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4章 いつも通りの会議

「へぇ~よかった今日は遅れずに付いた」

「先輩が途中で猫とじゃれ合っていたからですよ?」

走って来たのか少しだけ実は汗をかいている。

「ねぇ。そのことは誰にも言わないでよ?」皐月が手を下にぶらぶらしながら腰を丸めて歩いている。

それは、急いで走っていた小学生のようだった。

「それは先輩の態度次第ですよ」と実は笑顔で言ったがその笑顔には悪戯を思いついた子供のような笑顔だった。

皐月と実は校舎の中に入りある教室に向かった。


キーナ高等学校生徒会室


「おはよう」

皐月達はスライド式の扉を開けて生徒会室に入った。

生徒会室、(たたみ)14畳分の大きさであり、壁の方には資料や書類などが入っている棚がある。

そして部屋の真ん中に2×2の机が置いてあり、五つの椅子が置いてある。

その隣には銃のスタンドが置いてあった。そこに皐月は銃を置く。

「あぁ‼やっと先輩たち来た」と席に座っていた少女が驚いたように立ち上がった。

「遅れてごめんね~結実ちゃん。寝坊しちゃって」

「もう待ちましたよ。だけど、実先輩も遅れるとは思ってなかったのですが……」

ホワイトボードの立っていて何かを書いている少女が呆れた笑顔で実達の方を向いた。


「すみません苗ちゃん。皐月先輩たら、路地裏の猫とじゃれ合っていたので」

先ほど、皐月にお願いされたことをやぶり、悪戯顔で席に座った。

「え!それで遅れたの」

実が朝ごはんをコンビニで買っている間にコンビニの裏路地で猫とじゃれ合ってい時の写真を見せた。

「ちょ、ちょっと実ちゃんそれ言わない約束」

「なんのことでしょう?」

笑いながら実は席に座る。

「それで佳子ちゃんは?」

机に倒れこみ欠伸をしながら皐月が聞いた。

苗はかけている眼鏡を拭くために机に置きスマホを皐月に見せた。

「用事が出来たから遅れるそうですよ」

ハァーと苗はため息をつき言った。

「もう。なんでうちの学校の先輩たちはこうも自由なのよ」

結実は呆れたような、そして怒りを見せた。

「もう時間がないので、先に定例会議を始めましょう」

苗は棚からファイル取り出しその中から何枚かの紙をホワイトボードに張り付けた。

「では、初めに1週間の調査報告です。グイドニア・インビオラタ学園と境で砲弾と弾薬の輸送車が何台か目撃されました」

「目的は?」

結実は質問した。すこし、とげとげした言葉に皐月は何も言わなかった。

「それはまだ。しかし、ここ最近クーデターの連合隊の活動が今までより目立っていません。だから、」

「何か裏があると思う。」

苗の話を遮り一人の少女が入って来た。白髪で髪と同じ色の目をしている。身長は実と同じほどであり、体系は体育会系と文科系をミックスさせたように見える。肩にアサルトライフルをかけている。

「やっと佳子先輩きた」呆れながら結実はため息を吐いた。

「佳子先輩⁉」

苗は笑っていない笑顔で佳子に近づいた。拳を握りしめて、

「待って。話せばわかる。今日実はすごい事を発見した」

佳子は自身の危機を感じ、迫る苗を手で静止した。

「すごい事?ですか」

実は疑問を顔に出して聞いた。斜め上を見て実は少し考えた。

「ん。実は連邦政府の上に【AAGA】て、いう組織が出来たらしい」

佳子は一枚の紙を4人に見せた。

「確かに、前から言われてましたけど……」

苗は少し考えて佳子がした事を理解した。

苗は生徒会書記・広報として他人の表情、動作、声の音程で相手の考えをわかることができる。それもあり、学校内、生徒会内の揉め事を事前に防ぐことができる。

「も、もしかして先輩【AAGA】に救助要請したんですか⁈」

ここで導き出した答えは最悪の事態であり、問題だった。

「救助要請はしてない。学園内の揉め事を解決してもらうためにメールを送っただけ」

佳子はドヤ顔をしているが苗はプルプル震えている。

恐らく怒りと身勝手さにそろそろ限界がきているようだ。

「連邦政府より上の組織の人が来るって事?」

本日二度目、席に座っている結実が立ち上がり机に手を着けた。

そして驚きと呆れを抱えて佳子に近づく。

「それはまずいですよ、佳子ちゃん」

実も手を口に当て、慌てている。

「問題ない。もう担当の人が向かってるらしい。今日ニュースでやっていた」

佳子は持っている銃をスタンドにかけて親指を立てた。

「いやぁ‼問題しかないでしょ」

結実はもう自身の感情を抑えるのでいっぱいだった。だからこそ机の下で拳を握りしめていた。

「はぁ~。しょうがない。それは置いといて取り合えずは今の問題を整理しよう」

皐月は机に突っ伏して言った。その正論に呆れていた結実と苗も自身の感情を押し殺した。

今ここで、争っても意味がない事を皐月が一番知っている。

まだ不確定な要素を解決するより、目の前の問題を解決しようと言った。それを聞き4人は納得した。


佳子が遅れたことで会議は少し延長したが昼過ぎには会議は終わっていた。

苗と結実は【AAGA】の問題と学校内の書類仕事をするため、学校に留まった。

佳子は用事があると言い出し会議が終わると一番速く学校を出た。

「皐月先輩、お昼どうしますか?」

実は校門を出ようとしている皐月を見つけて聞いた。それに反応して皐月は

「私は家に昨日の残りがあるから大丈夫だよ~」

あどけない表情で腰を丸めてユラユラしながら歩いている皐月を見て、実は

「先輩……。最近食事取っていますか?」

実は心配そうに皐月を見る。

「えぇ?急にどうしたの、私は元気だよ?だからそんな顔しないで」

少し、驚いた表情で皐月は実を見つめた。そして、実にい余計な心配をかけないようにするために、

皐月は実に抱き付いた。

「そうですか……。先輩が大丈夫なら」と実はまだ何か言おうとしたが、本人がそう言ったので実は

皐月とは反対方向に向き、

「ではまた、明日」実はお辞儀して歩いて行った。

「うん。また明日」


   ●


(流石にもう隠しきれないかな?)

実と反対方向に行った皐月は空を眺めていた。その瞳は輝いた。何かを胸にしまい込んでいるように。

(2年前のこと言うべきなのか?)

皐月は2年前に起きた出来事を思い返す。

(誰かに頼らないといけないのか)

2年前の出来事以来、夜は悪夢に(うな)され、睡眠をとれるのは昼寝だけ。食べては吐き、食べては吐くを繰り返す。栄養は取らないといけないから、食欲がなくても、何かを胃に放り込む。それの繰り返しである。一時期、その症状は治まったことはある。しかし、半年前から同じ症状が続くのだ。皐月はその原因を薄々と気が付いている。

「何で、忘れられないだろ」

(あの時、私が彼らにしっかり頼っていたらあんな目には……)

下を向きとぼとぼと皐月は歩いている。どこに向かっているのかわからなくなっていた。

皐月は気が付けば砂漠についていた。他の学校とまたがる砂漠に着いていた。

「先輩……」

皐月は口に一言こぼした。広大な砂漠に残された言葉はそれだけだった。何かを眺めて皐月は少し寂しそうな顔をしていた。

「こんな事しても意味ないよね~。さてそろそろ帰ろう」

皐月は来た道を戻り家に帰って行った。

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