1章 学園都市エレミヤ
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電車の中には席に座っている青年しかいない。
それもそのはず、外部からこの学園都市に訪れる事、事態珍しいのだから。
世界の半数の人類が自然災害と戦争で命を失った。この都市と一部の地域以外は地獄絵図となっている。
外は砂漠が広がっていて今はちょうど砂嵐が起こっている。そして、砂漠のあっちこっちに炎が見れる。
『システム、可動成功。続いて外部での記憶装置のデータをバックアップを開始します』
頭の中で機械音声が流れる。
『了解』
そう、頭の中で頷き青年は座席を立ち上った。
青年の見た目は、20歳前半若く、身長も左程高くない。そして、青年は電車のドア付近に立った。
『ご乗車ありがとうございます。まもなく、終点オルレアン自治区です。お忘れ物のないようお気を付けてください』
電車に響く音声はどこかに消えていった。
「はぁ~」
青年はため息をつき立ち上がった。
『データのバックアップを完了。これよりシステムを起動します。……起動完了』
さっきの電子音は伊織の頭の中で響いた。そして、一人の少女が頭の中で声をかけた。
『お久しぶりです。伊織先生』
一人の少女が青年の目の前に現れた。いや、少女が現れたのではなく伊織が彼女がいる電脳空間を訪れたのだ。
『久しぶり愛華。3か月ちょっとだっけ?ごめんね。長く待たせて』
伊織は愛華に話しかけた。
『大丈夫です。だって私は先生の秘書なんですから』
そう愛華は頷いた。そして続けて愛華は、
『あの場所を離れてちょうど3か月ですね』
愛華は笑顔で言った。
『ということは3か月も、電車の中にいたってことか』
伊織は床に開いて置いた登山用の鞄を背負い、電車から出てあたりを見渡した。
そこには、外の世界では見る事の出来ない珍しいものが広がっていた。
「凄い、あそことは別だ。まさか、こんな地球にもまだこんなところが残ってたなんて」
伊織は改札を通り駅の出口に向かった。駅は広く初めて訪れる人にとってはダンジョンとなっていた。
『先生。そろそろ、待ち合わせの時間ですよ?』
愛華に言われ伊織は時計を確認した。
「……。本当だ。だけど何処に行けばいいのか」
『取り合えず駅を出ましょう』
愛華に言われて伊織は頷いた。
駅の中を歩いている中、今の世界にはあり得ないほどの珍しい物がいたるところにあった。
一番驚いたのは一般市民でもスマホと言う電子機器を使用していることができる事。
更には人々は全員、銃や刀、その他凶器になりそうなものを、持ち歩いていることだ。
『それにしても。先生いつの間にか電脳空間と現実空間を上手に使えるようになって居ますね』
愛華に言われて伊織は頭の言った。
『まぁ。出張が決まったのが1年前だからね。それなり練習してるから』
伊織は愛華と会話しながら駅内を歩き回った。。
『しかし、先生の人数不足だからといって、人員集めで大学院生の先生を連れて来いとかほんとおかしな話だと思います』愛華は電脳空間にある椅子に座り手を机についていた。
『まぁ、来年にはここに訪れる予定だったしね。しょうがないよ、予定が早くなっただけだよ』
伊織は頭を掻きながら、愛華の頭を撫ぜた。それは、愛華の不満を取り除くためだった。
『それでも、学園連邦政府【AFD】の上層部に位置する学園自治統括政府【AAGA】に配属なんて』
愛華は伊織に撫ぜられて嬉しく思う反面、まだ文句を言っている。
『まぁまぁ、そんなに怒らなくても』伊織は少し困っていた。現実世界で行動しながら電脳空間で受け答えをするのだから、それなりに頭を使うのだ。
伊織が愛華の怒りを収めようとするも、
『しかも、先生は【AAGA】の責任者なんですよ?』
愛華は手に持っていた傘を振り回していた。
『わかったから、後でクリームコロッケ持ってくるから。静かにして』(なんで傘持ってるの?)
と、伊織は少し疑問を持ちながら、少しの会話で伊織は少し疲れを感じていた。
しかし、愛華はそれを気にせず『はい‼』と笑顔で頷いた。
愛華の文句は大抵クリームコロッケで何とか収まるのだ。
作品設定に不明な点があればまた教えて下さい。