい!?

なんだろう…鎧が生きているように暖かみを持ったような…」

ネフィムは自分のスケイルアーマーをペタペタと触りながら呟く。



いや、鎧に命は宿らないと思うが。

もしかしたらそんな事が有り得るのかもしれないが俺は信じないぞ。

この目で見るまで。







それから暫くはネフィムは弓術、

俺は剣術を練習した。

体術を主に使う俺だがミノタウロス戦で少し剣を使ってみたくなったのだ。以外と魔力剣、万能だし。





そして今日の練習時間は連携の話をする前に練習で過ぎてしまい、結局話し合う事は出来ずに終わった。






次からは気を付けたい。

しかし、剣術…面白いな。














自室に戻ると、明日に試合が有るという報告が届いていた。






「遂に僕たちのデビュー戦だね。

初めて一緒に戦うけど頑張ろう!」

ネフィムはやる気に満ちた表情で手を握り締める。



「ああ…

俺ら2人組に挑んだ事を後悔させてくれる」

俺はプレートアーマーに隠れた頬をニヤリと緩ませた。





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