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望むはただ平穏なる日々  作者: 素人Lv1
学院 編
11/90

11 新たな生活

 巨大な門を貫く太い石畳。

 高く分厚い城壁。

 数万人の人間を収容できる広大な敷地に建物。

 大陸でも最大の『学校』。

 フェルディール学院。


 その前に俺はいる。


 こんにちは、皆さん、俺も15歳になりました。

 国元を離れ、異国に来ています。



約半年前


 俺は王立学院の初等科の卒業を年明けに控え、その先の進路について悩んでいた。

 チートな転生者である、ハイスペックな俺は、特に努力をした覚えも無いのだが、問題なく年間首席を獲得し続けていた。

 このまま王立学院の『騎士科』や『魔法科』に進んでも、まず主席での卒業は間違いないと周囲から思われていた。


 俺の実力以上に評価が高いような気がしている。

 その背景には『侯爵家の次男』や『王の孫』と言うのも有り、周りの権力者の縁者に恩を売っておこうという雰囲気もその後押しとなっているのだろう。


 俺は出来れば、『自由』で『面倒事の無い』日々を女の子とイチャイチャしながら過ごしたい。


 その為に俺はある計画をしていた。


 それは『他国の学校に留学し、在学中に冒険者となり、それなりの実績を残す』ことだ。

 

 この国では俺はどこに行っても『侯爵家の次男』だ。

 近づいてくるのは、何かを狙った連中ばかりで、純粋な友人というのは少ない。

 まずは、『普通な』俺にならなければいけない。


 その上で大事なのは、グリフ家の人間を説得できる理由。

 「貴族としてチヤホヤされたくない」と言えば、他国へ留学生として送り出してもらうのは難しくは無いだろう。

 しかし、それでは時間制限つきの自由しか得ることが出来ない。

 他所の貴族なら働かない道楽息子などいくらでも居るし、仕事を執政官に丸投げしている領主もいるだろう。

 しかし、グリフ家の人間は、やたらと向上心の強い(俺以外)

 そこで「見た事の無い世界を見てみたい。誰も辿り着けなかった場所へ行ってみたい」

 そんな向上心あふれる言葉で両親達を説得したのだ。


「そうだな。お前にはこの国一つでは小さいな」

「世界の広さを知り、頂の高さを感じてくると良い」

「いつでも帰っていらっしゃい。あなたの居場所はいつだって此処に在るんだから」

 

 そんな言葉で、俺の決意を許してくれた。

 やめてくれ!涙で前が見えないよ。


 いつまでも渋る姉と妹に

 『危険な事はしない』『マメに手紙を書く』『長期休暇には帰ってくる』『危険な事はしない』『誕生日祝いを前倒しする』『今晩は一緒に寝る』等なんか色々方向性の怪しくなっていく要求を受け入れ、何とか認めさせた。


 その夜

「我は付いて行けんぞ」

 誰も『憑いて』来いなんて頼んでないけどな。

「これでも一応『神霊の森』の主での、半月程度なら問題ないが長期間は空けられん」

 え?、初耳なんだけど、主って精霊なのに?


「十年の付き合いになるけど。基本的には謎だらけだよなお前は」

「まぁ、良い女子おなごには謎が多いいものじゃ」

「女子って今何歳だよ?生物なら化石になる位だろ?」

「おい、何か言ったかクソガキ?」

「い、いや若さの秘訣は何ですか?と」

「決まっておる、極上の魔力じゃ♪」


 たっぷり搾り取られました。


 


 そして、旅立ちの日を迎え、家族が総出で見送ってくれた。

 

 祖父は「少し早いが」と言いながらも、免許皆伝代わりの刀を渡してくれた。

 

 父は赤い目で「私は何の心配もしていないぞ」と強がり。

 

 母は優しく抱きしめ「体には気を付けて」と心配してくれ。

 

 兄は「お前の活躍を楽しみにしているよ」と微笑み。

 

 姉は「手紙書くのよ。変な物食べちゃだめよ。女は魔物よ」と訳の分からないことを言って。

 

 妹は俯いたまま、ただ俺の服の裾を掴んでいた。

 

 エアルは「たまには遊びに行っても良いぞ」と偉ぶる。

 なんで家族の列に並んでるのお前?



 家族に見送られ出発してから11日

 俺はようやく目的地である、ミスラ王国のフェルディールに着いた。


「でけぇ~」

 見上げるばかりの、門の大きさに圧倒された。

 

 何が通るためにこの大きさが必要になるのか、どんな設計思想から作られているのか、やはりこの世界でも「無意味な物ほど作り甲斐が有る」の法則が成り立つのだろうか?


 そんなことを思いながら、事務局を探し手続きを済ませる。


「はい、寮はここを真っ直ぐ行ったら右に見えるから。部屋は第4棟の307号室だよ」


 書類、学院内の地図、部屋の鍵を受け取り寮へと向かう。


 

「ここか?しかし、どんだけ広いんだ?」

 しばらく、飽きるほど歩いた後、俺は第4寮棟の307号室、俺の部屋に辿りついた。


 ドアの鍵を開け、新たな生活の第一歩を踏み出す。

(ここから始まる彼の新しい生活。彼を待っているものはいったい何だろう?)

 心中でナレーションを勝手に付ける俺の目に飛び込んできたのは


 『着替え中の女性』だった


 「え?」

 「っな!?」

 「え~と?」

 「いっ」

 「い?」

 「イヤァァァー!!」


 ボス!!

 突然飛んできた何かを顔面に受け倒れる。

 見知らぬ天井を見上げながら、呟く。


「青か」

突然旅立ちました


この学院がしばらくはメインです


謎な15年は後でご都合主義に活用します

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― 新着の感想 ―
[一言] たっぷり搾り取られました。  ふふふ 、、、、男の本懐じゃ!
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