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82.十人十色

 自動生成ダンジョンにたまにボスが出てくるVRMMO。クローズドベータ版。

 今日もダンジョンを探索する。


「え、蛍火ほたるび無いの?」


 ケイは貫名かんなの所にアイテムをもらいに来ていた。


「最近四階層に行く人も増えててなぁ。品薄なんだ」

「店員さんにも同じ事言われた……」


 道具屋店員のNPCである。


「見せても無い物は店にも無いぜ」


 多分見せと店を掛けているが、スルーである。


「大体、ケイはスキルの灯りあるだろ? 人数も集まってないみたいだし蛍火ほたるびは別の人に譲ってやれよ」


「え~、俺のスキルで四階層に突入すると敵めっちゃ寄って来て大変なことになるんだけど」

「あれ? ケイ達も四階層挑戦するようになったのか?」


 たまたまやって来たしゅんが尋ねる。


「ダンジョン内の高低差はしんどいけど……あんまり三階層だけウロウロしてるのも何かなって話になってさ。

 五階層経由でボスまでたどり着けるようになったら色々できそうだし」


 それを聞いて、しゅんが提案する。


「何人集まってる? 二人以内なら一緒に行けるけど?」

「え? しゅんようって二人パーティーじゃないの?」

「いや別にそういうわけじゃない。他に一人か二人で四階層以上に行こうって人が見つからないだけなんだ」


 一度に組めるのが最大四人のため、しゅんようが決まっていると必然的に空き枠が二人。

 低階層でアイテムや経験値を集めるジオとケイと違い、四階層以上は敵も強化されて気軽に参加できない難易度のために参加者が少ないのである。




 切り立った崖が左右にそびえ立つ。

 谷間を進んでいるのはロクに乗ったようしゅん、シキに乗ったケイとジオ。四階層である。


「やーマジで助かる。普通ここ来るまでに食糧三つは消費してるもん」


 ケイのスキルは次のエリアに進むための鳥居の位置が分かる。このスキルが無ければ散々エリア内を探し回らなければならない。


「その代わりにめっちゃ敵寄って来るんだけど」


 空から現れたのはケイのスキルの火の玉に引き寄せられた鳥型八十禍やそまがつの大群である。

 鴉の大軍の如し。普段だったら相手取るのに躊躇ちゅうちょしそうな数であった。


「むしろ都合がいいな、よう

「はいはい」


 二人揃って拍手かしわでを打つ。


「『けまくもかしこき 見守り給う神々に しこみしこみまおす』

 二神連携」


【二神連携   布都御霊剣ふつのみたまのつるぎ


 ようの姿が消えて、しゅんの刀が強い光りを帯びる。


「っせい!」


 そのまま上に向かって谷をもう一度両断せんとばかりに振り抜くと、斬撃の軌道がそのまま光の帯になり、それに呑まれた鳥型八十禍やそまがつの群れは消えていた。


「解除っと」


 しゅんの刀とようの姿が戻ると同時に、数羽の白い直毘神なおひのかみの鳥がアイテムを置いて飛び去って行く。


「強……」


 ケイが呟くと、しゅんはロクの上で胡坐あぐらをかいて片肘着いた手に顎を乗せた。


「超攻撃特化型だからなぁ……前回みたいなボスの時だと、たまに搦め手型の人が羨ましいけどな」


 しゅんの言葉にようも頷く。


「私達だけだと、一階からここまで来るのもかなりかかりますからね」

「食糧無くなって死にかけるとかあった。ていうか今もたまにある」

「慌てて緑火鳥居探したりしますね」

「マジか」


「あ、ちょっと止まって」


 不意にジオが告げた。

 止まっている間にジオだけ小走りで先行し、地面を軽く突く。


「落とし穴……」

「やっぱパーティーっていいな。俺達だけなら間違いなく引っかかってたもん」


 落とし穴の種類によっては一階層からやり直しなので地味だが割と重要である。


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