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望むはただ平穏なる日々  作者: 素人Lv1
学院 編
37/90

37 学院祭 IN地下迷宮 その2

*4/27 誤字訂正しました

*2/7 一部修正しました

 周りを取り囲む無数の魔物。

 ドアの向こうにも俺たちを追いかけてきた魔物の集団。


 俺一人ならどうとでもなる、だがリューネを守りながらとなると、多勢に無勢はまずい。 


 しょうがない、たまにはアレを使うか。


 秘密兵器を取り出すべくアイテムボックスを開く。

 最近取得したスキルの1つ【アイテムボックス】。

 能力は『収納量無制限』『内部時間凍結』『自動仕分け』だ。


 ギルドでの仕事で魔物の討伐を行う時は、最低限の討伐証明部位を持ち帰れば良いのだが、大抵の魔物は何かしらの素材として買い取ってもらえる為、出来れば全て持ち帰りたい。

 だが大物の魔物はそう簡単には持ち帰れない。


 そんな時に役立つのが、『収納袋』だ。

 ランクにも依るが、最高級品とも家一軒分を丸々収納出来るらしい。

 

 だが、討伐に出る度に『収納袋』を借りる訳にもいかず、個人での購入も考えていたが、取得可能なスキルの中に【アイテムボックス】が有ったので、習得してみた。


 物に触れて『収納』と念じればアイテムボックスに送られ、取り出したいアイテムを頭に思い描けば取り出すことが出来る。


 便利すぎるスキルだ。



 腰に付けたカモフラージュ用の収納袋(に似たもの)に手を入れ、目当てのものを取り出す。

 

 こちらに向かって飛んでくるハーピーに向けて構える。


 パーン!


 軽い破裂音が響き、ハーピーの左肩が吹き飛ぶ。


 右手に握られているものは、所謂『拳銃』だ。


 祖父の知り合いのドワーフの鍛冶師に作ってもらった本体に、精霊たちの協力の下『魔力を弾丸にして飛ばす』魔方陣を組み込んだ。

 グリップから魔力を吸い、内部の魔力弾倉に蓄積する。

 引き金を引くと魔力を弾丸に変えて射出する。

 必要となるのは持ち主の魔力のみ。実にエコな武器となった。


 本体横のセレクターで威力の調節が出来る。

 調整は、最大>大>中>小>最小の五段階だ。

 最小は50連射可能で威力は石をぶつけられた程度。

 小は20連射可能で威力は弓矢と同程度。

 中は12連射可能で、まさしく大口径拳銃並みの威力。

 大は3連射可能で、対物ライフル並みの威力。

 最大は魔力弾倉の全魔力を使用し、威力は実験に立ち会った風の上位精霊(エアル)曰く『並みのドラゴンなら多重障壁ごと打ち抜ける』そうだ。


 オートマチック拳銃をイメージしたこいつ(・・・)は『ベレッタ』と名付けた。


 威力を中にセレクトしたベレッタを片手に部屋の隅を目指す。

 『死角を取られない』多勢に無勢の鉄則だ。


 立ち塞がる魔物を端から撃ち抜き、部屋の隅に陣取る。

 これで背後の心配は無くなった。


 「もしかしたら、何匹かは抜けて来るかもしれませんが、任せても良いですか?リューネさん」


 「は、はい!自分の身ぐらいは守れます」

 両手にダガーを構えてみせる彼女に軽く微笑み、魔物の殲滅戦に移る。


 右手に魔力を集め、ベレッタの魔力チャージを早めつつ、襲い来る魔物を片っ端から撃ち落とす。



 どの位経ったのだろう、目の前に広がる死屍累々。

 生き残っている魔物達も警戒しているのだろうか、中々近づいてこない。


 (好都合だぜ)

 「雷撃の暴風ライトニング・ストーム

 強力な範囲魔法を解き放つ。


 部屋の大部分を巻き込んだ嵐が収まる頃には、動ける魔物はいなくなっていた。

 念のために【索敵サーチ】を掛けてみるが、俺とリューネ以外の生体反応は無かった。


 「いつ新しい魔物がポップするか分からないんで、移動しましょう」

 死骸の山と化したこの部屋はでは気分が悪かろう。


 「は、はい」

 呆然としたリューネの手を引き部屋を出る。


 暫く歩き、安全そうな部屋(そんな保証は無いが)で休憩を取る。


 アイテムボックスから飲み物を取り出しリューネにも渡す。


 こちらを見つめてくるリューネの視線に不安感が募る。

 (やっぱりまずかったか?)


