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2章 連邦政府

そんな、会話をしているといつの間にか駅の外に出ていた。何かと文句を言っている愛華だがしっかり伊織をアシストしていた。しっかりと秘書としての仕事をしてる。

「すごい……」

この世界ではもう見ることができないと思っていた景色が広がっていた。

「こんな都市、初めてだ」伊織の顔をはまだ半信半疑だった。少し、驚いていて口を開けていた。周りには高いビルが広がっていた。夢ではないのかと自分の頬を軽く叩いた。


【AFD】に向かう際に外の世界では見ることができないものの多くを目にした。


(なんで、街中に戦車が?グイドニア?)通り過ぎてから気が付き振り返った。

道路を走っていた戦車にはどこかの学校の校章が付いていた。


『先生向こうに大きなショッピングモールが』

愛華は興奮していた。それもそのはず、伊織の住んでいた場所はここよりは発展していない。高いビルがあるわけもない。この都市は『何か』あるのかと疑うほどだった。


「本当だ……。外の世界ではこん建物はないよ、これは」

伊織は少し興奮していた。それは小学生が珍しい虫を見つけたとの様だった。

『あ‼あっちには水族館が』

『クジラもいるのかな?』

『先生は本当にクジラが好きですよね』伊織の鞄には幾つかのクジラのキンホルダーが付いている。

『……まあね』

そんな会話しながら街を見て周り、気が付けば【AFD】に着いていた。


     ●


エレミヤ学園連邦政府 AFD


(ここで会ってるんだよね?)


「先生お待ちしておりました」

伊織がAFDのエントラストに立っていると一人の少女に声をかけられた。

「えっと……」

「はじめまして。【AFD】生徒会副会長、岡本陽菜と申します」

彼女は陽菜と言った。見た目は大人しそうに見え顔立ちも、はっきりとしている。そして眼鏡をかけている彼女からは鋭く尖った視線が印象的である。それが昔の記憶を思い出す。そう、彼女とあった時と同じ瞳だ。


「えっと、学園自治統括政府【AAGA】責任長、赤月伊織です。よろしくお願いいたします」

伊織は差し出された手を取り握手をした。

「こんな所で、立ち話も何ですし生徒会室に行きましょう。そこで、今後の先生の仕事についてもお話します。生徒会長もそこに居ます」


そう言われは伊織は彼女についていった。


生徒会室に向かう間、彼女からこの都市について、この都市の法律などを聞いた。ここ、学園都市エレミヤは直径1100kmにも及ぶ学園都市国家であるらしい。学園連邦政府【AFD】には統括室と行政委員会を合わせた12の組織で構成されている。学園都市エレミヤは【学園都市連合国家エレミヤ】が正式の名前であり、人口は約60万である。

またエレミヤは6つの自治区に分かれており、その自治区の中で権力が高い6つの学校がその地域の自治を行っている。そのため、しばしば学園同士の争いが起こることがあるらしい。


「こちらです。【AFD】の本部、生徒会室です」

そう言われ伊織は木製のそして高価そうな扉を開け部屋に入った。

そこには、

「ようこそ、学園都市エレミヤ全体の自治を行う【AFD】の責任者であり生徒会長の

橋昼桃花です」身長はさほど高くなく、髪の色と同じく目の色は水色である。そして、陽菜とはまた別の印象を受ける。椅子に座っていて何かの書類仕事をしているようだ。


「はじめまして。学園自治統括政府【AAGA】責任長、赤月伊織です」

「フフフ。先生なのですから敬語は不要です。わざわざ、遠いところから来ていただきありがとうございます。本当ならば行政委員長全員出席する予定ったんですが、この都市にはよく学校間の問題が起きますので……」

桃花は優しく笑った。

「なるほど……だから、こんなに」

伊織はだれもいない生徒会室を見て納得がいった。

「それにしても、ただの要請だけこんな所に来るとは先生は何か目的でもあるのですか?」

「……。何も、私はただ来たくて来ただけだから」

少しの沈黙の間、伊織は辺りを見ていた。

「そんなに警戒しなくてもいいよ」

「そうですか」

陽菜は机に置いてあった紙をしまった。

「さて長話も良くないでしょ、陽菜」

桃花は机に手をつき陽菜を呼んだ。

「はい」

「例の物を持て来て」

桃花は陽菜の方を向き言った。陽菜は生徒会室から出て何かを取りに行った。

そして桃花は伊織の方を向きなおして、

「先生にはこれから学校間の問題、学校内の問題を解決していただきます」

「え?」


伊織はここで何か嫌な予感を感じた。

「安心してください、問題については学校の方からの願いだけを解決していただければ問題ないです」

桃花は先ほどと同じ笑顔で伊織を見つめた。

そして、陽菜は生徒会室に戻ってきて、大量の書類とタブレット端末を渡した。


「こちらの資料は毎月分の量です。およそ200~300枚ほどあります。月末までに提出していただければいいです」

陽菜は無表情にそう告げた。

「200枚‼」

伊織の反応を無視して陽菜は

「こちらは、【AAGA】と【AFD】の情報兼アクセス権利です」


(へぇー機密書類のアクセス権利ね……。200枚?200……)

「まぁ、何かありましたらまたお越し下さい」

そう言い桃花は立ち上がった。

「えっと……書類200枚?」

「はい。先生が来て下さったおかげで、雑、ではなく、仕事を任せられますので。お願いいたしますね、先生」(今、雑務って言おうとした?)

