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男子校を恋愛で  作者: It
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第1話〜夢とバス子ちゃん〜

恋愛ものの皮を被ったコメディー×コメディーです。暇つぶし程度にどうぞ。

俺はさっき寝た、はずなのに、今こうして立っている。布団から起きた記憶もない、なら、何故起きているのか…。

そうか、これは夢だ。いやぁ、夢と気づかれる夢とはなんとも間抜けな夢だ!夢よ、貴様の正体見破ったぞ!何がおきても俺は惑わされんぞ!はっはっはっ…はっ!

ドキッ!

背後から、何かを感じる。胸が自然と動悸をはじめ、顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。感覚で背後には何がいるのか、分かってるのかも…。でも、確証はないのでしっかりと背後を見て確かめる。

すると、そこには予想通り…いた。何がって?俺の幼馴染。とは言っても、俺は中学入学の時に他県の全寮制の男子校に行ったから、彼女の顔は小学校時代で止まっている。今、前にいる彼女も、勿論のこと小学生サイズ。

彼女の名は…そう、藤本ふじもと ゆう。身長は小さくて、おかっぱ頭で、目は眼球が落ちそうなほど大きく、口は普段小さいくせに笑うと妙にでかくなる。

あと、誰にも言っていないが、俺の初恋の人だ。ちなみにこの恋はまだ終わってはいない、と、自分では思っている。

「な、ななな…何し二来た!」

俺は心底臆病なのだろう、喋りはどもるし、声は途中で裏返るし…。しかも、「何しに来た?」ってなんだよ…。

彼女は何かを言おうとし、口をあけた。しかし、俺の耳には聞こえない。何故なら、次に流れてきた音がかき消したから。

「おい!起きろや!セーダイ!」

『セーダイ』というのは俺のあだ名で、由来は俺の本名『田中たなか 聖大まさひろ』の『聖大』から来ているらしい。まぁ、普通はそう読むよな…。こんな名前を考えた酔狂な親に乾杯。

「んあ?あぁ?まだ7時にもなってないじゃんよ。朝練まであと30分もあるし、あと25分寝かして…」

「はぁ?自分、何言ってはるんや?今日が何の日か言ってみぃ?」

えーと、昨日は11月20日の日曜だったから、今日は…21日で…あれ?何かあったような…。インターネット記念日?いや、あまり関係ない。早慶戦?かなり関係ない。じゃ、なんだ。

「おいおい、今日は修学旅行やろ?早よ準備せんとおいてってまうぞ。ダボが」

そういわれて思い出す。そっか、今日は修学旅行か…。って、ヤバ!集合時間まであと20分だ!集合場所まではココから徒歩10分、早くしないと教員に殺される!

「うぁあああ!すまん!久保!ちょっと待ってくれ!」

「あぁ、早よせぇよ?あと5分したらマジで置いてってまうぞ?」

今、俺を待っている身長200cmの化け物(自分では199,7cmだと言い張るが)久保くぼ 貴洋たかひろ

俺と同じバスケ部で、西日本のあたりから来たらしく(久保は出身地を聞かれるたびに別の地名を言うのでどれが本当か分からない)、中途半端に関西弁を喋る。あと、俺の唯一無二の親友とでも言っておくか。

「ほら、早よせんとマジで見捨てて行くで?」

「わーってる、わーってる!…ほら、出来た!すまんな、行くぞ」

「久保貴洋、田中聖大、ただ今到着ぅ〜!」

4泊5日分の荷物を背負って、久保と俺は集合場所に到着した。7時10分、まぁ、合格ぎりぎりラインだ。

「荷物はココの中に入れてくださいね」

にっこり、バスガイドさんの素敵スマイルが炸裂する。修学旅行は今回を含めて3回目なわけだが、その中でダントツで一番のルックスだ。ってか、日本でも有数の美人バスガイドさんだろう。そう断言できるほど、彼女の容姿は整っていた。

「ウホッ!にゃひひー♪当たりや!当たり!なぁ、セーダイ?」

「あ、あぁ…。そうだな…。ちょっと、落ち着け。な?」

ドスッ!

バスガイドさんを見たせいで興奮が最高潮に達していて、理性の欠片も残っていなさそうな久保の腹を殴る。足長いし、身長高いし、顔もいいし、気前もいい。さらには運動神経抜群のこいつのファンは同年代の女子に少なくはない(ついでに、同性からもファンが多い。どういうファンかはご想像に)。でも、この好色っぷりを見たらファンが何割減ることやら…。

