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あひるとこいぬ

作者: 雪王子

 けんちゃんのお父さんは、アヒルと仔犬を飼っています。アヒルさんは身体が白い羽根で覆われています。足とくちばしが黄色い色です。仔犬はトイプードルで黒い色です。

「お前はどうしてそんなに汚い色なんだ」

とアヒルが言いました。

「汚くないよ」

仔犬はいい返しました。

「クロは汚いさ、汚れた色だよ」

「白いアヒルなんてすぐに汚れが目立つんだよ。クロならさ、どんなに遊んだって汚れなんか見えないさ」

「クロは嫌だな、カラスが嫌われ者だろう。人間は黒い色は嫌うんだよ」

「そんなことはないさ。僕はいつだって可愛がられているよ」

「嘘だろう。この間はうんちをして叱られていただろう」

「見ていたのか。散歩に連れて行ってくれないからわざとしたんだ」

「そうか。わたしはいつも小屋のなかで、散歩もつれていってもらえないな」

「君は歩くの下手だから無理だよ」

「ゆっくりなら歩けるよ。今度連れて行ってくれたら、悪口言わないからさ」

「ホントだね」

「ホントだよ」


 有る日仔犬はそっと家から抜け出し、アヒルの柵を壊しました。

「さぁ、散歩に行こう」

アヒルさんはヨチヨチ腰をフリフリ楽しそうに歩きだしました。

すると猫が出てきてアヒルさんに喧嘩を仕掛けてきました。

仔犬が『ワン』と吠えると猫は慌てて逃げました。

 少し歩くと、小さな川がありました。

「わーい。泳ごうよ」

アヒルが仔犬に言いました。

仔犬とアヒルは川に飛び込みました。

「向こうの岸まで競争だ」

アヒルが言いました。

もちろんアヒルさんが早く岸に着くはずなのですが、仔犬が岸で待っていたのです。

「アヒルさん遅いよ」

「どうしてそんなに早いんだ。おかしいな」

アヒルさんは長い首を傾けて考えてしまいました。

アヒルさんが川をよく見ると川には氷が張っていた所があったのです。

「ずるいなー氷の上を走るなんて」


少しすると雪が降って来ました。

仔犬は大喜びで走り始めました。

アヒルさんはいいことを思いつきました。

「仔犬君かくれんぼをしようよ」

「いいよ」

「じゃぁわたしが先に隠れるよ。この公園のなかだけだよ。10分して見つけられなければ交代だよ」

アヒルさんは公園に積もった雪のなかに足とくちばしを隠しました。

鬼になった仔犬はアヒルさんを見つけ始めましたが見つかりません。

得意の嗅覚も雪で使えません。

何処も真っ白なのです。

とうとう10分経ってしまいました。

{今度はわたしが鬼だから、仔犬君隠れてね」

仔犬は困ってしまいました。

隠れる所がないのです。白い雪のなかでは黒い色では直ぐに見つかってしまいます。

「ぼくの負けだよ」

「これで勝ち負けなしになったね」


アヒルさんと仔犬君は楽しく遊んでおうちに帰りました。

でもけんちゃんのお父さんに叱られました。

「方々捜したぞ」

「卵をたくさん産みますから許して下さい」

アヒルさんが言いました。

仔犬はアヒルさんを羨ましく思いました。

「ぼくは何にも出来ないけれど、お利口になりますから許して下さい」

けんちゃんのお父さんは仔犬の頭を撫でてくれました。

けんちゃんのお母さんが、アヒルさんの卵でつくったケーキを、けんちゃんに

「おやつよー」

と渡していました。けんちゃんはケーキが大好きなのです。

雪が沢山積もっていたけれど、あたたかなけんちゃんのお家です。



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