↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/132

97.対須佐之男命戦 終了

 VRMMOクローズドベータ版。ボス戦。

 MPを使い果たしたメンバーを守るように赤裸裸(せきらら)と鉄人(てつと)が立ち塞がる。


「ボスのHPMPも相当に減っている。

 スキル持ちが回復したらいけるはず」


 低空に浮かぶボスを油断なく見据えながらジオが呟く。

 主力メンバーのMPを回復して動けるようになるまで時間稼ぎしている最中である。


 一方のボスも不用意にダメージを受けないように攻撃を止め、低空を漂う。それどころか多少経時回復している。

 しかしプレイヤーが持ち直す方が早い。主力の誰かの攻撃が当たれば勝負が着くだろう。


 その時、ボスがゆっくり口を開け始めた。


「!?」


「『掛(か)けまくも畏(かしこ)き 見守り給う神々に 恐(か)しこみ恐(か)しこみ白(も)まおす!』」


【思兼(おもいかねの)神(かみ)   八意思兼(やごころおもいかね)】


 スキル効果でボスの攻撃範囲を見て取る。ジオの少ないMPが一瞬で尽きたが確かに見えた。


「攻撃が来る! この辺一帯だ!」

「そんなんあんの!?」

「多分あれだ! 落とした時に使ってきた黒いのがバーッて広がる奴!」

「跳ばすだけならできるよ! 誰か一人!」


 レイである。立ち上がれないまでも騎獣に乗って式神を振り回すなら可能であった。


「紫苑(しおん)!?」


 紫苑(しおん)が首を振った。


「一撃で削るのは無理だ! 凪枯(ながれ)は?! 落とせるか?」

「ごめん、動けない」


 紫苑(しおん)も凪枯(ながれ)もまだMPが回復していない。


「落としてたら間に合わないよ! 赤裸裸(せきらら)さんに翡翠(ひすい)さん連れてってもらって後で蘇生してもらうのは?!」


 小春(こはる)が声を上げたが、割と現実的である。ただ問題はそこから立て直し出来るか。体当たりで前衛を吹き飛ばせるボスである。

 この状況に応じたのはやはり立ち上がれない状態の瞬(しゅん)であった。


「一瞬だけなら使える! 一か八かだ! 赤裸裸(せきらら)さんを跳ばしてくれ! 一番攻撃力高いから!」


 鷹(よう)も頷く。

 困惑した一同だが、すぐに気付いて位置に着いた。


 加速する赤裸裸(せきらら)をレイが放り投げる。

 同時に瞬(しゅん)と鷹(よう)が拍手(かしわで)を打った。


「『掛(か)けまくも畏(かしこ)き 見守り給う神々に 恐(か)しこみ恐(か)しこみ白(も)まおす!』

 二神連携!」


【二神連携   布都御霊剣(ふつのみたまのつるぎ)】


 瞬(しゅん)と鷹(よう)の姿が消えると同時に、赤裸裸(せきらら)の武器が白く巨大なバーナーの様な光を発した。


「っせい!」


 赤裸裸(せきらら)の突きの一閃がボスのHPを削り切る。


 ほぼ同時に瞬(しゅん)と鷹(よう)のMPが尽きて赤裸裸(せきらら)に近い空中に現れた。

 落下しながらボスの動静を見守る。


 少しの間があった。

 ボスは開きかけていた口をゆっくり閉じ、白い炎に包まれた。

 それを確認して三人は地面に着地した。瞬(しゅん)と鷹(よう)はほぼ墜落であったが、鷹(よう)の騎獣のロクが下に来て受け止めてみせた。


「わぁ……」


 ある種荘厳な、空一杯に燃える白い炎である。


 ボスが消えると赤い勾玉が現れた。プレイヤーの勝利である。


 悪神之音(あしきかみのおとない)狭蝿(さばえ)如(な)す皆満(みなみつ)


「長い……」


 鑑定された勾玉名にケイが呟いた。




「突然の絶叫マシーンだよ?!」

「それはほんとすいませんでした」


 赤裸裸(せきらら)が小春(こはる)に謝っている。稲妻(いなづま)でボスの所に跳んだ件である。

 現在、シアタールームでボス戦のレコードの確認をしている。


「須佐之男(すさのお)を雨叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)でぶった切っちゃっていいのかは置いといて……」

