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番外編 中学時代のひなた小日向と、腐れ縁

4月20日(水)、17度、曇り


今日は学校に行きませんでした。学校なんて行きたくないです。特にする事も無かったので、某モンスターで戦うゲームをしました。レベル20一匹で道具を使用せずに四天王とチャンピオンを倒せました。驚きました。


4月21日(木)、17度、晴れ


今日はお母様に家から叩き出された為渋々学校に行きました。そして超怖い人に目を付けられました。もう学校行きたくない……。


「あ、おはようひなた。昨日大丈夫だった?」

優しく声を掛けてくれたのはクラスで比較的仲の良い奥田さん(なっちゃんと呼んでいる)。

「う、うん。某モンスターで戦うゲームで偉業を成し遂げたよ」

「昨日一体何が……!?」

「おはよ、ひなたちゃん」

こちらは伊沢直美さん。嫌いでもなければそこまで仲良くもない、まあ普通のクラスメイトとかいう関係です。

「おはようございます、伊沢さ……」

教室に入った瞬間、ドアの付近で誰かにぶつかった。

「っ、痛ってぇなぁ!」

「わ、すみません……」

「ざけんなよ!どこ見てんだよお前!」

ぶつかってしまったのは私が学年で一番関わりたくない、黒真日向くん。ヤンキー。

「ご、ごめんなさい……」

「まあまあ日向、ひなたちゃんも謝ってるし許してあげよ?」

「ったく……これだから俺は鈍くさいダサ子は嫌いなんだよ」

「だっ……」

ダサ子と言われた。それ自体は事実なので言い返せないし言い返したくもないけど、やっぱり面と向かって言われると傷つく。

「ひなた、大丈夫?」

「ねぇなっちゃん……」

「ん?」

「私、変わる!」

「うぇ、どうしたのいきなり!?」

「変わって、あいつを見返す!」

「ひ、ひなた……?」


4月10日、(月)、20度、晴れ


8日が土曜日だったので、10日に入学式と始業式が行われた。

あのあと私は、結局学校に一度も行かなかった。でも今年は中学三年生、行かないわけにはいかない。

それに私はきっと、別人のようになっているに違いない(性格は変わってないと思うけど)。

さあ、学校に行こう。


「おはよー……あ、ねぇねぇ直美ちゃん」

「おはよう、なっちゃん。どうしたの?」

「あのさ、あんな可愛い子、うちの中学にいたっけ?同クラなんだけど……」

「えっ、誰だろ。分かんない……声、掛けてみる?」

「いや、健康観察で分かるからいいよ」

「そうだね……」

ふっ、噂してる噂してる。本当に、別人じゃないのか!?ってくらい激変したからね。

始業式が終わり、それぞれのクラスへと移動する。今回の担任は去年と同じだった、残念。

担任が健康観察を始める。

「伊沢」

「はーい」

どんどん進む。欠席者は、見る限りいないようだ。

「黒真」

「うぃ」

げ、今年も一緒のクラスか。確かこれで3年間一緒のような気が……。

更に進んでいく。ま行は近い。

「間宮」

「はい」

「向坂」

「はい」

堂々と返事をする。先生の目は店になっている。みんなの視線が集まる。みんな、誰こいつ本当に向坂か、みたいな顔をしている。

「む、向坂……だよな?」

「はい。……なにか、おかしいですか?」

「あ、いや、雰囲気変わったな、なんか。まぁいい、続けるぞ。森山」

しかし先生が続けようとしても、生徒のザワザワはおさまらない。それに、一番私を凝視しているのは黒真日向。こちらもやはり目が点になっている。すると彼は何を思ったのか紙を取り出し、何か書いて後ろの人に渡した。バケツリレーのように渡し続け、私に回ってきた。

「黒真から」

そう言われて紙を開く。

『昼休み、屋上に来い』

ヤンキーは人使いが荒い。でも、ギャフンと言わせたかったのでちょうどいい。


昼休みになった。屋上に行くと、黒真日向は手すりに腰掛けていた。前までの黒真日向を嫌っている私なら、突き落としたろか、と思っていたところだ。

黒真はこちらに気付くと、早歩きで寄ってきた。今までは大体下を向いて喋っていたので気付かなかったが、黒真は案外小さい。クラスの女子の後ろから二番目の私とあまり変わらない身長だ。

「おい、向坂」

「はい」

「なんだ、それ」

「何って」

「どうしていきなり変わったか聞いてるんだ」

「いきなりじゃないよ。学校来てなかっただけで、半年前くらいからこんな感じだよ」

「どうしてだ」

理由を教える義理があるのか、と言いそうになってとどまる。私は前までの私とは違うのだ。

「一年前、黒真くんとぶつかった時、ダサ子って言ったでしょ?だからだよ」

「お前、あの時のまだ根に持ってたのか?」

「別に。変わるきっかけにしただけ」

「でも、いいんじゃないか?それで可愛くなれたなら」

私から目を逸らし。横を見る黒真。

「は……はぁ?」

「だ、だからっ!前とは違って、可愛いなって言ってんだよ!」

「あ、褒めてるの?」

プシューと音を立てそうな勢いで真っ赤になる黒真。ヤンキーにもこんな一面あったんだな。

「でも、ヤンキーは釣り合わないよな……」

「ん?なんか言った?」

「あ……あのさ。俺、ヤンキー関係から一切足洗うから、俺と友達になってくれない?」

「友達?」

意外だった。多分驚かれ罵られるだろうなーとか黒真のイメージから勝手に予想していたから(なんか黒真には悪いけど)。

「あ、あぁ。俺、仲間はいるけど友達とかいないからさ……駄目?」

「別に……いいけど?」

「まじ!?よっしゃ、よろしくな……って、なんて呼んだらいい?名前同じなんだよな」

知ってたんだ、意外だな。

「なんとでもどうぞ」

「じゃあ……小日向!俺が日向で、ひなたが小日向ってどう?ひなたの方が小さいし」

「あんまり変わらないじゃん。まあいっか。じゃよろしくね、日向。私先生に呼ばれてるから、それじゃ」


こうして、私と日向の腐れ縁は始まったのであった。


「あんた高校どこ受けんの?」

「んー高校?駒高」

「また一緒!?この前点数も偏差値も一緒だったわよね!?」


「あ、あった!……で、一応聞くけど日向、あった?」

「もっちろん!小日向……ひなたが受かってれば俺も受かるっしょ」

「どういう意味だし!?ってか、なんで二人の時名前呼びなの?」

「えー?だって、区別する必要ないじゃん」

「まいっか。それじゃ帰るからね」

「待って~!」


「クラスは……A組、と」

「わ、俺もA組だ」

「また一緒!?」

「へへっ、本当に腐れ縁だろこれ」


「日向、もう入部届け出した?」

「もちろん」

「どこにした?」

「歌好き同好会」

「一緒じゃん!!!!」

こんな人いたらいいなぁ。

てか、日向って、きっと見た目が変わんなくても小日向に声掛けて友達になったんだと思いますw

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