第6話〜ノンストップ電波スキーヤー・小柳美穂。登場〜
いい加減、この題名嫌になってきましたw
いや、なんかしっくりこないというか…。大体元々考えていた題名と同名の小説があったからかなりビビッて必死こいて変えたんですよね…。
どうでもいいことです。それでは、今回も貴方様のいい暇つぶしになるように…。
「「ごちそーさまでしたっ!」」
学校混合、男女混合、総勢約800名が一斉に同じ言葉を言う。この古い旅館は少し揺れたような気がする…。
ガタガタッ、皆、バラバラのタイミングで立ち上がり、それぞれ食後の私語を楽しむ。
「おら!上之保学園生徒!喋ってないでさっさとスキー靴とってこい!」
俺たちの学年主任が声を上げ、俺たちは別に反論もなく素直にその命令に従う。
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8時50分。ホテル・希望閣前にて。
学年主任の桐坂は集合した俺たちをを見回す。
「よ〜し、みんな集まったな」
「それじゃあ、説明します。まず、A組の行動班…」
説明が長い。手元の時計でかれこれ40分話してるぞ。あぁ、もう、大概面倒くさいな。
「では、私の後をついてきてください」
ふぅ、やっとで終わったか。
と、安心した俺が馬鹿だった。スキー場についたら、ついたでスキー学校の開校式とかをして、更に20分消費。何だってこんなに一人喋りが好きなんだ、こいつらは。
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スキーを始めて3時間後…。事件は起こった。
「あぁ、ボーゲンとかな〜。なんかオカマみたいだよな〜、この内股具合」
松永が気だるそうに久保に話しかけてくる。松永はスキー経験者らしく、もう、直滑降やらなにやらも楽勝だって話だ。
「まぁ、仕方ないんやないんか?したことない奴んほうが多いんやし」
久保もスキーしたことがないっていってたから、正直話しかけられるとバランス崩しそうで困ってるっぽいけど、シカトするわけにも行かないから相手をしてやるってとこか。
「ぬあっ!」
ついつい奇声。もうこの3時間で奇声は言い慣れた。
俺は基本的にスポーツは何でも並一通り出来るはずなのに、スキーは苦手のようで、滑ってもいないのにこけたりする。
「くそ〜、誰だよ。スキーなんて考えた奴」
パンパンと雪を払いながら、愚痴をこぼす。俺にこんな弱点があったとは…。
「はうぁっ!」
スキー板を斜面と垂直にしていて普通はこけるはずはないのだが、俺は普通じゃないんでこける。
「ぐぁ、ケツ打った。今の。痛くはないんだけど、めっちゃ恥ずかしい〜」
俺は苦笑して、そんなことをいいながら起き上がろうとしていると…上から声が聞こえた。
「ちょっと、何やってんのー!?どいてどいてー!」
その声は、俺たちに向けられた、というか俺に向けられたものだということを理解したのは俺が雪面に尻餅をついたまま、みんなが俺の視界からフレームアウトしていったときだった…つまり、完全に手遅れ。
グシャッ
ちょっと耳元で、雪に何かが埋もれた音がする。
何があったかちょっと理解できないので、整理してみることにする。
俺が尻餅をついて、その後に上から声がして…んで、ごきりって首の音を聞いたと同時に久保たちは視界から消滅。つまり、俺は上から降ってきた何かに押し流されてここにいると考えるのが妥当か?
