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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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風鈴の音

俺(鐘城学(かねしろまなぶ))の通う、私立西ノ岬(にしのみさき)高校では、いじめが活発に起こっている。

教師側も、発見次第注意はしているようだが、一向になくなる気配はない。

そう、俺の幼馴染、宮下華賀里(みやしたかがり)も、そのいじめの被害者であった。


「お前がいなくなったのも、今日みたいな、暑い夏の日だったな。」

そう、屋上で独り言を話す。

華賀里は去年の夏、屋上から飛び降りた。いじめられていたらしい。

俺はそのことを、飛び降りる前、華賀里に初めて話された。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「学、俺そろそろ限界なんだ。」

「なにがだよ。」

久しぶりに聞く、華賀里のガチトーンに、俺はかなり驚いていた。

「俺、いじめられてんだよね。」

俺は、なにも知らなかった。何故気づかなかったのだろうという罪悪感に駆られ、何も言葉を発することができなかった。

「だからさ、学、お願いがあるんだ。」

「俺の分まで、この世界で生きてほしい。」

「は?それってどういう、、」

そのまま、華賀里は地面に向かって落ちていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「俺、最近、教室に居場所がないんだ。」

俺も、最近いじめられている。今日はここで、華賀里が飛び降りた場所で、世界とさよならをする。

「華賀里、ごめん。お前の願い、叶えられない。」

「俺も、もうそっちに行くよ。」

そう言って、俺はフェンスに手をかける。

「そんなこと言うなよ、お前らしくないな、ほんとに。」

後ろから、声がする。

「死んだら、次はないんだぞ。」

華賀里だ。華賀里の声だ。顔を見なくてもわかる。何千回、何万回聞いた声。

「いいか、後50年は生きろ。絶対な。10年以内にこっちに来るなんてことしたら、ただじゃ済まさないからな。」

俺は後ろを振り向く。話したい事がたくさんあるんだ。でも、【チリーン】そこに華賀里の姿はなく、涼やかな風鈴の音だけが残されていた。

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