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男子校を恋愛で  作者: It
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第5話〜【人を蹴るときは】大切なモノとの出会いは唐突に【場所を確かめてから】〜

えーと、前回の次回予告で嘘つきました。サブタイトルの文字数が足りないというミスを…。申し訳ありません。

今回は唐突に夢による過去話です。それでは、お楽しみいただけたら幸いです。

この薄ぼんやりとした暗さ、夢だろうな。俺の直感がそう告げる。でも、リアルにアノ頃を辿っている。夢を見ているというより、俺自身の過去ログ・アーカイヴ的なものをを見ている感じがする。

大きい。何もかもが。いや、違う。俺が小さい。手も今みたいに大きくなければ、筋肉もほとんどない。夢のほうがいつもの俺より視点が低い。つまり、コレは俺が過去を昔の俺を通してみているのか。

懐かしいな、この扉。扉を開けようと手をかけた瞬間、少女たちの話し声がする。コッソリとドアを開け、中をのぞき見てみる。放課後らしく、幸いにも周りに人は少ない。と、いうか、いない。

しゃべり声の中から、聞き覚えのあるワードが入ってきた。

「ねぇ、藤っ子は何のクラブに入るの〜?」

アレは、岡部か。この頃から人の悪そうな顔してやがる。今入ったら何かされるだろうな。私たちは重要な話してんの。田中はどっかいってろ。とか言われて攻撃されて追い出される俺が容易に想像できる。

「うぅ〜ん、やっぱりバスケットクラブかな?」

「あはぁ、藤っ子ぁ背ぇ高いもんね」

「あはは、まぁ、それだけじゃないんだけど…」

藤っ子、すなわち藤本は頬を照れくさそうに数回掻きつつ、岡部の言葉を少し否定する。

「ん?どうしたの?なんか他にも理由が?好きな人がバスケクラブにいるとか?」

ドキッとした。もし、岡部の問いに藤本がYESと答えたら、俺の初恋はこんな簡単に終わってしまう。当時の俺はまだ、何もクラブに入っておらず、ただボーッと家でゲームしたりして過ごしていただけだったから。

開けろ、ドアを。俺は小さい俺に指令する。いやだ、この先は聞きたくない。ドアを開けてうやむやにしてしまえ。お願いだから、開けてくれ、俺。

でも、俺の願いは叶わなかった。小さい俺がドアを開けるより早く、彼女は答えた。

「うん。そ、そゆことかな…」

なんとなく、放課後に自分の教室をのぞき見ただけで俺の初恋は終わってしまった。胸の奥から哀しみがこみ上げてくる。つつーっと頬を伝う熱い雫。口からは自然と嗚咽が漏れる。

と、そこへ追い討ち。

「私よりいっこ上のね、上坂って言う人なんだけど…」

もう、それ以上聞きたくなかった。彼女の言葉によって、俺の初恋が破壊されていくのを。そう思い、泣きっ面をがしがし不器用に拭い、鼻を真っ赤にしながら俺は走った。

玄関について、気づく。そういえば、ランドセルを教室に置いたままだった。どうやってとりに行こうか…。

そう思いながら、教室にとりあえず立ち寄る。今は泣き止んでいるし、岡部に突っ込まれても気のせいだといえば押し通せないこともない。

教室の前に立つ。彼女たちはまだアノ話をしていた。

「んじゃさ、今クラブやってるだろうし、見学に行く?」

「いや、いいよぉ。見学なんて、バスケクラブの人たちに邪魔だろうし…」

そんな話をしながら彼女らはドア越しに俺のほうへと向かってくる。

ガラッ

彼女たちはランドセルを背負ってそのまま体育館へといってしまった。くるりと身を反転して壁に体をはりつけた俺には目もくれず。

好都合だ。勝手に教室は空いてくれた。ランドセルを背負って、俺はさっさと帰るか、と思ったけど…。少しに気になることがある。

足は自然と体育館へと向かっていった。別に彼女たちの跡を尾行ているわけじゃない。ただ、気になることがあるから。そう、上坂ってのはどんな奴なのかこの目で確かめておきたかった。

