Ep.6ーリューー
お読みいただきありがとうございます。
「あら、お久しぶりですね!」
「久しぶり」
「達成報告ですか?」
「うん、はいこれ。あと新入りを紹介しにきた」
「お預かりしますね。新入りですか?」
「はじめまして!登録させて欲しいのだけど」
「新規登録ですね、わかりました。ではハクさん、達成確認ができましたので、報酬の用意に少々お時間いただきます。それと、新規登録の方はこちらをご記入ください」
名前、年齢、職種を書いて、受付の人に受領してもらう。しばらくすると、黄色のカードが出てきた。
「魔法職メイン?」
「ええ、もちろん」
「サブは?」
「剣士よ。意外?」
「少しね」
そう言いながら、彼女は自分のカードを出した。Sランクの象徴ともいえるブラックカード。
「Aランク試験、私の推薦で」
「かしこまりました。では少々準備しますので、お待ち下さいね」
もうすぐ星祭りだから、今は多くの人が地方から出てきている。当然冒険者も含まれているわけで、かなりの人でごった返している。
待っている間、私とハクは隅にある小さな椅子に座っていた。
「ねえ、死ねないってどういうこと?」
「言葉通りよ。そうねえ・・・」
言いながらハクの腰にあった短剣を引き抜いて、
「わかやすく言うなら」
ビッと、手首を切り裂いた。真っ赤な血が噴き出るが、突然傷口が光ると、まるで何もなかったようにきれいに治った。
「こういうことよ」
「・・・なるほど、わかった。けどいきなり手首切らないで」
「ごめんなさいね、でも見てもらったほうが早いと思って」
「それは欠損した部位とかにも効くの?」
「ええ、もちろんよ。あなたは違うの?」
てっきり同じように治るのだと思っていたのだけれど・・・。
「私も治るよ。けど・・・」
彼女が服を捲りあげると、見えたのは大きな傷跡。脇腹に切り裂かれた跡がある。
「治療に時間がかかるのと、跡が残る」
「・・・そうだったのね。絶対痛かったでしょう」
「それはそっちも一緒でしょ。手首を切る痛みは相当なものだよ」
「試したことがあるの?」
「昔にね。本当に遥か昔、どうしても死にたくなっていた時期に。首も吊って、毒も飲んだ。手首を切って、首も切ったよ。・・・あのときは本当に、どうにかして死にたかった。自分の手で、この命を終わらせようと必死で・・・、生きる意味が・・・どこにもなかった」
どちらかというと口数が少なそうに見える彼女が、淡々と語る。
「そう、じゃあ今は?」
「・・・わからない」
「そっか」
いったい何が彼女を変えたのだろうか、それがとても気になった。