第8話〜電波少女・小柳美穂。爆裂〜
何でか小説を書いているときにTMRがコンポから流れてたりします。
滅茶苦茶どうでもいいことですが…。それでは、今回も皆さんの暇つぶしになりますよう…。
「にゃっ、ふふっふふ〜ん♪」
リフトで俺の隣にいる彼女は足をブランブランさせてリフトを揺らす。
「おいっ、ちょっ、落ちるかもしれないから止めとけって」
「ありゃ?聖大って意外とビビリ?」
彼女は見当違いな言葉を俺にぶつける。確かに、心臓はでかいほうじゃないが…。
「まぁ、んなこたぁいいんだ。それよりさ、小柳はスキー上手いのか?」
「ん〜、まぁ、苦手じゃないけど…。上手くもないかな?つーかさ、美穂って呼んでよ〜。恋人同士なんだからさっ♪」
恋人同士って誰が決めた、誰が。俺は心の中でそう口にした。でも、下手じゃないなら何で俺に突っ込んだんだろ…。ま、ただの交通事故みたいなもんか。
「そういえば、学校はどうしたんだ?今日平日だぞ?」
「え?あ、う…そ、創立記念日だよ?いいじゃん、別に」
「まぁ、確かにどうでもいいことかもな。でも、もしサボりだとしたらさ…」
「サボりなんかじゃない!」
小柳は怒声で俺の言葉に即座に反論した。いつものニコニコした可愛らしい笑みはそこにはない。
「サボりなんかじゃないもん…。サボってなんか、ないんだから…」
怒ったかと思えば、急に泣きそうな顔になる。そんなに言ったらいけないことだったのかな…。とりあえず、謝っておくか。
「…。ごめん、変な勘ぐりしすぎたな」
「いいよ、別に。さっき、答えるのにどもったボクが悪いんだから…」
小柳はぷいっとそっぽを向いてしまった。少し罪悪感に駆られる。沈黙が少し続いたかと思ったら…
「ボクをいやな気分にさせた分、償ってもらうからね!」
イキナリ小柳が大きな声を張り上げる。
「覚悟しておいてね!もう、色んなことしてやるんだから!」
ビシッ!小柳は指を一本俺のほうへ向け、へへん、と笑ってみせる。これは、許してもらえたのだろうか…。
「あ、ほら。もう、上りきったみたいだよ?聖大、降りよ♪」
「あ、あぁ…そうだな」
イキナリの会心の笑みに俺は少し戸惑う。
シャーッ、小柳は線を引くようにリフトから降りる。んで、俺はというと…。
ガツンッ!出遅れてリフトで頭をぶつける。小柳を含む近くにいる人たち皆がくすくすと笑う。すごく恥ずかしい。リフトは止めてしまうし…。
「ほぉら、聖大は鈍いんだから〜。んじゃ、ボクがスキー教えてあげるね♪」
「あぁ、頼む」
俺専属のインストラクター、小柳美穂は確かに上手くもなく下手でもない、まさに普通の腕前だった。それでも教え方は比較的上手かったのか、俺は2時間ほどで形になってきた。
「そうそう、そんな感じそんな感じ〜♪」
と、上達を肌で感じながら気持ちよく滑っていると…。
気がつけば周りの客が少なくなっていた。マズイ、もし、班員とは別に滑っていたことがばれたら…素で殺されるかもしれない。
そう思い、一気に下山する。
「なぁ、小柳。俺、旅館に戻らないといけないから。ここいらでさよならだ」
「にゅ?あ、ま、いっか。わかったよ。それじゃあね」
少し複雑そうな顔をして、彼女は別れの言葉を口にする。
「あ、あとさ…」
「ん?なぁに?」
少し、恥ずかしくて言うかどうか戸惑ったが、言うことにした。
「今日は…その、ありがとな」
自分でも顔が赤くなったのが分かる。苦し紛れの微笑とともに。
「うん、こちらこそ。それじゃね♪」
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旅館に戻ると、俺の班の班員3名と藤本たちが旅館の前に立っていた。
「お前なぁ、時間くらいはちゃんと守れよな…」
松永が呆れたように頭をかきながら俺に言う。
