第13話〜大浴場にて大欲情っ!?補足編〜
あらすじ。女湯に覗きに行こうとしてる。
それでは、第13話をどうぞ。
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久保、川口、松永、そして俺の4人は一切の滞りもなく女湯に潜入した。そのことが問題すぎるような気もするが…まぁ、置いとくとしよう。
「しっかしまぁ…これで本当にばれないもんかねぇ?」
かぽーん。
松永が湯船に浸かって久保に問いかける。
「まぁ、昔っから木を隠すなら森の中って言うだろ?それの応用だ、応用」
かぽーん。
久保が問いに答える。応用?応用なのか?これは。
あ、そうそう。今の状況を伝えようか。
今、俺たちは湯船に浸かっている。女湯の。周りは勿論、女性。女体、フィーメェール!そんな中に男が4人入っているのに彼女たちは気にも留めない。
「かつら効果…か?それとも存在感なし?」
川口がぽっと口に出す、その台詞。かつら効果。決して、桂正和先生のエロエロ効果ではなく、そのままの意味で俺たちはかつらを被っている。長い長い、黒々した髪を。
その成り行きについて少し、フラッシュバックするとしよう。
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数分前
『今から、侵入を敢行する。しかし、その前に…だ』
久保がまたも隠す場所など何処にもないはずの股間から黒い物体を取り出す。
スルスルスルッ!
『何だこれは。凄く卑猥な臭いがするのだが』
『むぅ、それは激しく素晴らしく気のせいだ。安心しろ、ただのヅラだ、ヅラ』
そういって久保はかつらをパサっと被る。他の2人も。
『言ったな、男に二言はないぞ?』
『うむ、任せろ。そういうわけで今からこの俺が2日間かけて極秘で黙々とタイル張りをはがし素手で掘り続け、穴を開け開通させた男湯→女湯トンネルへと参るぞ』
『結局、素潜りじゃねぇ?ってか、えらく説明臭いな』
『でぇい、気にするな。お約束だ』
『安心しろ、俺の突っ込みもお約束にのっとってだ』
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そして、現在に至る。
「にしても、川口。お前、ヒゲ剃ってないのかよ。あごの」
川口の女装するのにナンセンスな部位を指摘する。
「これは俺のアイデンティティだからなぁ…。剃れって言われたところで剃れるもんじゃないからなぁ…」
いや、剃れるだろ。と言う突っ込みは心に留めておくとする。
「ま、そゆことで、だ。帰るか」
久保があっさりと言う。
「「「え?これだけ?」」」
それに俺ら三人揃って驚く。
「いや、だって。考えてみ?ここで見つかったら俺ら立派な犯罪者やぞ?まだバスケの大会はあるんに。そんなバカな真似できんやろ」
「・・・。今でも十分犯罪だけどな」
冷静に突っ込み。
「セーダイ、あのな。ばれなきゃ犯罪じゃないんや」
「それって結構人間として終わってる奴の発言だぞ」
気がつけば久保にあの中途半端な関西弁が戻っている。興奮が少し収まったようだ。
「じゃ、帰るか…」
俺たちがトンネルへと潜水しようとしたそのとき
ガラッ
戸が開く。
侵入者により、俺たちの動きは止まる。侵入者が何しろ…アレだったのだから。
そう、藤本・岡部班。そして、あろうことか、プラスアルファ。コードネーム・バス子。
「あーもー!藤っ子がのろのろしてるからもう皆入っちゃってるじゃないのさー!このバカ藤!」
パコーン…パコーン…パコーン…コーン…ーン…
風呂場に洗面器で藤本の頭をたたいた音がこだまする。いい音だ。まるで頭の中に何も入っていないみたいに。
「いったいなー!夜食選んでただけじゃないのっ!ほら、おかげでいっぱい買えたじゃん。バニラアイス・チョコアイス・抹茶アイス・チョコチップアイスに〜…」
「全部アイスだっつの!今冬だぜ?しかも、カップアイスなのになんでスプーン貰って来ないんだ…よっ!」
夜食とやらを語る藤本に岡部が絡む。
パッコーン!