 いまさらながら、剣と魔法だけでどうにかするべきだったかと後悔する。


 「何も聞かない方が良いんですよね?」

 リューネの口から出たのは意外な言葉だった。


 たぶん銃の事を言ってるんだろうな。


 「そうしてもらえると助かります」

 なんと説明したら良いのか分かりませんから。


 「いつか話してくださいね?」

 上目使いで両手を握ってくる。


 「話せる時が来たら、きっと(たぶん来ませんけどね)」

 

 

 暫く休んだ後、再び探索を再開した。


 何度か魔物と遭遇しては殲滅を繰り返し先に進むと、ボス部屋か?と思うそれまでとは違う重厚な扉があった。


 「入ってみますか?他の皆も来ているかもしれませんし」


 「そうですね、入ってみましょう」


 扉を開けると、


 誰も居なかった。


 

 「あれ?」

 部屋には他の出入り口は無い。

 ボスも居ない。

 じゃあ、この部屋は何だ?


 そんな事を考えていると、床が淡く光る。

 その光の中から何かが湧き上がってきた。


 「ゴーレム?ミスリルゴーレムか?」

 見覚えのあるゴーレムだった。


 「ミスリルゴーレムは35階で倒したぜ、いまさら…」

 そう、ミスリルゴーレム程度は敵ではない。

 

 1体なら。


 次々と湧き上がって来るゴーレムの数は既に5体を超え、まだ湧き上がってくる。


 「冗談だろ?」

 計8体のミスリルゴーレムに嫌な汗が流れる。


 「いけるか?」

 ベレッタの威力を大にセレクトし、先頭のゴーレムを撃つ。

 強烈な反動を残し放たれた弾丸が、ゴーレムの胸板をゴッソリ削る。


 「1発じゃ無理か」

 第2射、第3射を放つ、ゴーレムの胸に大穴が開きその体が崩れる。


 弾倉のフルチャージには30秒はかかる。

 「ベレッタじゃ無理か?」

 アイテムボックスから、もう一つの銃を出す。


 「まずは赤で行ってみるか」

 照準を合わせ引き金を引く。


 ズガーン!


 ゴーレムの胸元が破裂した。

 胸から上をなくしたゴーレムがそのまま倒れる。


 「良し、コレならいける」


 リボルバー型の『パイソン』。

 ベレッタと違って威力の調整機能は無い。

 コイツの真骨頂は回転式弾倉に精霊石をはめ込むことで、属性付きの弾丸が撃てる事だ。


 赤は火属性、着弾後に爆発する。


 「次は黒」

 黒は土属性、弾丸を金属に変える。

 魔力を纏った金属の弾丸は優れた貫通性を持つ徹甲弾となる。


 弾丸は易々とゴーレムを貫くが、中枢を外れたのか動きを止めるには至らない。


 「黒じゃあ効果は薄いか、なら全弾赤だな」

 弾倉を全て火の精霊石に換える。


 続けざまに3体のゴーレムの上半身を吹き飛ばす。


 爆発の粉塵で視界が悪い。

 距離を取ると共にパイソンに魔力のチャージを行う。


 「後は3体!」

 残ったゴーレムに照準を合わせ撃とうとした時。


 「いいえ、後2体よ」


 ゴーレムの右肩から左の腰までがズレていく。


 「楽しそうじゃない。私も混ぜなさいよ♪」

 ゴーレムの後ろに居たのは剣を振り上げた姉だった。


 (ミスリルゴーレムの胴体を両断?しか切り上げで?)

 自分には明らかに不可能な芸当を軽々とやって見せる姉に戦慄する。


 「天与の光槍(ディバインランス)

 光の槍がゴーレムを貫き粉砕する。

 「後1体ね♪」

 笑顔でカウントするハイエルフ。


 (魔法耐性の高いミスリルゴーレムが1撃?)

 まさしく桁違いな存在に身震いがする。


 「化け物だな」

 「貴方も大概ですけどね」


 リューネが冷静にツッコミを入れてくるが。

 

 「アレと同列にしないで下さいよ」


 「ミスリルゴーレム5体を秒殺とか十分に人外ですよ」

 俺の場合は得物が反則なんですよ。


 「最後は私だな」

 アリシアが単身ゴーレムに向かう。


 「拘束バインド

 マシウスが拘束魔法でゴーレムの動きを止める。


 「剣を体の一部、手の延長と思いなさい。

  手に魔力を纏わせるのと基本は同じよ」


 「はい!」

 

 姉の指示の下ゴーレムに肉薄するアリシア。


 キィィン!


 膝の可動部を狙い斬り飛ばす。

 バランスを崩したゴーレムが倒れ。

 その頚椎に魔力を纏った剣が叩きこまれる。

 

 動かなくなったゴーレムに背を向けたアリシアは、


 満面の笑顔だった。


 


 地上に戻った俺達を待っていたのは

 仁王立ちで待ち構えた、運営の説教だった。

『ベレッタ』『パイソン』初登場の回です


更に改造されて、トンデモ兵器になる予定は

今現在はありません


「別に銃無くても魔法で良くない?」

とは書きながら思いましたが、強行しました


感想、ご指摘等ありましたら

宜しくお願いします

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