顔も知らない人間に負けるのはごめんだ、と思ったから。

体育館に入ると、そこは異空間だった。今までの生温い生活観から一転。ここは戦場だ。

エイ、オウ、エイ、オウの掛け声が体育館中にこだまし、クラブ生たちは汗びっしょりになりながら、サーキットトレーニングを繰り返し繰り返し行っている。

「おらぁ!そんな体力で試合もつと思ってんのか!あと5本追加!」

サングラスをかけたコーチには見覚えがあった。俺のクラスの担任の吉田だ。普段の柔和な表情からは想像もつかないほどの怒声に、俺はビビって一歩退いた。と、その瞬間

どっ、と背中に衝撃。と、同時に音声。

「あれぇ?田中じゃん。こんなとこで何やってんの?」

岡部が俺に気づいた、今のはその挨拶代わりか。多分。やっぱりこいつはどんな場所、どんな状況でもこいつだ。

「セ、セーダイ君もバスケの練習見にきたの?」

「ん、まぁ…な。ゆ…藤本もか?それとも魔女の付き添い?」

そういえば、彼女を異性として見始めた頃にはもう、恥ずかしくてあだ名では呼べなかったんだ。

彼女も流石に小4にもなって、そんなことは恥ずかしいのだろう。無理やりにでも直そうとしていたのがわかった。

でも再会してからは、普通にお互い小さい頃のあだ名で呼び合った。お互い小さい頃のくせが結局直ってないってことかな。

「うん、ちょっとね。入部しようかな〜なんて思っちゃったりするんだけど…」

この頃、俺たちは繋がりなんかほとんどなかった。ただ、幼稚園の頃からの幼馴染で、お互いの親が仲良かったことくらいしか。話す機会もほとんどなかったし。

「そっか、実は俺もなんだ」

俺は自分でも予想していないことを口にした。

「無理無理、根性なしの田中にはこーゆうのは向いてないって…」

岡部が正論を言う。確かに。俺も一週間で辞める自信がある。

「そんなことないよ、やってみなくちゃわからn亜wせdrftgyふじこlp;@」

藤本の言葉の途中で画面は砂嵐へと変わっていく。彼女の言葉と入れ違いに、別の声が聞こえる。俺を現世へと戻す低い声。

「ほら見ろセーダイ!素晴らしい朝だぞ!雪が綺麗だ!女も綺麗だ!だが、俺らの精神は非常に醜い!さぁ、起きろ!肉欲獣・セーダイ!」

そんなわけのわからん呪文を間近で唱えられ、その呪文の詠唱者に何故か無性に腹が立った俺はそいつの、川口の腹を蹴った。はずだったが、感触が違う。

川口はその場に崩れ落ちたから、はずしたわけじゃなさそうだが…。

「朝っぱらから元気だな、セーダイ。君に教えることは何もない。さぁ、朝飯へと俺も連れて行くがいい。君の一撃は綺麗に漢のロマンに直撃したぞ」

あぁ、なるほど。そういうことか。

「まぁ、つまり。久保も松永も、もう、とっくに宴会場に行ってしまったぞ。ということだ」

股間を押さえ、芋虫みたいな動きをしながら、彼はそう伝える。

「そっか。んじゃな。俺、朝飯食ってくるわ。川口は芋虫ごっこやっててな」

けらけらと笑いながら俺は川口に手を振る。川口は心底あせった表情で、待てよ待てよと俺によりすがってきたので、彼をおんぶして宴会場に行くことにした。

なんか、最初からアブノーマルなせいでどことなく変な予感を感じる2日目の始まり。

如何でしたか?

と、いいますか、前書き・後書きをいちいち書くというのは「不要じゃねぇか?」と、自分でも思います。が、何となく、書いておかないとという…。次回『第6話〜ノンストップ電波スキーヤー・小柳美穂。登場〜』も、貴方様の時間の都合の許す限り、宜しくお願いします。…また文字数オーバーしてたらどうしよw

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