さっきより一段と強い桶の音。
「いったぁ〜い!ぶぅ〜。いいですよいいですよぉ〜!アイス美味しいんだから!冬はコタツで食べるから季節とか関係ないもん!スプーンないならフタで食べるからいいもん!」
「あー、はいはい。そうですね。もういいわ。あんたと話してると疲れるから…」
「まぁ、どの季節でもアイスは美味しいですよね〜」
ぽややーんとした、和み系の声が間に入る。
「・・・。おい、来たぞ。メインが」
久保が声を潜める。
「魂魄ノ華 爛ト枯レ、杯ノ蜜ハ腐乱ト成熟ヲ謳イ例外ナク全テニ配給、嗚呼、是即無価値ニ候…………!!!!」
「落ち着け!落ち着くんだ松永!」
何か、死徒になりかけている約一名を川口が静止する。
「とりあえず、見るもん見たし。ばれないうちに逃げるぞ」
俺がある意味死にかけ(つーか、死んでもいいような心境?)の久保と松永を水中に引きずり込もうとすると…そのとき、ガチンコ覗きクラブのメンバーにとんでもない出来事がっ!
「欣求浄土ぉっ!!」
ザッパァーン!
怒声とともにすさまじいほどの水しぶき。えーと、何か色々と青少年の育成に良くないです。はい。
何故悪いか、その理由は岡部が俺たちの頭上を飛び越え、浴槽にダイビングしたからだ。まぁ、詳しくは言わない。上見てなかったし。上向いていた松永には見えたと思うが。
「功徳が足りないので無間に落ちてきます…」
「行くな!行っちゃ駄目だ!松永!貴様は御年17でこの世を去るには惜しすぎる!せめて高卒まではっ!」
川口が必死に止める。流石このグループの歯止め役。別名振り回され魔人。あ、それは俺もか。
「何で上を向いていなかったんだ俺はーっ!!」
久保がぶちギレ金剛。もとい、ぶち切れ。
「…あんた達、誰?いたっけ?あまり見ない顔だけどさ…。いや、見ない顔じゃないな…。見た顔だ。でも、ウチの学校にはいなかったよね?」
岡部が俺たちに気づき、鋭くいい場所をつく。
「アレ?あたしたちってそんなに存在感ないのかなぁ…。ほら、5組の武知よ。ほら」
「ふぅむ…?」
久保が脅威とも言うべき素晴らしい声色で岡部たちをだまそうと試みる。久保には妙な自信があるようだ。実際、声色は女性のそれとほとんど一緒だし。
「それじゃあ、あたしは風呂から上がるけど、三人ともどうするの?」
久保が俺たちに聞く。上がれるものなら上がってやりたいが、あれが…。うん。
「・・・」
そんなわけで、沈黙。下手に声出してばれると嫌だし。
「ちょっとぉー!おっちゃん何してるの〜?お風呂はちゃんと私の背中流してからだよぉ〜」
「あ?あぁ、すまんすまん。ちょっとやってみたかっただけだ。悪ィ、今あがるから」
ザパッ
彼女が風呂から上がる。俺たちに背を向ける。
「今や、お前らはさっさと来た場所から帰れ。俺は更衣室から逃げるから」
久保がヒソヒソ声で俺たちに指示を出す。
「「「おう」」」
俺たちも揃って反応。
ドプン
一斉に潜水を開始する。しかし、久保はどうするつもりなんだろうか。
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その後、何事もなかったかのように、久保と俺たちは部屋でおちあった。
「なぁ、久保。お前あのあとどうやって出たんだ?」
思い切って聞いてみる。
「俺はな、事前に色々準備する奴なんや。ああいう状況も岡部ちゃんの性格上ありうると踏んでいた」
「んで?」
川口が合いの手を加える。
「つまり、事前に5組のデ…恰幅のよろしいお方の名前、スリーサイズを調べておけば、ある程度はごまかせると踏んだ。顔は髪で隠せば何とかなるしな」
「まぁ、それはいいんだが。何をやったんだ?」
と、今度は松永が質問。
「わからんかなぁ、つまり、肉じゅばんっつーか何つーか、まぁ、とにかく偽造肉を用意し、それを体にはめただけだ」
「でも、侵入したときそんなの持ってなかっただろ?」
最後は俺が質問。
「いや、かつらと同じところに隠しとったぞ。お前らが見つけれなかっただけで」
「「「・・・」」」
一同、あいた口がふさがらない。もういいや、突っ込まないでおこう。
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その後藤本たちも含めてくだらない話をして、俺たちは眠りについた。
如何でしたか?
次回『第14話〜付き合ってる人たちを邪魔するのって結構面白い〜』も、どうか貴方様の時間の都合の許す限り…。