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空からのいたずら

作者: 黒楓

今朝の私でございます。

 駅へ急ぐ私のおでこに、ポツリ!と落ちた物。


 バカにした様なカラスの声が飛び立ったので私はギョッとしてバッグからティッシュを取り出し、落ちた感触のある辺りを押さえてその色を確かめる。


 無色だ……


 でも私の頭の中は“あるトラウマ”がパッツンパッツンに拡がっている。


 遠い昔……

 愚かにもサラサラの黒髪ロングにして“初々しさ”で()()()()()と思っていたあの頃……


 私は“法人向け商品”のセールスで……見境ない飛び込み営業をやっていた。


 目的の地域をブロック割りし、片っ端から回るローラー作戦……こう書いてもちっともマシに聞こえない無戦略で壊滅的に非効率なやり方だったが……売上成績ボードが下がっている壁に竹刀が立て掛けてある様な会社だったから、『推して知るべし』だろう。


 そんなある日、私は地下鉄を茅場町で降りた。


 目的は大胆不敵にも名だたる証券会社!!


 この日はいつもより時間を掛けて(キツメではない)丁寧なメイクを施し、『七難隠す』と信じ込んでいたサラサラロングヘアのお手入れもキューティクルキラキラで“天使の輪”ができる様に頑張った。

 そして極めつけは仕立ての良い“勝負スーツ”!!


 これで第一印象は獲れる!!


 そう意気込んで地下道の12番出口から地上へ出ると目の前には目的の〇藤証券のビルがあって……


 ビルの窓を鏡にして自分の姿を確認し

「よし!!」と気合を入れた瞬間!!


 ボタッ!と肩に当たるものが……


「??」と肩に視線を向けると


「!!!!!!!」


 声にならない悲鳴をあげる私の頭の上を「グガアグガア」と鳴く野太いカラスの声が遠ざかって行く……


 糞害に憤慨するも憎むべき相手は飛び去った後で……

 カラスから投下された“糞爆弾”はスーツの肩だけでは無く私の髪にも広範囲に拡がっていた。

 その場でケータイを開け、上司の怒号で耳をやられながらも体調不良を訴えて、私はそのまま直帰した。

 途中でクリーニング店には寄ったのだけど……


 アパートに帰ってユニットバスに直行し、髪が抜けてしまうくらいに“鬼洗い”して……何もかも嫌になって布団を被りメソメソとふて寝した私に……()()()()()筈もなくその月の成績も低迷し、私はまた一つ世間の荒波を知ったのだった。



 そして今、苦い思い出を胸に抱えたまま私は満員電車にすし詰めなっている。

 人いきれで蒸し暑い!

 本当は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのに、めっきりオサボリ気味のおでこから、さっきの雨の雫と同じくらいの大きさの汗がポチン!と吹いた。


 空からのいたずらをカラスのおしっこと勘違いし、なおざりメイクのおでこに汗を滲ませる私は……

 相も変わらず

 何とも

 みっともない事よ。




今も昔も変わらず“イタイ”私のお話でした♪



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[良い点] 何気ない日常が... [気になる点] 憤慨と糞害 [一言] 爆弾... バードミサイルロックオン 少し笑ってしまいました笑 すみません♪
[一言] アレはイヤなモノですねー  (~_~;)  ワタクスはハトから爆撃されますた  (;+o+) 
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