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奇妙な日々

作者: Akasa
掲載日:2025/12/29

初投稿です


 或る日私は、誰かの話し声で目が覚めた。

最初に思ったのは、誰だろうかと言うことだった。母だろうか?いや、其れにしては図太い声だ。では父か?声としてはあり得るが、らしくない。


 では、誰だ?テレビやスマホをつけた儘寝ただろうか。或いは。

背筋に冷や汗が滲む。そうこうしている間に、声は近づき、そして...


 私の枕が喋っていた。


 意味がわからない。自分の目と耳が信じられなかった。そうこうするうちに、彼(声からして図太いが、もしかすると彼女かも?)は私に畳み掛ける。

 「あのな、お前、寝てる間に涎を垂らすのをやめろって何回も訴えたよな。なんで辞めてくんねえんだ?何回も繰り返すもんだから、ついに人語覚えちまったよ。」

 「え、あ、え?ご、ごめんなさい...?」

 「ごめんじゃないが。ちゃんと行動で示せや。ほれみろ、この俺の頬!お前の体液着いちまってるじゃねえか!」

そんなこと言われたって何処が頬なのやら。そう伝えると、向こうは、俺にだって人間の部位なんぞわからん、と言い出した。


 そもそもどうやって発話しているのだろうか。多分内側にスピーカーがついているか何かだろう。どうせ仕掛けたのは親か友人だ。連中ならあり得そうだ。向こうの機嫌をなんとなく取りつつ、ソーッと手をMr.枕に近づける。そして、手でチャックを掴んで...

 「おい、お前さあ!他枕のプライベートゾーン触んなってパラぺニヤで習わなかったのか!?」

びっくりしたが、なんとか手は離さなかった。枕のプライベートゾーンってなんだよと思いながら、喚く相手の内側を晒してやろうと思い、少し力を込めて...


 ...ちょっと待て。この枕は、結構な音量で喋っている。それこそ眠りが深い方である寝ている私を起こすくらいには。にもかかわらず、掴んだチャックからは一切の振動が感じられない。音は振動だ。なのに。


 こちらが呆気に取られた隙をついて相手が飛び去った。枕とは思えない大層な跳躍と美しい着地。

 「この変態めが...度し難い。」

(やたら大人びた枕だな。)

 「ええと、どうやって喋ってるんですか?」

 「どうやっても何も...こうやってだよ。人も同じだろ?」

 「ええと、じゃあ、声帯は何処にあるんでしょう?気道は?口は?」

相手の枕色が変わった。いやよくみたらカバー色か。どうも心情で色が変わるらしい。イカタコか何かなのだろうか。

 「...は?何言ってんだお前?クチ?キドー?セータイ?なんの話だ?」

 「え、声出すには必要でしょう?口か鼻から空気を入れて、気道から肺に入れる。呼気を出して、その時に声帯を通るから、声帯を震わせて空気を振動させる。そうやって思う形に波を整えて空気中に発する。それが鼓膜にー」

 「ええと...人ってそうやって発話すんのか?なんか知らねー言葉ばっかで着いてけねえが...。しかしまあ、空気を震わせてしゃべるのが人語だものな。めんどくせえ。俺たち枕はもっと洗練されてんだから。まず、パーパラの内部にあるペパエイムをとらえてキッカエラを起こして、カラベリから放つだろ。でお前の中に潜り込ませて、カエッダエキ反応を起こす。こうして喋るわけよ。」

 「はぁ、そ、そうですか。それで、ええと、なんの話でしたっけ。」

 「あぁそうそう、唾垂らすなって話な。どうにかしてくれよほんと。」

いやそう言われても。寝てる間のことをどうしろと。

 「じゃあ、えっと、これからは抱き枕として使いますね?」

相手からは肯定的な反応が返ってきた。なんとかなりそうだ。


 ふと悪いことを思いついたので聞いてみる。

 「あの、どうしてそんな声でそんな喋り方をなさるんですか?」

 「あぁん?そらお前、ずっと流れてた声だからよ。」

やっぱりだ。この喋り方は、最近よく聞いていたラジオの声と全く同じ。

 「じゃあ、特にこだわりも意味もないんですね。」

 「まあそうだな。お前の好みに合わせてやってもいいぞ。」

それじゃあ。急いで推しの配信を開く。

 「この声、この喋る方で話してくれます?」

 「...ええっと、こうってことかな?なんだかちょっと変な感じがするね。でも大丈夫だよ。これで大丈夫?」

すごい、完全に一致している。あとは色を推しのイメージカラーに変えて貰えば。




 こうして、我が家には、推しと同じ声と喋り方をした、推しのイメージカラーの枕が常駐するようになった。それに、枕とのコミュニケーションの取り方も知ったし、分裂させる方法も知った。枕の発話は人間と違って指向性なので、自分のシャーペンの中にカケラを仕込んでテスト中に問題を解かしてみて、答えを教えてもらうこともできる。歴史や地理、生物は無理だけれど、地球共通の数学や物理の役には立つ。テスト中に推しの声が解答を囁いてくれることに喜びを感じる。随分楽しい生活が始まった。

 

そう思っていた、ある日。推しの声で「おやすみ」と言ってもらい幸せな眠りに落ちた私は、知らない甲高い声で目が覚める。まく様(私はこの枕のことをこう読んでいる)だろうか?そう思って目を覚ますと、謎の声が聞こえてきた。


 「あーたねえ、夜な夜な妾に汗かけてくるの、辞めて遊ばせ?毛布にも、尊厳はありましてよ!それどころか、みんなあなたの寝相に文句を言っていましてよ。ほら、皆さんどうぞ!?」

ガバガバかもしれませんが許してね

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