「だな。岡部さんが声色変えて代役してくれなかったら俺ら全員あの世行きだったぞ」
川口が松永に賛同する。何か、とんでもない単語が聞こえた気もするが、あえて突っ込まないでおこう。
「ま、早よ着替えて来いや。部屋で待っとっから」
「誰か一人お供させたほうが良いと思うぞ。見張りを」
川口の提案、確かに。その通りだ。もし、着替えてる最中に見つかりでもしたら今までの苦労が台無しどころか、事態の悪化を招く結果になりかねない。
「それじゃ、私が行くよ」
藤本が率先して、一歩前に出る。
「他校生だったらそっちの先生たちに見つかっても何も言われないでしょ?」
「ん、ごもっとも。それじゃ、優ちゃん、お供で行って来て。皆、俺らん部屋に集まってっから優ちゃんも来いよな〜」
「う〜ん、わかったよ〜」
藤本は久保たちがロビーに消えていくのを見送って
「…それじゃ、行こっか」
そう口にする。まぁ、当然異論はないワケで、そうだな、と相槌を打って倉庫へ向かう。
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それからは何事もなかったように、時間が過ぎ、風呂から上がって部屋に戻ってきたときにあることが起きた。
ガチャリ
ジュース片手にだべりながらドアのノブを回し、部屋に入る。ふと、前を見ると、信じられない光景があった。
「どうも、お帰りなさいませ」
正座をした小さい子が俺たちが入ってくる途端に頭を下げる。
部屋を間違えたかと思い、俺たちは一斉に部屋に書いてある名前を見る。そこには
『久保貴洋・川口明彦・松永大輔・田中聖大』
しっかり4人の名前が書かれていた。
小さい子は顔を上げ、そこで始めて誰か判った。小柳だ、小柳美穂。
「ご飯になさいます?お風呂になさいます?」
「いや、両方とも済んだから。ってか、ここで何してんだ、お前」
冷静に突っ込みを入れる、が、当の本人は聞いちゃいないようだ。
「それとも、ボクになさいます?」
がし
冷静に小柳の服の襟の辺りをつかみ、外に放り出す。
「ちなみに、ボクのお勧めは3番目…。って、ちょっと、聖大!何外に出してんの?ねぇ、ねぇってば!」
がちゃり
彼女が何か言ってる最中に、内側からドアの鍵を閉める。
「スキーしてる最中もあんな感じだったのか?」
川口が心配そうな目で、俺を見る。俺は無言でこくりと頷く。
「そいつは大変やったな。でも、ま、かわえぇんと違うか?ああいうんも」
「ありゃ、恋愛対象の可愛いって言うより妹とかの可愛いだわな」
俺が久保の感想に付け加えると…
「妹だって恋愛対象だぞ!」
松永が力説する。俺たちの時が少し止まった。
「・・・。あぁ、そうか」
川口が比較的冷静に対処しようと言葉を探している隣で
「シスコンやー!松永シスコンやってん!」
「ちょっと、中で騒いでないでボクも入れてよー!」
内側は内側でギャーギャー、外側は外側でギャーギャー、収拾もつかないのでとりあえず、小柳を部屋の中に入れる。
「それで、家に帰らなくて良いのか?」
「ん?何言ってるの?ここ、ボクの家だよ?ボク率いる小柳家の家、且つ旅館。だから、ボクがここにいても何の不思議もないの。わかった?に、しても水臭いなぁ〜、ここに泊まってるならそう言ってくれればよかったのに。それでさ、聖大」
「あ、あぁ、わかった。それで、何だ?」
正直心臓が飛び出るくらい驚いているが、あえて平静を保つように努める。
「一緒に寝よ♪」
「・・・」
ドサッ
「おい、セーダイ死ぬなって!」
このとき、俺は本日何度目かの臨死体験をした。
如何でしたか?それでは次回『第9話〜遠い遠い夢の中で〜』も、貴方様の時間の都合の許す限り、お願いいたします。と、いいますか、前書きいらないなぁ…w