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男子校を恋愛で  作者: It
12/23

第12話〜大浴場にて大欲情っ!!?〜

あらすじ。主人公に彼女が出来た。

ま、そういうわけで、今回もどうぞ。

「たっだいまー!」

岡部たち、藤本の友人班がお岩さんの男バージョンが三人ほど引き連れて帰ってきた。

「ただいまっつってもお前の部屋じゃないけどな。それはいいとして、後ろのスプラッターホラーな面々は何だ」

「おい貴様。身を挺してお前を助けた勇者にかける第一声がそれか?」

何か、マジギレだった。

「すまんすまん、でも、まぁ…ありがとな。お前ら」

「ふん、まぁ、別にえぇけどな。マジモードは似合わんて、俺らは」

久保たちがぼこぼこになってる怖い顔でけらけらと笑う。ホント、いい奴だよな。こいつら。馬鹿だけど。

「セーダイ、今、俺らのこと馬鹿って思っただろ」

くっ、川口の奴…。鋭い。読心術か!

『前橋高校、6組、7組の皆さん、上之保学園、G組、H組の皆さん、5分後よりご入浴のお時間となっております。第二浴場までお越しください。繰り返します…』

「んお、風呂か」

「ま、そういうわけで俺たち風呂に入らんとあかんから…。優ちゃんたち、またあとでな」

久保がアナウンスを聞き、軽く挨拶する。

「うん、じゃ、風呂上りにまたね〜」

がちゃん

ドアが閉まり、藤本たちが俺たちの部屋から退室する。

「・・・さてと、だ。お前らちょっと来い」

久保が意味ありげな笑みを浮かべ、俺たち三人を手招きする。

「さっきのアナウンス、聞いたよな。前橋校の人たちも同じ時間に入浴するということを」

「「「さ、さては!お前!」」」

綺麗な男だらけの三重奏。自分でやっときながら本当にいっやぁー…な濁声三重奏だな。うぇ、キショ。

「気づいたみたいやな。そや、覗きやぁ!男のロマン!男人的波浪漫!」

「いちいち中国語に直すな。それ、読めないだろ。お前」

エキサイトで翻訳したような即席中国語に突っ込みを入れる。

「うん、読み方なんて知らんよ。ダンジンテキハロマン!」

普通に肯定する久保。まぁ、オンドゥル語みたいな凄い発音はシカトするとしようか。

およそ10分後、大浴場

「大浴場、フォー!!」

奇声とともに2m男が浴場に乱入する。全裸で。

「どうも〜。ハードふたなりで〜す!えー、今日はっ!希望閣という旅館のっ!大浴場に来てますオッケ〜!」

普通にしていても高いのに、今は輪をかけてテンションの高い久保(全裸)。全裸で腰振るな、気色悪いから。

「おい、久保。何があったかは聞かないがタオルくらい巻け」

川口がぽいっと腰巻タオルを一枚久保によこす。何で余分に腰巻タオルを持っているのかは聞かないことにしよう。それに対する久保の反応は

「さぁ、今回、私の手元に送られてきた一通の依頼葉書を読み上げたいと思いますオッケーイ」

見事なシカトだった。ついでに久保は、隠す場所などどこにもないはずの股間の辺りから一通の葉書を出す。魔人かこいつは。

「・・・はぁ」

川口、こうなった久保が俺ら如きで止められないのはわかっていただろう?そう、ため息つくなよ。

「岐阜県の田中セーダイ君(17)からのお葉書です。『ハードふたなりのみさくーラモン久保さん、こんばんは』はい、こんばんは〜。『僕は修学旅行でここ、希望閣に泊まっているのですが、出来立てほやほやの恋人が隣の女湯にいるようで、とても様子がとても気になります。ハードふたなりさん、何かいい手段はないでしょーっか?』う〜ん、実にびゅーてぃふるな質問ですねー!」

「勝手に人の名前使うな。つーか、俺はセーダイじゃねぇ。つーか、その葉書ジャンプのアンケート葉書じゃねえか」

俺はすぱーんと桶で久保の頭をたたく。

「…。つーかな、俺はな、このときを待っていたんや。マジで。このボロ旅館にきて、2日間かけて、女湯に入るルート・計画を作り上げた。しかし、問題がある。定員が4人ということだ」

かぽーん、浴槽に入り、目をつぶり、いかにも深刻そうな面持ちで自分の馬鹿を露呈する久保。駄目だこいつ、重症だ。

「ん、ぎりぎりじゃないか。人数」

松永が久保・俺・川口・そして自分を指差し、問題ないじゃんと首をかしげる。

「馬鹿、問題大有りだ。つまり、だ。クラスメイトに見つかった場合、共犯に出来ん。下手すれば、と、いうか、まず確実に密告られる。ミスは許されんのだよ、松永軍曹」

「軍曹て…。まぁ、それはいいとして、そのルートを説明してもらおうか」

と、川口。俺はあえて沈黙を貫く。

「この浴槽、にごり湯だな。実に。リウマチとかによさそうだ。っと、んなことはどうでもいいんだ。にごり湯。これ、重要ね」

興奮してるせいか、久保から中途半端な関西弁が消える。鼻息荒いんですけど〜?久保さーん。

「いい加減引っ張るなよ、にごり湯が何なんだ?まさか、素潜りでもする気じゃないんだろうな?」

川口が引っ張りまくる久保に突っ込みを入れる。俺はやっぱり静観を決め込む。

「まさか、誰がそんなアナクロなことをすると思うか。脳みそ煮えてるんじゃないのか?」

「お前より数十倍ましだと心得ているつもりですがね〜。つーか、マジで覗きやるの?」

川口が憎まれ口とちょっとビビリを含んだ声で改めて問う。

「と、まぁ、戯言はここまでとして…。ちょっと、こっち来い。今から説明する」

久保が俺たちを一箇所に集める。

「ゴニョゴニョ…。と、ま、こんなもんなんだが…」

定番のゴニョゴニョ音で覗きの手口は隠すとして、問題だ。進入までは10兆歩譲って良いとして、これって、侵入したあと本当にばれないのか?

「じゃ、行くぞ!」

「「オウ!!」」

久保の掛け声に二人の勇者、もとい愚者が反応する。

「俺は行かないからな」

俺一人反論。たった一人の戦場。遠く離れた地にいるお父さん、お母さん。僕は犯罪者からの甘い誘いに乗りませんよ。草葉の陰で見守っていてください。

「草葉の陰って、故人に対する言い回しやなかったか?」

久保がにゅっと顔を前によこす。うわ!つーか、人の心読むなボケ!

「まぁ、それはいいとして…。優ちゃん、6組だから今覗きに行けばおるけど来ないんか?」

悪魔の甘い誘い、禁断の果実。ぼ、僕は…。

「…。行く。ばれないんだよな?絶対」

「やっぱり男だな、セーダイ。安心したぞ、てっきり去勢したオスかと…」

その場で木造の天を仰ぐ。すみません、お父さん、お母さん。貴方たちが次に僕を見るのは刑務所かも知れませんね。

所詮、第一次欲求に逆らえる生き物など存在しないのです、世の中。生物最強ですら逆らえなかったんですから。

「まぁ、そういうわけで…」

久保が仕切る。

「覗き敢行だ!!」

「「「応ッ!!!」」」

なんだかんだ言ってノリノリじゃん、俺。

如何でしたか?

それでは次回『第13話〜大浴場にて大欲情っ!!?補足編〜』も貴方様の時間の都合の許す限り…。

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