「相変わらずだな、ドツキ漫才!いや、夫夫漫才か?このゲイめが!」

既にバスに乗っているクラスメイトから野次が飛ぶ。

「うっさいわ!松永ぁ!つーか、ゲイじゃねぇっつの!」

バスガイドさん目を向けると少し困った顔をしているようなので、俺は久保を引きずり、乗車する。

「んで、セーダイよ。どや?あのバス子ちゃん可愛いと思わんか?」

「まぁ、確かに可愛いわな…」

理性を取り戻した久保は再度その話を俺に振る。

「んーでも、いくら可愛くてもお前には愛しの許嫁がいるからなぁ」

背後から松永の野次、うぅ〜ん、最も飛ばされたくない野次だな…。

「松永!てめぇ、知ってて言ってるだろ!その許嫁が滅茶苦茶ヤバいことをなぁ!そんなこと言う奴にゃあ…こうだ!」

ギュッ、松永の首を掴み、力いっぱい締め付ける。

「知ってるから茶化せるんだろうが。って、ぐぇ〜、ギブギブ」

ここで出た、俺の許嫁。まず、知ってもらわないといけないだろう。その存在を。

その許嫁は俺の従妹で、小さいころからの仲だ。向こうは一方的に俺にベタ惚れらしく、俺の親と彼女の親との間で勝手にある約束をしてしまったのだ。

その約束が『従妹が16歳になったとき、結婚相手が決まっていないと、有無を言わさず婚姻される』というもの。

まぁ、彼女が俺の好みに当てはまっていたら万々歳なのだが…。あいにく、俺の好みはうるさい。ってか、俺じゃなくても彼女は勘弁だと思う。自分のためなら他の犠牲をためらわない性格(自己中)といい、凄い容姿といい…。もう、何と言うか、完全なボール球だ。ビーンボールどころか、『バッター・俺』の背中を通り過ぎていったような…。乱闘OKかい?

「んで、バス子ちゃんは射程範囲なん?彼女候補に入るん?」

「まぁ、確かに可愛いが…。ってか、バス子ちゃんってなんだよ」

俺は必死に話を逸らそうと努力する。

「可愛いが…。何なんよ?出るとこ出て、引っ込むとこ引っ込んで、ばいんばいんやんか。どこがダメなん?」

「・・・。お前、表現が凄くおっさん臭いな」

「んで、可愛いが…。何?」

こいつ、他の話題はとことんシカトか。いいキャラしてるじゃねぇか。

俺には心に決めた人がいるから、何てことは口が裂けても言えない。と、なると…こういう場合は…。

「いや、ダメじゃないんだ。むしろ全然OKの方針で」

嘘でもこういっておいたほうが良いだろう。ってか、完全に嘘じゃないし。つーかアレだ。正直言って滅茶苦茶好み。

「ほぉ〜、そいつはそいつは…」

周りの奴ら揃ってニヤニヤ。

「じゃあ、何だ?お前らは彼女が可愛くないとでも?俺は素直に言うね、滅茶苦茶タイプですよ。決まってるじゃないか!」

何か、俺が大声で喋っている途中に、周りの会話が完全にシャットアウトされていたようで、バスの中では俺の欲望丸出しの声がこだまする。

「おいおい、田中。お前何大声で言ってんだよ」

担任が必死に笑いをこらえながら、俺を名指しで注意する。

「マジかよ、頼むぞセーダァーイ」

周りも上手くそれに便乗する。

「ぁのぉ〜、田中君って、どなたですかぁ〜?」

ばいんばいんのボディ(久保談)に似合わず鼻にかかった甘い声。顔は恥ずかしさからか真っ赤で、マイクを使ってもその声は小さく、消えそうだった。

「こいつで〜す。こいつこいつ!」

久保が思い切り俺の手を引っ張り、バスの廊下で彼女とご対面させる。

「「あ、あ、あはははは…」」

彼女と俺の初のご対面は二人とも、苦笑するしかなかった。

「名前、何でしたっけ?」

言うに事欠いて、俺は愚挙に出る。これじゃあ俺がますます軟派っぽいじゃあないか。こういうのは久保の役目だろ。

「えぇ〜と、高見たかみ 結衣ゆいですぅ。不束者ですが、どぉかよろしくお願いしますぅ」

すまなそうに、ぺこぺこと頭を下げ、俺も役目を終え(?)席につこうとしたその瞬間。

「結衣ちゃん何歳〜?」

「スリーサイズ何〜?」

「彼氏いる〜?」

などなどの質問攻め、質問攻め。聖徳太子でも聞き取れないほどの質問攻め。

「ぇ、ふぇ〜!そ、そんな一気に聞かれても困りますよぉぉ〜」

実はこれが初仕事らしいバス子ちゃんこと、高見結衣さん。彼女のバスガイド人生も前途多難のようだ…。

俺も初日からこれじゃあ、ヤバイな、と思いながら岐阜→福島間をバスは揺れる…。

友人の「恋愛ゲーのシナリオみたいな奴書いて」という発言が元で始まった行き当たりばったりもいいとこの、小説とは呼びがたいものですが…。それでも、最後まで挫折せずに(すでにしてる節がありますがw)突っ走ろうかと思います。どうかよろしくお願いします。

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