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日陰から一歩出た途端に襲う直射日光を全身に浴び、リスキィはうめき声を上げた。
右手で目元に陰を作り、空を見上げる。
時刻はまだ朝の八時半だというのに、すでに高々と昇った人工太陽はこれでもかと言わんばかりに紫外線と熱量をまき散らしている。地球の天候を再現するとはいえ、いくらなんでも酷暑まで模倣する必要はないのではなかろうか。こちらは職業柄軽装ができないのだ。継ぎ接ぎをあてたインディゴブルーのジーンズと上着、作業用ブーツと手袋。頭にはフルフェイスのヘルメット、腰には革製のベルトが巻かれており、胸元にはロケットが下がっている。ホルスターには小型自動拳銃。危険な場所ならバイク用のヘルメットもかぶったままなので、肌が露出する箇所がない。
「暑い!」
空に向け中指を立てて吠えてみても、気象部が聞き入れてくれるはずがない。朝から無駄な体力を消耗するだけだった。
リスキィは諦めて隣接している車庫に入る。日陰のはずなのにやたら温い空気に満ちた、自動車数台分の広いスペースの隅に駐車してあったバイクーータンク部分に翼のロゴが入った白い流線型の造形。カウルデザインは数百年前に存在していたメーカーが製造していた骨董品だが、エンジンとフレーム、足周りは現代のものを使用しているーーにまたがった。
キーを差してひねり、クラッチを握る。ギアがニュートラルであることを示す緑のランプが点灯していることを確認し、セルスイッチを押してエンジンに点火。ピストンが回転を始め、心地良い振動に体を突き上げられる。
「今日もお勤めがんばりますか」
不快感が少し紛れたリスキィはギアをローに入れ、エンジンの回転数をあげてクラッチをつなげ発進、荒廃した街中へ飛び出した。




