表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/28

2-2

 2-1を結構書き足したので既読の方は2-1後半の方を見ておくことをお勧めします。

 人類が自分達を生んだ母なる大地、地球を捨ててから、もうじき二百年近くとなる。


 文明は算出された数字以上の早さで資源を消費し、石油資源はほぼ完全に枯渇。人類は太陽光や核に頼らざるを得なくなり、世界の技術は頭打ちを迎えた。


 それだけであればまだ生命が生存のための大地は残されていたが、核を主な動力源として頼る以上、廃棄物を処理するという問題は避けては通れない。地下深くに貯蔵するという選択も応急処置以上の解決にはならず、地球は少しずつ、だが確実に核の副産物である放射能に蝕まれていた。


 事態を重くみた人類は、現在ある資源を集め、宇宙空間内に移動可能な大規模のスペースコロニーを建造した。機材の不足部分は月や隕石からかき集めればいいが、いかに先進国家が結託して作り上げたものと言えど、スペースコロニーが許容できる生物には限りがある。各国の首相達は放射線による遺伝子損傷の少ない健康な人類と植物、動物を厳選し、彼らにコロニーへの移住を許可した。ノアの箱船の再来に平等であるべきだとする生命を選別する行為だとの批判が浴びせられる中、スペースコロニーは優秀な生命を乗せ新たなる大地へと旅立った。


 新天地を発見したのは地球を離れてから約四十年後。

 まさしく奇跡と表現するにふさわしい惑星だった。


 その星は直径、地質、重力など、ほとんどの要素が地球と似通っていたのだ。もちろん太陽から遠く離れているため自転公転をせず、気候も似ているとは言いがたい。だがこれほど地質の似た惑星はほかには存在しない、ここを第二の地球とすべきだとの世論がコロニー内を支配し、その惑星を開拓することが決定される。


 惑星開拓テラフォーミング


 その方法とはコロニーを分解して惑星を覆うように再構築し、人為的に天候や自転公転を操作することで地球と同一の環境に変えるというものだった。後に惑星を覆い尽くしたコロニーを上界アッパーワールド、惑星開拓対象の内部の大地を下界アンダーワールドと便宜上分類することとなる。


 惑星には異形の先住民が生活しており、人類は当初は友好的な関係を結ぼうとしたが先住民側はこれを拒否、両者の間で戦争に発展する。先住民側は人智を超えた身体能力で人類側を屠っていくが、人類がある兵器を投入することで戦況は一変する。


 延長五体マリオネット


 開発当初は身体に重度の障害を持つ障害者が自力で生活していくための文字通り手足の延長として、技術が発展してからは危険な作業を替わりに行わせる為に開発された機械人形。あらじめ操縦者に脳波の感知と発信を行う装置を脳内に埋め込み、延長五体側で脳波を受信させることで操作する。


 延長五体の軍事転用により人類側は兵士という再生産の困難な資源を全く消耗することなく戦争を行うことが出来るようになったため、消耗戦に持ち込むことで人類側は勝利。後にこの戦争は侵略戦争と呼ばれることになる。


 侵略戦争により先住民はほぼ死滅。人類は悠々と地球とほぼ同じ環境となった惑星に降り立ち、第二の繁栄を開始した。


 かつて人類が繁栄を極めていた頃とほぼ同じ環境にまで開拓するのにかかった時間は約二十年。


 平和な二十年だった。


 だがその繁栄は、思わぬ形で打ち砕かれることとなる。


 わずかに生き残っていた先住民は傷をいやし、人類に対して復讐するために進化を続けた。


 そして二十年たったある日、人類は予想もしなかった形で先住民の反撃を受けたのだった。


 先住民の復讐により惑星に築かれていた都市は次々と崩壊、人類は居住の場を上界へと後退することを余儀なくされた。


 再び延長五体が投入され、表面上は先住民を再び駆逐したが、都市は壊滅し、再開発のためには一度建築物などを取り壊し、そのための土壌を作り直さなければならない。


 上界では首脳会議が開かれ、この惑星を放棄すべきか否かが議論された。


先住民の存在が主な争点となったが、もはや良好な関係は望めない点とこの惑星から離れ次の惑星開拓に適した星を探すリスクが決め手となり、この惑星に留まり再び開発が可能な状態に戻すという方針が固められた。


 そのためには惑星を再び開発出来る状態に、いわば清掃する人材が必要となる。延長五体を動員するという案は駆動時間や電力消費と作業効率が割に合わないため、人間の力が必要だった。


 だが先住民の潜む大地に喜んで降り立つことを望む人間などいない。ある国家が刑罰の一つとして惑星清掃を追加したところ、犯罪率が減少したという調査結果も存在するほどだった。


 それでも誰かは派遣させなければならず、誰も手を挙げないのであれば立場の弱い人間に白羽の矢を立てるしかない。


 そうして死刑・終身刑の凶悪犯罪者が選び出され、下界アンダーワールドへ派遣される惑星清掃員ダストマンが生まれたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