8 俺、近況報告(4歳10ヶ月)
こんにちわ、お久しぶりです。
ヒロです。
この世界に生まれ変わりもうすぐ5年になります。
少し過保護が過ぎる家族に愛され日々過ごしてます。
この5年間でいくつかの事が分かったんで報告します。
「一つ、我が家は貴族様らしい」
しかも『侯爵』家だ。
王族、3つの公爵家に次ぐ、8つの侯爵家の1つらしい。
しかも、お祖父様は国王陛下の古くからの知り合いで
幼い頃から、『話し相手』兼『遊び相手』兼『護衛』だったらしく
公的には陛下の最も信頼する『相談役』で
私的には陛下の数少ない『友人』なのだそうだ。
「一つ、俺は王位継承権を持っているらしい」
母上は陛下の二女で王位継承権第四位だったらしい。
嫁いで来る際に王位継承権を放棄してきたんだが、俺達が国王の孫に当たるので低くはあるが、王位継承権を有しているのだそうだ。
ちなみに、父上と母上との結婚に際し、いくつかの貴族から『待った』がかかったらしい。
ただでさえ、王家の信任の厚いグリフ家(王ー当主=親友、王太子ー当主=師弟、第二王子ー次期当主=騎士学校先輩後輩)に王女が嫁げば、ますます力を付けるので、何とかして止めさせたかったらしく、
「もっと有益な婚姻の相手(他国の王族等)がいるだろう」と進言が有ったらしい、が国王は「お前、そんな望んでいない結婚進めてメルちゃんが駆落ちでもしたら責任取れんのか?」と退けたらしい。
「一つ、この世界は現在平和らしい」
古の英雄の活躍で、魔族の『ほぼ』全てが結界により大陸の西に封じられているらしい。
人間同士の争いも小競り合い程度で『大陸統一』とか『世界制覇』を掲げている国は無いらしい。
「一つ、この世界には魔法がある」
大別すると
契約魔法:神や精霊との契約により発動する魔法
構成魔法:自分の魔力で理を構成し発動させる魔法
に分けられている。
現在、ほとんどの魔法士が使えるのは契約魔法のみで、構成魔法が使える魔法士は1000万人に1人居るかどうからしい。特殊な才能が要るんだってさ。
(え?俺? いやだな~、そんなの使えるわけ無いでしょ)
契約魔法は『魔力10を渡す代わりに、威力30の火で対象を燃やす』って感じで、腕の良い魔法士は消費魔力が減ったり、威力が上がったり、対象の選定が精密になったりする。
ただし、、契約に無い事は出来ない。
一方、構成魔法は、『構成さえ出来れば何でも出来る』まさしく、『世界の理』でさえ捻じ曲げられる。
ただ、理を構成するって事がやたらと難しいんだ。
理の難易度が上がると、構成の難易度は指数関数的に跳ね上がる。
らしいんですよ。
俺も最近は頻繁にある契約魔法を使っている。
それは
「さて、今日も楽しい楽しいお勉強と行こうか?」
窓から風が吹き込んできたかと思うと、そこには羽の生えた少女が居た。
こいつは、『風の上位精霊』のエアル
グリフ侯爵家の所領ベイグラートにある『神霊の森』に住んでいた。
たまたま家族で遊びに行った時に俺が見つけ、以来何かに付けて遊びに来る。
曰く「精霊が見える人間は稀で、面白そう」らしい。
ちなみに、精霊の格は
精霊王>大精霊>上位精霊>高位精霊>精霊>半精霊
となっていて、エアルは結構高位な存在らしい。
俺は、このエアルから様々な事を教えてもらっている。
世界の事、そこに住まう多種多様な種族、歴史や魔法、そして危険な魔物。
さすがの上位精霊様で、何千年も世界を見てきたらしく博識だ。
中でも力を入れて教えてくれるのは『魔法』だ。
例えば「魔力について」はこんな感じだった。
Q、魔力ってどうやって作られてるの?
A、「魔力は、大気中のマナを呼吸と共に取り込み、体内で凝縮・変質させて生成される」
Q、魔力の量はどうやったら増えるの?
A、「魔力の生成速度・貯蔵量は当人の体質や才能と共に体が成長期に入る前までの状況が重要になる」
Q、なんで?
A、「体が『魔力の消費が多いから、生成速度や貯蔵量が高くならないとまずい』と思もって成長する」
Q、具体的にはどうしたら?
A、「幼い内から魔力をよく消費させるのが良い」
Q、どうやって?
A、「周囲にいる精霊に魔力を渡せば良い
精霊にとってのマナは、人にとっての食事と同じ
生きていく為の重要な源になっている
そのマナを凝縮・変質させた魔力は、精霊にとっては大好物
その大好物を貰う代わりに力を貸すっていうのが精霊魔法」
Q、つまり精霊魔法を使いまくれと?
A、「その通り。ただ、攻撃魔法等である必要は無い
精霊魔法は契約魔法なのだから、その契約は
『魔力をあげるから、危険なときは助けてね』
なんてものでも良い」
Q、魔力の前払いだね?
A、「そう、坊は魔力への適応力がドンドン上がっていく
その上、万が一の時は精霊が守ってくれる
精霊は大好物が貰える。誰も損をしない、良い方法だ」
そんなわけで、俺は日中精霊たちに魔力を食い尽くされています。
ちなみにエアルの授業も『ものを教える代わりに魔力を寄こせ』という精霊魔法です。
「今日は何を教わりたい?」
エアル先生の授業が始まった。
説明回です
冒険の旅に出かけるのは何時になるのか?
次回も説明メイン(のみ?)です