桃花は初めに見せた笑顔を向けて伊織に言った。

「私はこれから、バーミンガムに行きます。陽菜、後の事は任せました」

そう言い、桃花は部屋から出ていった。


「お話は以上です。【AAGA】はここ学園連邦政府の向かいのビル、政府統括専門機関庁【GCA】の最上階です。こちらが【AAGA】の管理者キーです」

「ありがとう……」


そう言い伊織は部屋から出た。出来るだけ早く、この建物から出て一服した伊織は来た時よりも速いスピードで外に出た。


『先生まだですか?』

『もう少しだけ待って。取り合えず買いもをしに行くよ』

そう言い、伊織は近くにあったコンビニに寄った。買い物が終わり、【AAGA】に向かった。


【GCA】の訪問玄関で管理者キーを見せて責任者専用のエスカレータを使用し最上階に向かった。

「ここが……」

【AAGA】室の扉には近日開口と書いてあった。それを剥がして伊織は中に入った。


【AAGA】の中は意外に綺麗であった。ホコリは無く、例えるならば偏差値上位の私立高校の職員室のようなものだった。長机には資料を入れる箱や、PⅭなどが置いてあった。そして奥には低い机とソファーテレビが置いてあった。


「以外に綺麗だな、それに広い、さてと」

伊織は背負っていた鞄を近くの椅子に置いた。

そして伊織は辺りを確認した。


   電脳空間


そこには、青い空と青い海が広がっていて机と椅子が一つだけ置かれている。

しかしその場所は何故か暖かく感じられる場所になっていた。

「愛華出ておいで」

「先生……クリームコロッケ」

「あるからさ。そんなに不貞腐れないでよ」

伊織は【AAGA】に向かっている途中で買った生活必需品と愛華のために買ったクリームコロッケを持ってきた。


「取り合えず、これくらいあれば愛華も退屈しないでしょ」

なかには、毛布やトランプ簡易用テレビなどが入っていた。しかし、愛華は気にせず

「ありがとうございます。先生」と笑顔で言った。

怒りは収まっと思い伊織は、

「だから、そんなに怒らないで」と言った。

「だけど、一か月で200枚の仕事ですよ?それもここ広大なエレミヤを駆け回りながらこの仕事一人でするんですよ」

「わかった、わかった。だけど連邦政府も人手不足なんだし。先生として配属されたなら出された仕事はしないと」

「……」

前向きの伊織を見て愛華は

「ですけど……いつか先生の体は壊れてしまいますよ?それにここでは銃火器の所持が認められてるんです」

愛華は心配そうに伊織を見つめている。

「大丈夫だよ。……多分」

そこから段々と伊織の自身は無くなっていった。

「それにここに住んでいる人はなんでかなのかは知らないですけど、人の肉体強度より高いですよ?大抵の人は銃弾一発くらいでは死なないらしいですし」

「へぇーなんで知ってるの?」

この時点で伊織の頭には?が浮かんでいた。

「それに噂によると、対戦車ライフルの弾丸でも無傷でピンピンしてる人もいるんですよ?」愛華は貰ったクリームコロッケを頬張っていた。

「へぇー。ここて、現実世界?」

伊織は途中から話のスケールについていけず、脳細胞がクラッシュしている。そんな話を聞き流し伊織はスマホを取り出した。

「まぁ、姉さんの事を調べながら仕事をしますか」

「お姉さんって、先生が……いえ。なんでもありません」

伊織は青空を眺めていた。その表情は何か見ている様子で、未来を見ているように愛華は見えた。

「さて、今日はゆっくりと、明日から仕事を……」

伊織が床に座り込み、そこから床に寝ころがった。

「先生床汚いですよ」

と何気ない会話をしていると、


一件メールが届いた。


「えっと先生。残念ですけどもう出張の準備しないといけないようですよ」

愛華は届いた電車メールを開いた。そこには長い文章が書いてあり最後の方に学校の名前が書いてあった。

「どこからなの?」伊織は頭に手を置き愛華に聞いた。

「キーナ高等学校、からです」

愛華は伊織を見つめる。それを聞き伊織は飛び起きた。

「キーナ高等学校って、先生」

愛華心配そうに伊織を見つめる。

「姉さんの母校だ……」

伊織は現実世界に戻りスマホを開いた。

「愛華。すぐ向かうかナビしてくれる?」

伊織に頼られ愛華は大きくうなずいた。

『わかりました。すぐに準備します』

そう言われ伊織は鞄を持ち電脳空間に戻った。

「愛華。これここに置くけどいい?」

「大丈夫です。電脳空間には質量は存在しませんから」

伊織は頷き、愛華の机の横に置いた。

「さてと、行こうか愛華」

『はい‼』

伊織の呼びかけに答えた。

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