「すいませんすいません……」


 縁(えにし)が手を合わせて虚空に謝っていた。


「俺も天照(あまてらす)で思兼神(おもいかねのかみ)吹っ飛ばしちゃったから大丈夫だよ……多分」


 紫苑(しおん)が小さくフォローしていた。


「惜しむらくも止(とど)めは刺せなかったがゲームなんだからこんなもんじゃね?」


 貫名(かんな)も来ている。叢雲剣(むらくものつるぎ)と惜しむらくもを掛けているが、スルーである。


 影助(えいすけ)がレコードを見直しながらぼやく。


「しかし青柴垣(あおふしがき)と神産巣日(かむむすび)で即死攻撃防御したら全員MP四分の一引かれるってどういう計算なんだ……人数均等割りにしてくれよとしか……」

「え? どゆこと?」


 小春(こはる)が聞き返した。鬼型の時に居なかったから知らないのである。

 サラと小春(こはる)に話して伝えると、二人ともやはり驚いていた。

 この二人と鬼型戦のおさらいをしておかないと色々すれ違いが起きそうである。


「というわけで、騎獣がやられて本人が倒れる事もあるので気をつけて」

「あー、そんな事もあるんだ」


 翡翠(ひすい)に貸していたギンが撃たれてソライロが倒れた時の事を話して聞かせると、サラが頷いていた。


「行かなくて本当によかった……」


 小春(こはる)が項垂(うなだ)れている。瑞穂(みずほ)の祖神(おやがみ)でも八十禍(やそまがつ)は攻撃してくると聞いたのである。流石に大百足が山になってた事までは誰も伝えていない。


「考えてみればその通りなんですけど、青柴垣(あおふしがき)ってバフじゃなくて設置型スキルなんですね」


 サラが敵の居なくなった鬼型ボスエリアを確認している。


「秀吾(しゅうご)と要(かなめ)さんは何でこれボスの攻撃分かったの?」


 鉄人(てつと)が尋ねた。

 鬼型戦最後の最後でボスの攻撃を先読みした件である。


「私は秀吾(しゅうご)さんがスキルを使うのを見て、一番反射ダメージが大きそうなところに使っただけですね」

「僕は……何となく……ですかね……?」


 全員が顔を見合わせる。


「……集中してないと分かんないわずかな予備動作とかあんのかな……?」


 瞬(しゅん)が映像とにらめっこを始めた。

 ケイの特殊体質もだが、他のメンバーも大概である。


「これで思ったんだけど、もしかしてこのゲーム、天詔琴(あめののりごと)と須佐之男(すさのお)の咆哮(ほうこう)が同じって解釈なのかな」


「え?」

「鬼型戦の最終局面で天詔琴(あめののりごと)が壊れただろ?」


 そして竜型戦最初、ボスが口を開いて、ジオも攻撃範囲を認めたものの不発している。スキルキャンセルか何かだと思われていたが。


「竜型素戔嗚(すさのお)が口開けるスキルって悪神之音(あしきかみのおとない)だけ。多分最後に使おうとしてた範囲スキルもこれだ。

 天詔琴(あめののりごと)を壊すと悪神之音(あしきかみのおとない)の最初の一回が不発になるのか、時間経過で回復するのかは分かんないけど」


「ああ、なるほど」

「それを検証する余裕はありませんでしたねぇ……」

「じゃあ弓が壊れてれば鳴鏑(なりかぶら)封印できたのかな」

「生大刀(いくたち)が壊れたらどうなるんだろ?」


「おいいぃぃ! 場合によっては私たちが来る直前にボスの大技で壊滅しててもおかしくなかったってことじゃないか!!」


 全滅していた場合、小春(こはる)、サラ、ソライロが百足と蛇いっぱいの回廊に移動していた可能性がある。

 知らぬが仏である。



「鳴鏑(なりかぶら)はこれどう攻略するのが良かったんだ? 回避が正解だったんじゃないかって気がするけど」


 聞かれて脱出組の鉄人(てつと)が感想を述べる。


「俺達も割とギリギリだったから、脱出選んで全員助かるかは分かんないな。

 かなり長時間火炎放射されるから、逃げ切れずに死んだら蘇生できない可能性が高い」


 鉄人(てつと)の意見に赤裸裸(せきらら)達も同意するように頷いた。

 瞬(しゅん)が映像を指しながら聞く。


「この攻撃、罠扱いなんだよな?」

「外から見てた感じだとクレイモア地雷の集中砲火みたいな」


 鳴鏑(なりかぶら)の攻撃範囲辺縁に発生する罠である。


「忍者がこの罠破壊したら炎弱まったりしないか? もしくはそこだけ火が無くなったり」

「ええ……?」

「いや、分からんぞ? いけるかもしんない」

「ボスの設置する罠って破壊できるの??」

「今度試してみるか」



 意外と仕掛けの多いボス戦であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。