「お〜い、セーダイ〜。大丈夫か〜?」
いまいち状況を把握できていない俺たちの班(インストラクターさん含む)はとりあえず俺が撃沈しているところまで下る。
「いたたたた…」
そこには、一般客がまぎれていた。あぁ、こいつが俺をここまで引きずったのか…。
「まったく、ニーちゃんのせいでボクがこけてしまったじゃないか!どうしてくれるんだ、ニーちゃん!」
えーと、この一般客は俺に怒っているのだろうか。ゴーグルをしていて、視線がわからない。
この声で唯一わかったのは、この一般客は女性…というより女の子だということ。
「って、おい。ニーちゃん。どうしたの?お〜い」
パフンパフン
手袋をはめた手で俺の頬をペチペチと叩く。が、俺からの反応はない。もう、反応する気力も残ってねぇよ。つーか、意識がほとんどない。もうすぐ…飛ぶ。
「「・・・」」
皆、一瞬の沈黙。その沈黙を破ったのは、一般客の彼女の笑い声。
「えへ☆」
久保たちにわかるように、顔ごとこっちを向き、舌を出す。やっちゃった、ってな表情で。この顔で久保たちの硬直は解けた。
「ちょっと!セーダイ!死ぬな!自分、まだ彼女も居らん童貞やろが!そんなままで死んでえぇんか!」
「死ぬな!お前が死んだらウチのフォワードは誰がやるんだ!」
「お前が死んだら、俺たちの試合のときに来る女性観客の数が若干数減ってしまう、さぁ、起きるんだ!」
俺の上に馬乗りになった女の子を強引にどかし、ゆさゆさと俺を揺さぶる。はーい、僕様ちゃんは、ただいま反応できない状況でーす。
インストラクターさんはぽかんと口を開け、こんなの始めてっすよ。ってな顔をする。
「と、とりあえず医務室に連れて行きましょうか」
インストラクターさんは俺を担ぐと、そのまま直滑降していった。
「…。お、俺たちも行くぞ。つーか、セーダイの体重何キロやった?」
「…。確か、83キロ」
なんか、すごい光景を見た気もするが、気にしないことにするか。彼らは目でそう言い合った。暗黙の了解。
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「あちゃー、完全にノビてますね。こりゃあ」
昨日はバスガイド、今日は看護師な彼女。ナース服の上に白衣を着るという、ある意味一度で二度おいしいファッションの高見さんは半死半生の俺を診断してこういう。
「んで、こいつ。大丈夫なんすか?」
「うん、大丈夫大丈夫。ちょっと気を失ってるだけ。でも、今日のスキーはちょっと無理かな」
久保の問いに彼女はにっこりと答える。この場にいた皆が一気にはぁ、と安堵のため息をつく。
「良かったぁ。怪我しちゃったらどうしようかと思ったよ」
近くで高見さんとは別の女の子の声がする。
「「「…。誰だ?」」」
久保・川口・松永の三人は口をそろえて問う。
「えーと、この人と衝突しちゃった小柳 美穂です。え、えへ☆」
彼女は久保たちから白い目を向けられる。いや、まぁ、当然だろう。人を撥ねておいて(ちょっとニュアンスは違うがそんなもんだろう)、謝罪なしでえへ☆なんてふざけてるとしか思えない。
そんな彼女を歩く熱血を自称、そして他称される川口が黙っていなかった。
「てめぇ!この期に及んで何が…」
ずいっと、彼女に向かって身を乗り出そうとした彼を制止する腕が一本。
「馬鹿、止めろって。か弱い女の子に手を出すのは良くないぞ」
くいっ、と川口の肩をこちら側へと引き寄せる。
「セーダイ!お前、生き返ったのか!?」
「いやいや、もともと死んだ覚えないですから。つーかな、お前。俺はどこも怪我してないんだから、そんなガナリ散らさんでもいいだろ。それに、彼女は俺の怪我を心配してついてきてくれたらしいし、悪い奴じゃないだろ」
俺はそういって、落ち着けよ。と、ポンッと手を置く。
「…。わっーたよ。ホントにどうともないんだな?」
川口は肩に置かれた手を払い、小柳と言った少女向かって舌打ちする。
「まぁ、そう怒んなよ…。んで、小柳…さんやっけか?わざわざこんなとこまで、すまんなぁ。もー帰ってもろてえぇで」
久保がそういって、彼女を見ると。彼女は頬を真っ赤にしていた。
「…ぃい…」
「んぁ?」
彼女の呟きが上手く聞こえず、久保は彼女に聞き返した。
「カッコいい!!」
はぁ?という感想しか俺たちは抱けなかった。いきなり何を言い出すんだこの娘は。
何を思ったか小柳はいきなりベットに向かって走り、ダイブする。ちょうど俺に馬乗りになった感じ。
「ねぇ、ニーちゃんさ、名前何?何?」
「…田中聖大っすけど?どうかしましたか?」
俺は思わず言われるままに自分の名前を名乗った。
「ふぅ〜ん、じゃあさ、じゃあさ、聖大!ボクとケッコンしよ!」
「へぇ…。って、はぁ?」
「「はぁあああぁっ!?」」
俺だけじゃなく、周りもこの唐突さに驚きを隠せなかった。何だ、こいつは…。いきなりそんな…。
「ねぇねぇ、いいでしょ?いいでしょ〜?」
ゆさゆさとベット後と俺の体を揺する。もう一回、意識を失いたい気分になった。
前書きが長ぇ!YES!!
如何でしたか?第6話。実際、出す必要があったのかわからないキャラクタの登場で話はどんどんあさっての方向に…。次回『第七話〜今回のご注文はどの娘?〜』も、貴方様の時間の都合が許す限りご贔屓に…ご贔屓にぃ!!(必死