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66.対八岐大蛇戦 終了

 VRMMOクローズドベータ版。ボス戦が終わった。大技を出される前に倒せたので、全員生きている。

 超巨大な八岐大蛇やまたのおろちが白い炎に包まれて消えていく。


「……素戔嗚すさのお八岐大蛇やまたのおろち退治って、割と頭脳プレーだったんだな……割とって言っちゃなんだけど……」


 わちゃわちゃ動く頭に大苦戦した末に一カ所にまとめて殴らないと非常にめんどくさいという神話と同じ結論に達したプレイヤー達である。


 小春こはるのスキルが効いたままなので、現れた勾玉が自動的に鑑定される。


 雨叢雲剣あめのむらくものつるぎ




「あー! これ俺のスキルか! マジでゴメン!!」


 シアタールームでがしがし頭を掻いているのは影助えいすけである。


「いや、多分これのお陰で森に居る蛇達に噛まれなくても済んだからさ」


 紫苑しおんが倒れてパッシブスキルが消えた後も夜の食国おすくにのスキルをキャンセルしなかったため、真っ暗闇の中でケイのスキルの明かりでかえでを探す事になった場面である。


 現在、シアタールームで改めてボス戦の内容を確認している。


「つーか、これが影助えいすけのスキルだって気付いた人、居る?」

八岐大蛇やまたのおろちのスキルだと思ってた」

「何かボス戦長引いたら発生するギミックかなんかだと思ってた」


「私、ケイが叫んでるの聞いてたけど何言ってんのか分かんなかった。えーとその、どんまい」


 小春こはるのコメントである。


「そもそも俺が四頭目倒したのが原因だから。ドンマイ」


 紫苑しおんである。


「いや、それは気をつける方が無理じゃね?」

「まぁ今回はシキがファインプレーだったよな」


 ジオがシアタールームの一席を占拠しているシキに小さく声をかけて撫でるとゴロゴロ喉を鳴らしていた。

 衝撃波が来た時、シキが近くに居た小春こはるとケイを庇ったのである。吹き飛ばされた後、ケイと小春こはるだけが生きていた理由とケイのMPが減っていた理由であった。

 小春こはるとケイがやられていたらかえでの蘇生も間に合わず、ほぼ立て直し不可能だった。



「他に細かい事気付いた人ー?」


「僕らのスキルで八岐大蛇やまたのおろちの胴体が持ち上がっちゃって攻撃しにくくなってたんですね……」


 えにしである。

 ボディプレスを止めるために腹の下に岩を押し上げた結果、八岐大蛇やまたのおろちの胴体が持ち上がったままになったのであった。


「いや、これは結果論じゃないか?」

国造くにつくりがここでぼかすか当たってたせいで削りきれたところあるから」

「誰も最後にあんなの来ると思ってなかったからね」

「そのMP飾りじゃなかったのかよって思った」


 しゅんようは少し離れたところにいた。


「俺らもペース配分ミスったよな」


 思い出したように、翡翠ひすいが映像を出してきた。


「そういえばさ、しゅんさんようさん、ここで爆発ダメージ受けてないように見えるんだけど、何かスキルとかあるの?」


 八岐大蛇やまたのおろちボディプレスのシーンであった。

 確かに彼らの周りだけ地面がえぐれていないように見える。


「いや、ダメージは受けたぞ? HP削れてるだろ?」

「でも防御力高い他の人と比べても減り少なくない?」


 映像を同期させて、近い位置に居た他の人のHPダメージと比較する。


「ほんとだ」

「何だろ?」

「位置関係かな?」

レベル上限(カンスト)とはいえ、ようはともかく俺より防御力高い人は居るしな……」


 八岐大蛇やまたのおろちを倒した今、それ以上検証する事もできないので放置である。



還矢かえしや効いたの、逆に驚きました」


 かなめである。

 以前のボスは即死技を回避しようとしたからだ。


「確かに……」

「効いたならよかったんじゃ?」


「むしろ、今後は運営側で何かしら対策とってる可能性があります。今回みたいにHPを部位で分けるとか」


「あー」


「もしかして、宇迦之御霊神うかのみたまのかみはダメージ部位分けに対応したAI調整が間に合わなかったのか?」


「どっちかっていうとあのボス戦を見た運営が「ダメージ部位を分ければ多少即死しても問題ないのでは?」ってなったのでは?」


「ボスが即死するのもスキルがポンコツになるのも困るもんな……」


 能力が多様だと、バランスをとるのに運営側も一苦労である。


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