42 坊ちゃまの侍女 その3
前話の別視点な話です
こんにちは、皆様。
ロザリア・グロスターです。
只今グリフ家は大変賑やかになっております。
何故なら、坊ちゃまが半年ぶりにお戻りになられたからです。
坊ちゃまがお戻りになられる数日前より皆様ソワソワしておられました。
しかも、今回は御学友も一緒にいらっしゃるとの事です。
坊ちゃまの御友人ともなれば、素晴らしい若者であろうと侍女一同が心待ちにしておりました。
ですが、女性という予想はしておりませんでした。
1名は精悍な顔つきで野性味溢れる男性でしたが、それ以上に2名の女性に皆ただならぬ気配を発していました。
私の坊ちゃまを狙うなど言語道断です。この××××共が。
ゴホン
失礼致しました、少々取り乱してしまった様です。
坊ちゃまがお帰りになられたのは、夕方前の事でした。
半年ぶりの坊ちゃまは、より一層と輝いておられました。
後光が指さんばかりのそのお姿に、侍女の多くが見惚れておりました。
坊ちゃまが笑顔で皆を見回していると、その視線がある所で止まりました。
「何やってるんだお前等?」
もっと言って下さい。「帰れ」とか「失せろ」とか割かしハッキリと。
皆様居間に集まられ坊ちゃまの話を聞いておられました。
その間に坊ちゃまの荷物をお部屋に運び、部屋の最終確認を行います。
お部屋の清掃は毎日行っておりました。むしろ旦那様の部屋などより重点的に。
「完璧ですね」
塵1つ、埃1つ残っていない部屋に満足し、坊ちゃまのお話を聞くべく居間へと急行します。
勿論、グリフ家の侍女として恥ずかしく無い優雅な歩き方で(←神速歩法とも)。
途中、バートレット様が坊ちゃまの御友人と女①に何やら指導しているようでした。
「宜しいですか?形だけと言っても本日1日はグリフ家の執事、侍女です。それ相応の・・・」
一体なにを指導されていたのでしょうか?
バートレット様の指導は終始優しい笑顔で行われますが、その笑顔が逆に恐ろしいのです。
色々と過去を思い出しただけで、肝が冷える思いです。
坊ちゃまの話の前半部分は聞き漏らしてしまいましたが、フェルディール学院でも壮健にお過ごしなされていた様で安心致しました。
ただ、冒険者として危険な仕事にも従事しているらしく、何でもエルフの里で封じられていた魔獣の討伐に参加したらしく、危うく大怪我を為さるところだったとか。
大旦那様は「そういう手合いにはな・・・」とアドバイスをされていましたが、出来れば危険な事は控えて頂きたいのですが、好奇心旺盛な坊ちゃまには我慢出来ないのでしょう。
困った方です。
夕食はグリフ家のお抱え料理人が腕によりを掛け坊ちゃまの好物を数多く用意致しました。
坊ちゃまは両隣をユリアーナ様とミリアリア様に抑えられ世話を焼かれ困惑されているようでしが、いつもより明るく笑い声の耐えない夕食と為りました。
『坊ちゃまが居る』それだけで家中が明るくなるのですから不思議です。
夕食後は自室でご友人と談笑されてから、就寝されたようです。
私も明朝のお勤めの為、早めに就寝する事とします。
「レミーア、明日は頑張りましょうね?」
「はーい、お母たま」
レミーアは4歳になる自慢の娘です。
無邪気で愛らし笑顔は、親の欲目か中々の器量良しと思えます。
いずれは私に代わり坊ちゃまの専属侍女としてお傍に仕えるべく英才教育の真っ最中です。
レミーアも坊ちゃまが大好きなようですが、今のままでは、ただ懐いているだけです。
いずれは真の主従の何たるかを教えねばならないでしょう。
グリフ家の為に、坊ちゃまの為に心身その全てで以ってお使えする侍女に仕立て上げてみせます。
幸せそうに眠る娘の頭を撫でながら私は『坊ちゃまの侍女育成計画』を練るのでした。
書いていて「あれ?ロザリアが黒い」と思いましたが
とりあえず強行します
ロザリアさんの嫁ぎ先はグリフ家に仕える騎士という設定です
登場の予定は今のところ有りません
感想、ご指摘等ありましたら
宜しくお願いします




